「外国人技能実習制度」がようやく廃止へ、しかし新制度には不安も



現代日本の奴隷制度と呼ばれ、海外からは強制労働、人身売買との批判も根強い日本の「外国人技能実習制度」がようやく廃止されることになりそうです。


「外国人技能実習制度」がようやく廃止へ

NHKなど各報道機関によると、外国人の日本での労働のあり方を検討する政府の有識者会議が4月10日、外国人技能実習制度の廃止を求める提言の試案をまとめました。

これまでは「国際貢献」をお題目に、途上国への技術移転を促すという建前のもとで外国人実習生に対する賃金未払いや違法残業、パワハラ、セクハラをはじめとする苛烈な人権侵害が横行してきました。


米国務省は2016年の段階で外国人技能実習制度を人身売買と非難しており、2020年にも「強制労働が行われている」とする継続的な報告があるにもかかわらず摘発が無いことを指摘しています。

新制度創設の方向性ながら不安要素も

有識者会議は、今後は人材確保と人材育成の双方を目的とした新しい制度を創設すべきだと提起しました。

新制度については人材確保のための転職の制限の緩和に加え、より幅広い業務に従事できるように求めています。

さらに3年以上の実習を修了した技能実習生が試験を免除される「特定技能」に円滑に移行できるようにすることで、中長期的な労働力を確保することも想定されています。


一方、奴隷商人と非難されることも多い受け入れ支援の管理団体については廃止せずに悪質な団体を排除すると述べるに留まっています。

現時点では新制度での外国人労働者に日本人と同じ最低賃金が適用されるかについては言及がありません。

アジア諸国の物価や賃金が上昇を続ける現状で、どこまで日本での就職が魅力的かには疑問符が付きます。

当然ながらろくに賃金ももらえずに人権侵害が続くのであれば、日本は外国人労働者の選択からは外れることになります。


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