日本原電が原発の廃炉費用を流用、積み立て金1800億円が更地に消えるミステリー



原発の廃炉費用を流用したのみならず、その費用で建設していたはずの原発は更地のままでした。詳細は以下から。


原発専業会社の日本原子力発電(原電)が、廃炉のために準備しておくべきお金を流用し、残高が大幅に不足するという呆れた事態が発生していることが明らかになりました。

原電が保有する原発4基のうち、東海第二原発は2018年11月に運転開始40年を迎え、敦賀原発2号機は建屋下に活断層が走っている可能性が指摘されています。仮にこれらの原発が廃炉の判断を迫られた場合、原電が作業に必要な費用を賄えない可能性が出てきました。

経済産業省の省令では、原発事業者は保有する原発の廃炉費用を見積もって毎年解体引当金の名目で積み立てるよう義務付けられていますが、積み立てたお金を一時的に別の用途に使うことは禁じていません。

原電の場合では廃炉作業中の東海原発と敦賀原発1号機を含む4基の廃炉にあてるため、総額1800億円前後の解体引当金が積み立てられている計算のはずが、関係者によると「大半を流用してしまった」とのこと。

福島第一原発事故の前に原電は金融機関からの借金を増やさない目的で解体引当金を敦賀原発3、4号機の建設費に流用することを決めたとのこと。しかし福一事故後に原電の全原発が停止して資金繰りが厳しくなり、穴埋めする余裕がなくなって流用が続きました。原電はこうした事態に至りながらも解体引当金をどの程度使ったかを明らかにしていません。

ではその敦賀原発3、4号機がどうなっているかというと、2017年4月の時点ではまだ更地のままで放置されています。原電の公式サイトによると、2004年7月から敷地造成などの建設準備工事に着手しており、建設予定地敷地造成が完了したのは2010年3月のこと。

東日本大震災直前の2011年2月に原電が見直した工程では、着工が2012年3月、運転開始は3号機が2017年7月、4号機は2018年7月の予定でしたが、福一事故によって国の安全審査が棚上げされ、約5年間工事は進んでいません。地図の左手にある広大な更地が敦賀原発3、4号機の建設予定地です。


福一事故前に解体引当金の流用を決めたということであれば、その時点では建設予定地敷地造成は終了していたはずです。つまり、5年間放置された更地に1800億円が吸い込まれて消えてしまったということになります。

なお、原電は既に総事業費約7700億円のうち敷地造成工事などに約1400億円を投じています。また震災前の計画は新規制基準に対応していないため、総事業費はこの数字よりも増える可能性が高くなっています。

自身の所有する原発の廃炉費用すらままならない状態で、この敦賀原発3、4号機を稼働させるまでの費用をどこからどのように捻出するつもりなのでしょうか?

原電の廃炉費、大幅不足 原発建設に流用、全基停止後も:朝日新聞デジタル

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