【コラム】アジアでベッグパッカー(乞食旅行者)が増加して問題に、日本人でも



バックパックを担いで長期の貧乏旅行をする人の事をバックパッカーと呼びますが、その斜め下を行く恥ずかしい旅人が増加しているようです。詳細は以下から。


◆そもそもバックパッカーって?
古くは藤原新也の「印度放浪」から沢木耕太郎の「深夜特急」、そして猿岩石から始まる「進め!電波少年」の放映などの影響で、多くの日本人の若者たちが東南アジアやインドを目指して旅に出ました。

大きなバックパックを背負い、安宿に泊まり歩き、屋台で飯を食べながら旅費を節約し、数ヶ月から数年にわたって各国を旅して見聞を広めるバックパッカーという旅のスタイルは大きな流行になりました。

それまでは団体でのツアー旅行や、欧米の有名観光地やビーチリゾートへのパック旅行などがメインだった日本の海外旅行のあり方を大きく変えるきっかけともなっています。

こうした旅のスタイルはもちろん日本独自のものではなく、ヒッピームーブメントの時代から欧米人の若者たちはアジアを訪れていましたし、00年代に入る頃からは韓国や台湾、香港からのバックパッカーも頻繁に見られるようになりました。

バックパッカーたちは一般的には自国でお金を貯めて旅に出るか、ワーキングホリデーをはじめとした就労可能なビザを取得して旅をしながら働いて資金を稼ぎ出しています。

近年では文字通りのノマドワーカーとして仕事をしつつ旅する人、旅の出来事をブログやネットメディア、YouTubeなどで公開して資金にすると人も見受けられますが、そのはるか斜め下を行く旅人達が冷ややかな目線を浴びています。そう、乞食です。

◆乞食しながら旅をするベッグパッカー
バックパッカーとしての旅の醍醐味のひとつがツアーやパックでは味わえない、現地の人々との交流です。

たまたま電車やバスで乗り合わせた人に食事に招かれたり、言葉も通じない人に助けられたりというエピソードは、バックパッカーの旅を記した書籍などでは定番。人の優しさや親切心に触れ、自分や自国のあり方を考え直すきっかけになったりもします。筆者もそうでした。

そうした出来事や体験自体は素晴らしいのですが、そうした優しさや親切心を当て込んで旅をする人が出現し始めてしまいました。

それがベッグパッカー(乞食旅行者)です。これはバックパッカー(Backpacker)と乞食をすること(Beg)が合わさった造語。

ベッグパッカーたちはアジアの街角で、「世界を旅するサポートをしてください」「旅を続けるお金がないから助けて」などと書いたダンボールなどを提示して乞食をします。




時にはフリーハグを装い、ドネーションを求めるようなベッグパッカーも存在しているようです。




もちろん以前から大道芸や音楽演奏によるバスキングをしたり、自作のクラフトやアクセサリー、絵などを売りながら旅をするアーティストは存在しました。

これらは国によっては違法だったりグレーゾーンだったりはしますが、少なくとも自分の技能や作品をお金に替えているわけですからベッグパッカーとは別の存在です。

ベッグパッカーの特徴は自分たちの金銭的な負担を、自国よりも貧しいはずの旅先の現地人たちの好意にたかろうと、べったり甘えきっていること。




やっていることはどこから見ても100%完全に乞食そのもので、金がないなら帰国して働いてまた旅に出ればいいところを、親切な他人の金で自分の楽しみを満喫しようという極めて卑しい心根で動いています。

それどころか、場合によっては彼らは金を使わずに(ということは当然他人の金やリソースで)どれだけ長く、世界中を旅したかを武勇伝のように語ることもあります。

◆バックパッカーの理念とは真逆もいいところ
バックパッカーは元来ツアーやパック旅行などの縛りから抜け出して、自らの自由意志と責任で世界を見てやろうという気概が根底にある旅のスタイルです。

時間はあっても金はない若者がそれを実現するためには、自力でビザや交通機関を手配し、安い宿や食事などを探す必要がありました。

そのため旅行資金のマネジメントはバックパッカーにとって最重要課題であり、どれだけ切り詰めつつどれだけ旅ができるのかを考えるのは悩ましくも楽しい時間でした。

そこには自立を前提とした自由があり、否が応でも背負わなければならない責任がコインの表裏のように付きまといます。




ベッグパッカーは金銭的な自立を放棄して他人の手にすがり、結果として旅の自由度すらも殺して乞食へと成り下がることを意味します。

◆当然アジアで嫌われるベッグパッカー
当然ながらこうした行為は最初は憐れまれたり心配されたりしても、やがて現地の人々から大きな反発を買うようになります。

インドネシアのバリ島などではこうしたベッグパッカーが繁華街の通りに大勢並ぶようになり、入管が各国大使館に送りつけています。ここではオーストラリア人、イギリス人、ロシア人が多いと言うこと。

他にもタイやマレーシア、ベトナム、韓国、香港といったアジア各地でベッグパッカーは出没していずれも嫌われており、欧米人のみならず台湾では日本人が現地の人々にたかりながら無銭旅行をしている光景が最近見られるとのこと。




彼らは自由な旅をしているつもりかもしれませんが、自分たちの行為が先人達の築き上げた信頼を少しずつながらも損ねている事は認識しておいた方がよさそうです。

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