【タイ・レポート】大麻解禁に揺れるタイの現状、日本人大麻販売店主に直撃インタビュー【前編】



大麻産業に国内外から多くの人が集まり、めまぐるしく状況は変わり続けています。

もちろんその中では日本人も例外ではありません。タイで何が起こっていてこれからどうなっていくのか。

バンコクの中心部で自ら大麻販売店を営む日本人店主にインタビューを行いました。

タイの中心部、アソークで大麻販売店「Green Thumb」を営む日本人のたかひろさんに話を伺います。

アソークの駅から徒歩で5分弱のところに店舗があります。


深海:
どのような経緯で今の仕事に就くことになったのでしょうか?

たかひろ:
僕はタイに来たのは今回が初めてだったんですよ、2022年の1月かな。6月に合法化になるって聞いて。

日本では自分で会社やってて、タイが合法化になると聞いてアンテナ立てていたらある人に誘われて、タイで会社やるから大麻農場のマネージャーとして来てくれと。

それで行ったんですよね、1月に。そしたら見事にそれが嘘で笑。半年ほどタイにいて7月に一度日本に戻りました。

タイにいた時はタイ語しか喋れないタイ人と大麻農場をあちこち回っていましたね。そうしたら僕のビザが勝手に切られて。

その人が蒸発しちゃったので一回どうしようもなくなって帰るしかなくて。そうしたら空港でビザが切れたと言われたんですよ。罰金も払わされて。

深海:
それが2022年の7月ですか?

たかひろ:
そうですね。合法化の時もいたのでどうしても戻ってきたいと思って。その間に僕が当時知り合ったパタヤのおじさんに紹介されたのが今のパートナーなんです。

深海:
タイ人のビジネスパートナーなんですね。

たかひろ:
そう。「日本語喋れるタイ人がいるから代わるね」と電話で言われて、代わったのが彼でした。それがもう運命というか。

それで2~3ヶ月東京にいてタイに戻ってきました。彼から「個人でサプライヤーやってるから一緒にやりませんか」と誘われてとんぼ返りした形ですね。

深海:
それで今のこのお店(Green Thumb)を始めたんですか?


たかひろ:
ここは2022年の12月の半ばくらいにぱっと話が入って、2023年1月1日から始めました。ここには元々大麻販売店があったんですが、全然売れないお店で月に5gくらいしか売れない、営業してるのかしてないのか分からないレベルでした。

深海:
たくさん大麻屋が出てきた中の目立たないお店だったんですね。

たかひろ:
はい、もう潰れるんじゃないのっていう時にパートナーの友人のツテで、空いてるからとやろうと。へんぴな場所だし日本人のマーケティングしてほしいというので、やりましょうと。それで始めてまだ2ヶ月ですね。


深海:
それしか経っていないのにははびっくりしました。

たかひろ:
ぶっちゃけ、うちはめちゃめちゃ調子いいんですよ。

深海:
確かにお客さんがよく訪れていますね。他の大麻屋の前を通りがかってもあまり人は見ないですよね。

たかひろ:
うちは異色かもしれませんね。Googleでコメント書いてくれたら1gプレゼントなんてのもやっていたので。そしたらぶわーっとコメントが上がってきて、そうしたらSEOも上がってくれるんで。だから1月は日本人のお客さんいなかったんですよ。

深海:
それじゃあコメントをしてくれたのはタイ人のお客さんですか?

たかひろ:
いえ、白人のお客さんですね。英語圏の人だったり、アジアだと台湾、香港、シンガポール、マレーシアなんかですね。

深海:
そっち方面からのお客さんもいるんですか…。

たかひろ:
すごい多いですね。

深海:
そんなに多いんですか。それは意外でした。

たかひろ:
うちはここの上がホステルなので、そこで好きそうなお客さんがみんな覗いてくれるから、仲良くなって吸ってもらったりしていました。当時は店の前でも吸っていましたね。

それでそういう人たちが帰国すると知り合いが来てくれて、ちょっと今バズってきた感じですね。

うちは富士そばみたいなノリでやろうと思ってたんですよ。とにかく良いものを安く出すという。

僕が赤提灯の親父じゃないけどそういう感じで。だから「金かけるのやめよう」って言って一切何も入れずにやってます。


深海:
このお店の看板も前からのものですか?

