待遇の驚くほどの悪さと猛暑下での作業の危険性が数年前から指摘されてきた東京五輪ボランティアですが、改作まで1年を切って過酷さが具体的に明らかになってきています。詳細は以下から。
各所で連日最高気温35度超えの猛暑の続く日本列島。熱中症に対する警告は毎日テレビやネット上でも叫ばれています。
そんな7月末から8月頭に掛けて2週間開催される東京オリンピックのボランティアについては、場合によっては専門職級のスキルを求められつつも宿泊費や交通費のほとんどが自腹のただ働き以下となり、猛暑の中で長時間炎天下での作業が課されるなど、やりがい搾取の劣悪待遇であることが以前から指摘されてきました。
そんな東京オリンピックの開催まで1年を切りましたが、ここに来ていったいどのように過酷で劣悪な待遇となるのか、その具体例が示されて話題となっています。
ネット上で指摘されているのは7月16日に開催された「第4回ボランティア検討委員会」での検討事項について。これは同委員会の清家座長、二宮委員、山本悦子委員らが取材に応じたものです。
大会時のボランティア活動の環境について、暑さ対策は基本的には自己管理としつつ、研修内で休憩の重要性を伝えるほか、水分補給のための環境づくりに努め、今夏に実施されているテストイベントにおいても活動シフトのパターンをいくつか試すなどして、本番に備えることとしました。また、食事については、弁当のほか、温かい食事の必要性も議論され、引き続き検討していくこととなりました。
さらに、マラソンなど早朝に行われる競技については、ボランティアの会場入りが始発の交通機関でも間に合わないため、終電での会場入りを想定。その場合は待機時間が見込まれるため、ボランティア同士の交流機会や、士気を高めるような取り組みを検討していくこととなりました。
(第4回ボランティア検討委員会 開催 _ 東京2020オリンピック・パラリンピックボランティア _ ボラサポより引用)
まず目を引くのが「暑さ対策は基本的には自己管理」というところ。ボランティアの安全や健康を管理するのは大会ボラであれば組織委員会、都市ボラであれば東京都、さらには日本財団ボランティアサポートセンターのはずですが、これでは最悪「熱中症になったら自己責任」ということになってしまいます。
またここでは、暑さ対策のために競技開始時間が早朝になるマラソンなどの競技では「終電での会場入り」を想定し、競技までの待機時間に「ボランティア同士の交流機会や、士気を高めるような取り組み」を検討していくとしています。
これはつまり、深夜に終電で移動させた後に他のボランティアらと不眠不休で士気を高めさせ、熱中症のリスクが大幅に高まったところで、そこから炎天下で何時間もボランティアに従事させる方針ということになります。
熱中症の人体要因のひとつが「睡眠不足」である事は多くの日本人であれば既に体感として知っていること。これは大塚製薬や日経新聞も指摘している他、厚生労働省の主導する「職場における熱中症予防に関する講習会」の2018年の資料にも明記されています。
ボランティアには未成年者や暑さに慣れていない外国人もいるはずですが、このブラック企業も裸足で逃げ出しそうな待遇で熱中症が発生しても、「自己責任」で通すつもりなのでしょうか。
なお仮眠を取らせない理由としては、そもそも五輪開催期間中の宿泊施設自体が大幅に不足していることが報じられているように、ネット上ではボランティアが仮眠できるような待機場所を確保できないのではないかとの指摘もされています。
そのほかにもネット上では「コミケですら徹夜禁止なのに…」「兵站軽視は戦前からの日本の伝統」「ヒロポンが再度合法化されるのでは」といった声も出ています。
具体的になるほどにエグみの増してくる東京五輪ボランティアの実情ですが、何よりもまず人命第一の姿勢が強く求められます。
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