【タイ・レポート】解禁されたタイの大麻の現状は?カオサンロードは大麻販売店とクラブが入り乱れるカオスに



タイといえばダニー・ボイルの「ザ・ビーチ」でも描かれたように、バックパッカーや大麻との関係は極めて深いものです。

そんなタイで大麻が解禁され、誰でも当たり前に吸えるようになった現在、社会はどうなっているのでしょうか。

Your News Online取材班が現地に突撃してきました。


コロナ禍が終息の気配を見せ、観光客らが徐々に動き始める兆しを見せた2022年6月9日、この国で大麻が麻薬法の指定リストから除外されて所持や栽培、使用に関する規制が外れ、実質的に全面的な合法化となりました。

娯楽目的の大麻は今も一応は禁止されているものの、明確な規制が後回しにされた状態で合法化されたことから、ほぼフリーハンドの状態でこの国の合法大麻シーンはスタートしたといえるでしょう。

それから8ヶ月、果たして大麻はタイの社会にどのような形で存在しているのでしょうか。取材班がまず訪れたのは、かつてバックパッカーの聖地として知られたバンコクのカオサンロードです。





かつて1泊数百円の安宿や旅行代理店、土産物屋が並び、屋台やバーがひしめき合っていたこのエリアは、10年以上前から「カオサン・ナイトマーケット」として外国人向けの繁華街として知られるようになっていました。

当然ながらこの繁華街が大麻合法化に反応しないはずがありません。

まずカオサンロードの西の端(ワット側といえば古の旅人はピンとくるでしょうか)に立ってみました。ここから平日夜のカオサンを歩いてみます。



基本的には、かつての賑わいが今も絶好調のままぶっちぎる外国人向けの繁華街です。


安宿はもうほぼ見当たらず、バーやカフェ、クラブに姿を変えています。映画やコメディ、MVなどが大音量で垂れ流されていた店は、ほぼDJが大音量でダンスミュージックを垂れ流す店に置き換わっています。



まだ深夜前の時間帯なので、それなりに賑わっている店もスカスカの店もありました。残念ながら音はEDMもヒップホップもまあまあダサめでした。

食べ歩き用のスナックや土産物の屋台にならび、しれっと大麻屋台が営業しています。無許可だそうですが、気にする気配はありません。



先日摘発があったばかりだとの話でしたが罰金を払えば済む模様で、さっそくあちこちで営業しています。昔を知る人には、いかにもタイらしい光景といえそうです。

もちろん許可を取った正規の大麻販売店もあちこちに店を開いています。



「大麻合法店」と書かれていますね。かわいらしいマスコットキャラクターもいます。



あちこちから多数のダンスミュージックが鳴り響く中で当たり前に大麻が売られている光景は実にカオスです。いつか思い描いたサイバーパンクの世界がまさにここにあります。

ちなみに大麻と同時に合法化された物質もいくつかあるようで、クラブの前では笑気ガスが1袋50バーツ(約200円)からで堂々と販売されていました。

カオサンロードの東の端付近にあるビル「Plantopia」は地下1階のテナントが全て大麻販売店という衝撃的な大麻モールです。



入り口のカフェエリアでは買ったばかりの大麻を楽しむ観光客の姿が見られます。



カオサンロードのお隣のソイランブトリーに来てみました。こちらはかつてカオサンよりも少し落ち着いた雰囲気が人気の通りでした。


うなるほど金掛けましたと書いてあるような、派手だったりハイセンスだったりするレストランが建ち並んでいます。

こちらも多少落ち着いているといいながらも賑わっていますね。



大麻販売店の前にはゆったりとした椅子とテーブル、灰皿が置かれて買った大麻をそのまま楽しめるようになっています。



興味深いのが、働いているタイ人たちは極めて普通の人に見えることです。いわゆる「怖くてワルそうな人々」ではなく、その辺りの屋台や土産物屋の店員と同じノリの人が働いています。

このエリアで大麻を楽しんでいるのはほぼ大麻の存在に慣れている欧米からの外国人です。深夜帯のクラブなどではタイ人も楽しんでいると思われますが、早い時間帯では目立ちません。

また普通の酔っ払いはいるものの、大麻でどうしようもなくなっている人は見かけませんでした。違法時代からの長い歴史を考えれば不思議ではありませんが、タイ人も観光客も大麻を特別な「ヤバいもの」だと考えているようには見えません。

なおバンコク在住者の話によると、大麻合法化に伴って酒が大麻に一定量置き換わることで、飲酒に伴う喧嘩は減少しているとのことです。

まだ多くを語ることはしませんが、タイの社会の本質は大麻によって変化しているようには見えません。ざっと見た感じでは「新しくて儲かるビジネスのタネがひとつできた」と受け止めているようです。

100万本の大麻の苗を栽培希望者にプレゼントするなど、政府が旗を振って導いた大麻合法化だからこそ、政府公認のビジネスチャンスとして受け止められたのではないでしょうか。

以降、大麻の栽培や販売などに関わる人々にインタビューしていきますのでお楽しみに。

おまけ。早朝のカオサンロードは早朝移動のバックパッカーの姿もなく静かなものでした。


マクドナルド前ののら猫。タイの路上ではあちこちでこんな猫が見られます。人に慣れている猫も多い印象です。



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