安倍政権時代から政府への批判的な存在を片っ端から叩き続けてきたツイッターアカウント「Dappi(@dappi2019)」。
組織的な運営ともささやかれてきましたが、やはりなんらかの法人が関わっていることが明らかになりました。詳細は以下から。
立憲民主党の小西洋之参議院議員は9月3日、Dappiのツイートが名誉毀損に当たるとして、プロバイダに発信者の情報開示を求めた訴訟で開示が認められたことをツイート。
そして10月6日、「東京地方裁判所の発信者情報開示を認める判決を受けて、プロバイダから発信者情報(法人名、所在地 等)が開示されました」とツイート。少なくとも発信者になんらかの組織が絡んでいることが示されました。
政党関係者の運営もささやかれていたDappi。実際にどのような組織がどのような形で運営に関わっていたのでしょうか。
小西議員は「発信者に対し、損害賠償等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起いたしました」としており、今後訴訟の中で正体が明らかにされることになります。業務だとすれば発注者は誰なのか、営利目的だとすればその資金の出所はどこなのかなど、疑惑はどこまで明かされるのでしょうか。
なお、Dappiは10月1日の菅義偉前首相の緊急事態宣言解除のツイートをリツイートしたのを最後に、現在まで活動していません。第100代総理大臣となる岸田首相の誕生など大きなトピックだらけのこの期間の沈黙。それ自体が正体を示すひとつのヒントなのかも知れません。
◆「Dappi(@dappi2019)」とは何ものか
Dappiは「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます。」というプロフィールの謎に満ちたアカウント。
2018年の段階で「【追記】デマ・曲解で野党を叩く「DAPPI(@take_off_dress)」は会社組織が運営か、平日8~21時の完全シフト制に」という記事で詳しく論じていますが、この当時からひたすらに野党や政府に批判的な人物を叩き、政府の政策を擁護し続けてきました。
2019年にDAPPI(@take_off_dress)はルール違反で凍結したものの、現在のアカウントDappi(@dappi2019)で復活し、同様のツイートを続けています。
◆業者による運営疑惑
そしてこのDappiは、個人アカウントではなく組織による運営ではないかとささやかれてきました。
理由は、ツイートが平日の8~21時台(コアタイムは9~19時台)と、サンデーモーニングやサンデージャポンが放送されている日曜朝9時台に集中していた上、ほぼすべてが「Twitter Web Client(パソコン向けのウェブ版ツイッター)」から投稿されていたこと。
ツイートの分析を見ると、ほぼ完全に平日メインのシフト制でPCから投稿されていることが分かります。
上記画像は2018年時のものですが、本日チェックした以下の最新のものでも平日メインのシフトは夜間が22時台まで延長した以外は傾向がほぼ変わらず、100%PCのウェブ版ツイッターから投稿されており、以前の体制が継続していることが分かります。
また、DappiはDHCテレビの虎ノ門ニュースを筆頭に大量の動画を編集してアップしていますが、YouTubeなどのリンクではなく直接アップしています。このやり方ではどれだけリツイートや動画再生があっても広告収入には繋がりません。
平日にフルタイムで、数年単位でこうした活動を続けるのは、個人では労力的にも金銭的にも困難なため、組織的な「業務」としての運営の可能性が浮上してきたわけです。
◆政党関係者による運営の可能性も
ではどんな組織が運営しているのか。そこで重要なのが「政権を庇い野党を叩き続ける「DAPPI」、政党関係者らによる運営が濃厚に」で論じた、政党関係者による運営の可能性です。
2018年5月22日の朝9時50分付けのDappiのツイートでは、加計学園問題に絡んで2015年2月25日という3年以上前の各新聞社の首相動静を引っ張り出し、画像をずらりと並べて掲載しています。
このツイートは「加計学園の獣医学部新設の計画について初めて知ったのは2017年1月20日」という安倍首相(当時)の従来の答弁を覆す「加計学園理事長が2015年2月25日に首相と面談し、獣医学部の構想を説明した」と記された文書を愛媛県が前日に提出したことを受けたもの。
ここで問題となるのが、「どうやってDappiは3年前の新聞記事を集めて朝イチでアップできたのか」という点です。愛媛県の文書に関する報道は前日夕方ごろ行われており、ギリギリ「図書館で集めてきた」と言えるかもしれませんが、残念ながら産経新聞には縮刷版がありません。
この疑問に対して政治ジャーナリストの安積明子さんが出した答えが「国会図書館分館を使えばたやすい」というもの。
国会議事堂の中には国会議員に加えて議員秘書、政党職員、国会職員、国会担当の行政省庁職員などが利用できる国立国会図書館分館があります。
利用することができるのは、議院記章の発行を受けていて、議事堂に常時公用で出入りすることのできる国会関係者である(議事堂の見学者は利用できない)。具体的には、国会議員のほか、議員秘書、政党職員、国会職員、国会担当の行政省庁職員などである。とくに議員のためには議員専用の閲覧室があり、議員が調べ物や読書、書き物などに使うことができる。
とされているように、国会図書館分館は一般人が利用できない施設。
個人で新聞6紙を取った上に3年分以上を保管するのも資金・保管スペース的に考えづらいため、Dappiの運営陣に国会図書館分館にアクセスできる国会議員や政党の関係者がいると考えるのが自然という結論に至ります。
判決を受けて開示された情報はなんらかの法人の関与を示すものでしたが、一体どのような組織で、政党や政府との関係はあるのか。さらなる続報が待たれます。
【10月8日15時追記】
FRIDAYデジタルが「ツイッターで野党攻撃の匿名アカ…正体は「法人」だった」という記事の中で、IT関係者の証言として小西議員の言及した「法人」が小規模な都内のIT関連企業であるとしています。
「このアカウントの『法人』というのは、都内のIT関連企業です。小規模な会社ですが、『主な販売先』に『自由民主党』と、堂々と謳っていました。この規模でこの業務内容、ふつうに考えて…おや? とひっかかります」(IT関係者)
確かに小西議員は東京地裁に訴訟を提起したとしているため、この法人の所在が東京都内であることは確定とみてよさそうです。
先にも述べたようにDappiは基本的にツイッター上で活動し、マネタイズをしていなかったため、動画編集や資料の収集を含めた活動のための費用がどこからか捻出されていることになります。その出所がどこなのかが今後焦点になりそう。
加えて、小規模なIT関連企業が3年前の新聞記事を、「縮刷版のない産経新聞を含めて」朝一に6社分集められるのかという問題も。国会図書館分館にアクセスできるなんらかのコネが存在するのか、こちらも気になるところです。
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