プロとして活躍する報道写真家を支援し、彼らの活動を広く世界に紹介することを目的としてオランダで設立された非営利団体「世界報道写真財団(World Press Photo)」が毎年主催する「世界報道写真展」。55回目となる今年は124ヵ国から合計10万1254点もの作品が5247人のプロカメラマンによって応募されました。その中から厳正なる審査によって選ばれた、言葉よりも遥かに雄弁で、見る者の心に突き刺さる全受賞作品を数回に渡って掲載します。
なお、これらの受賞作品は「世界報道写真展2012」として日本でも展覧会が予定されています。詳しくはこの記事の末尾を参照してください。我々日本人にとっても忘れられない年となった「2011年」に世界で一体何が起きていたのか、改めて振り返るきっかけになりそうです。
※報道写真という性質上、事故や事件を写した作品も多く、遺体の画像も含まれているので閲覧の際には十分に注意してください(画像はクリックで拡大します)
◆「ニュースの中の人々」の部:単写真
「『ニュースの中の人々』の部:単写真」で1位を獲得し、同時に世界報道写真大賞2011(World Press Photo of the Year)も受賞した作品。イエメンの首都サヌアで起こったアリ・アブドラ・サレハ大統領に対するデモで負傷し、野戦病院として使われているモスク内へ運ばれた息子を両手で抱く女性。(Samuel Aranda、2011年10月15日)
2位。ニューヨークのハーレムで起きた、警察のやり方と所得の不平等に対するデモ中に参加者が逮捕された瞬間。(Tomasz Lazar、2011年10月21日)
3位の「ARRIVING FOR TRIAL」。エジプトの元大統領ムバラクが裁判のために法廷へと連れていかれているところ。(Mohammed al-Law、2011年9月7日)
◆「ニュースの中の人々」の部:組写真
1位の「TSUNAMI」。岩手県大槌町にて佐羽内さん姉妹が、津波によって遊覧船が二階建ての建物に乗っかった様子を見ている場面など。(Yasuyoshi Chiba、2011年3月~4月)
2位の「EVICTED」。家賃の支払いが遅れたために、保安官代理がコロラドのJulie Holzhauerさん宅に来て立ち退き命令を出しているところなど。(John Moore、2011年9月)
3位の「THE FIGHT FOR TAHRIR SQUARE」。カイロのタハリール広場で行われた反政府デモにて軍服を着た少年など。(Jan Dago、2011年2月)
◆「一般ニュース」の部:単写真
1位の「MUBARAK STEPS DOWN」。カイロのタハリール広場にてムバラク大統領の演説を聞いた後、叫び声や聖歌、悲鳴をあげている抗議者たち。(Alex Majoli、2011年2月10日)
2位の「EARTHQUAKE IN JAPAN」。東日本大震災によって船が石巻港の桟橋までせり上がっているところ。(Lars Lindqvist、2011年4月15日)
3位の「TSUNAMI」。東日本大震災の後、宮城県名取市の路上に座り泣く女性。(Toshiyuki Tsunenari、2011年3月13日)
◆「一般ニュース」の部:組写真
1位の「BATTLE FOR LIBYA」。リビアで戦場となった石油の湧くRas Lanoufにて戦士が旗の下で休んでいるところなど。(Remi Ochlik、2011年3月)
2位の「TSUNAMI AFTERMATH」。東日本大震災によって壊滅的な被害を受けた岩手県山田町の様子など。(Paolo Pellegrin、2011年4月)
3位の「JAPAN'S NUCLEAR REFUGEES」。福島第一原発の事故によって避難区域となった南相馬市小高区に残された、乾燥した泥の足跡など。(David Guttenfelder、2011年4月)
◆「スポットニュース」の部:単写真
1位の「ON REVOLUTION ROAD」。「世界が我々を支援してくれる」と願っていたリビアの反政府勢力が、最高指導者ムアマル・カダフィ側からの攻撃に何週間も耐えぬいていた時期の一場面。(Yuri Kozyrev、2011年3月11日)
2位。宗教的な儀式の最中に起きた爆破テロの直後、アフガニスタンのシーア派イスラム教徒が泣き叫んでいるところ。少なくとも30人の死傷者が出ました。(Massoud Hossaini、2011年12月5日)
3位の「SAVING THE DESPERATE 'BRIDE'」。ウェディングドレスに身を包んだ22歳の女性が、中国の吉林省にある7階建ての建物から身を投げて自殺しようとしたところを地域コミュニティ・オフィサーが掴んでいるところ。地元メディアによると、4年間付き合い、結婚の約束をしていた彼氏と別れた直後の出来事だったとのこと。(Li Yang、2011年5月17日)
選外佳作。オスのヒョウが森のガードマンに襲いかかろうとしている瞬間。ヒョウはインドのジャングルを人間が侵略した結果、死ぬことになった260の動物のうちの一つ。(Salil Bera、2011年7月19日)
◆「スポットニュース」の部:組写真
1位の「THE FURY OF THE TSUNAMI」。宮城県名取市を襲った巨大な津波の写真など、東日本大震災によって起きた災害写真。(Koichiro Tezuka、2011年3月)
2位の「UTØYA」。警察のヘリコプターがオスロ近郊にあるウトヤ島で起きたウトヤ島銃乱射事件の犯人を捜している様子など。(Niclas Hammarstrom、2011年7月22日)
3位の「DAWN OF A REVOLUTION」。エジプトで起きた「怒りの金曜日」と呼ばれる大規模デモ。(Eduardo Castaldo、2011年1月28日)
■肉眼で作品が見られる日本での「世界報道写真展2012」
これらの受賞作品は今年から来年にかけて世界45ヶ国で展覧会が実施される予定となっており、日本では6月~8月にかけて「世界報道写真展2012」として東京、大阪、京都、滋賀の順で開催されます。興味を持った人は是非足を運んでみてください。
【東京】
場所:東京都写真美術館(〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
http://syabi.com/
期間:2012年6月9日(土)~8月5日(日)
【大阪】
場所:梅田HERBIS地下2階(〒530-0001 大阪市北区梅田2丁目5番25号)
http://www.herbis.jp/
期間:2012年8月8日(水)~8月16日(木)
【京都】
場所:立命館大学 国際平和ミュージアム(〒603-8577 京都市北区等持院北町56-1)
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/er/wp-museum/index.html
期間:2012年9月20(木)~10月14日(日)
【滋賀】
場所:立命館大学 びわこ・くさつキャンパス(〒525-8577 滋賀県草津市野路東1丁目1-1)
http://www.ritsumei.jp/index_j.html
期間:2012年10月17(水)~11月1日(木)
<続き>
世界で最も優れた報道写真、「世界報道写真展2012(World Press Photo)」 ~スポーツ、日常生活、ポートレイトの部~ | Your News Online
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世界で最も優れた報道写真、「世界報道写真展2012(World Press Photo)」 ~自然、現代社会の問題、アート&エンターテインメントの部~ | Your News Online
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