Photo by Mathilda Karlsson
東京オリンピックで海外からの観光客をおもてなしするはずが、与党自民党の強烈な抵抗によって骨抜きにされてしまいました。詳細は以下から。
オリンピック開催国の標準である「公共の場での屋内全面禁煙」を目指して進められてきたはずの受動喫煙防止策を盛り込んだ健康増進法改正案。今年の通常国会に提出される予定でしたが自民党の強烈な抵抗によって法律までもが提出を断念に追い込まれました。
そして厚生労働省が受動喫煙防止策として、店舗面積150平米以下の飲食店での喫煙を認める新たな案を自民党と調整していることが11月16日に判明しました。
これは自民党が提示していた、飲食店の業態に関係なく客席100平米以下、厨房50平方平米以下で、最大延べ床面積150平米以下の店では店頭に「喫煙」「分煙」と表示した上で未成年者の立ち入り禁止などの条件を満たせば喫煙できるようにするという案を厚労省が飲まされかけているということを意味します。
厚労省は通常国会時には床面積30平米以下のバーやスナック以外は原則屋内禁煙とした上で、喫煙には専用室の設置を必要とする法案を作成していました。これすら「公共の場での屋内全面禁煙」からは大幅な後退だったわけですが、自民党はこれにも満足せず完全な骨抜きをゴリ押しする意向です。
ところで150平米とはどのくらいの大きさなのでしょうか?小学校などにある25mプールの多くは横幅が12mで、面積は約300平米。つまりは学校のプールの半分程度の大きさの店であれば喫煙可にできてしまうということ。
既存店が対象で新規店には許可しないとしており、大手チェーン店などは除くとしていますが、中小企業や個人事業主の店舗が対象であれば、よほどの大店舗を除いてはほぼ150平米に収まってしまいフリーパス状態に。
医師会や患者団体に加えて自民党内にもより厳しい防止策を求める声があるため、今後は激しい反発も起きそうですが、当の自民党の竹下亘国会対策委員長は「政治は妥協の世界だ。自分の言うことだけ通るなら政治はいらない」「たばこ大好きの私にとっては、出てこない方がいいなと思いながら構えているというのが、正直なところだ」などと公言しており、まったく譲ろうとする気配はありません。
海外から多くの観光客をオモテナシするはずの東京オリンピックですが、一部の日本人喫煙者の快適さの確保のため、極めて標準的な受動喫煙防止策すら台無しにされてしまいそうです。本当にこれでオリンピックなど開催する資格があるのでしょうか?
受動喫煙対策:喫煙可、飲食店150平方メートル以下 - 毎日新聞
(Photo by Mathilda Karlsson)
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