たかひろ:
そう、昔からあるのを使ってます。2022年の8月にオープンしたけどやり方が悪くて、大麻も悪いし保存方法も悪いしで半年近くやっても10gとか20gしか売れない店でした。

それが今は噂が噂を呼んでくれて調子よくやれています。


深海:
確かに雰囲気を作り込んでいる他のお店とは違いますね。力が抜けてシンプルで。

たかひろ:
外国人からしたら日本人のおっちゃんが何か売ってるぞみたいなのが面白くて話題になってるんだと思いますね。どこに行っても知ってるって言ってくれるんで。

いわば動物園みたいなものですよ。朝から晩までここにいるので面白がって来てくれる人もいるし。

深海:
なるほど。ちなみにお客さんは観光客と在住者のどちらが多いんですか?

たかひろ:
半々くらいですね。ツアーで来てる観光客が半分で、後半分が在住者ですかね。

アメリカやカナダのタイ在住のミュージシャンとか歌い手さんが結構来てくれるようになりましたね。InstagramでDM入れてくれって言って、「こんな品種来たよ」って教えるとすぐ買いに来てくれる。


深海:
そこは品質や価格に惹かれたということですか?

たかひろ:
そうですね。コスパが良くてクオリティが良い、それだけですね。特に気取ってないですしね、レジも手動だし。

深海:
ここはほぼ1人でずっとやっているんですか?

たかひろ:
はい、毎日休み無しで開けてますよ。もう40代半ばで子供も大きくなったので、こっちに来て一からやってる感じですね。

深海:
このお店ができてからちょうど2ヶ月くらいということですが、すごいスピード感で動いてますね。タイ全体でもそうですがこのお店としても。数週間というか数日単位で変わっていっているような。

たかひろ:
本当にそのとおりで、ダメなお店はばんばん潰れています。先週あったお店が潰れて別のお店になっていたりしますね。

ある程度大麻を分かってる人じゃないと難しいですね。お客さんと大麻について会話できる必要がある。私は英語はあまりできないけど大麻に関してはある程度把握しつつやり取りしてきています。

うちはあえてメニューを置いてなくて、話をしてこれとかこれはどうとか。昔の日本の商売人のやり方をしていますね。


深海:
ここから先はどのような展開を考えていますか?

僕は音楽業界に長くいてDJなんかもやっていて、大きなフェスに出たり自分の会社もやってたりしてました。90年代から2000年代に東京にいて、その時のカルチャーが自分の中にすごく残っています。

他の店がSNSがんばってかっこよくして、アメリカの新しい喫煙具入れてとかやってるけど、そういうのじゃないと思ってる。もちろんネタが良くて安いのは大切だけど。

大麻に対してどうやってカルチャーを作っていくかということを考えています。床屋とか駄菓子やみたいに情報がどんどん入ってきて出ていくような、インプットとアウトプットができるようなお店にしたいなと思います。

今も外国人のお客さん同士で仲良くなっている人がいたりとかするし、そんなコンセプトを目指しています。

音楽と同じでいろんなものが作れるんじゃないかなと。あくまでもお店は足がかりで、麻文化をうまく取り入れたものをいろいろ発信していけたらいいかなと。

パートナーの友人も日本に住んでいたことがあるし、私の東京のカルチャーがあって、その辺りがうまい感じにミックスされてきたなと感じています。あの頃の日本のカルチャーとタイのカルチャーを融合していけたらいいかな。


後半ではタイの大麻産業で働くことの現実性とお店の展開などについて伺います。

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