サイケデリックな幻覚剤を服用すると人間は「環境に優しくなる」ことが明らかに


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ヒッピーたちが自然に還ろうとした理由が判明しました。詳細は以下から。


1970年代の初頭、幻覚剤のLSDを服用してウッドストックや各地のギャザリングでハイになっていたヒッピーたちは社会からドロップアウトし、マザーネイチャー(母なる自然)の中でコミューンを作ってオルタナティブな暮らしを送ろうと都市を去って行きました。

いったいどうしてそんなことになったのか、科学的に説明が付けられました。そう、サイケデリックな幻覚剤を服用した人間は「環境に優しくなる」ことが分かったのです。

Journal of Psychopharmacologyに掲載されたアメリカ合衆国のエール大学とオーストリアのインスブルック大学の研究によると、幻覚剤を服用した経験のある人間はリサイクルや二酸化炭素排出量を意識し、より環境に優しい行動が見られるようになり、その多数は自然に対してより近い感覚を持つようになります。

「(LSD、マジックマッシュルーム、メスカリンなどの)代表的な幻覚剤を服用するほどに、人は自然の中で時間を使うことを楽しむようになり、自然の一部として自己を再構築するようになります」と主任研究員は述べています。

研究では1487人の被験者に対してサイケデリックな幻覚剤の経験を尋ねています。この中で幻覚剤とそうでないドラッグの双方の経験者に対し、環境主義者と取れる振る舞いや、いわゆる「環境に優しい」物事に対する調査を実施。さらに対照のためにドラッグの使用や自然との関係、経験へのオープンさ、誠実さ、保守主義等についても調査しています。

研究者らは人々のサイケデリックな幻覚剤の経験と、リサイクルや二酸化炭素排出量削減、地域のエコなお店のサポートといった活動がリンクしていることを発見しました。また、サイケデリックな幻覚剤を服用した事のある人は環境に優しい意見に賛同し、「人間は自然のリソースを使いたいように使う権利がある」といった考えには反対します。

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しかし、今回の調査で発見されたのはここまで。逆に環境に優しい人がドラッグの仕様に対して肯定的かというと、そうではありませんでした。タバコやアルコールについても、アメリカ合衆国で合法化の進む大麻についても、それ以外の違法ドラッグについても肯定的な結果は出ていません。いったいどのようなタイプの人がサイケデリックな幻覚剤と環境の双方に惹かれるようになるのかという特徴も不明です。

ただし、研究者らによると「サイケデリックな幻覚剤が自我の溶解させる効果の一環として自然と繋がる感覚が増加することは間違いないだろう」とのこと。

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サイケデリックな幻覚剤が直接的に自然と繋がる感覚に影響を与え、環境に優しい行動をさせるのかを確認するためにはさらなる研究が必要だとのこと。研究者らはそうした個人の充足感が地球を救う可能性もあるとしています。

確かに人類全てが環境に優しくなれば、政治や経済というレベルでも地球環境に対する態度が変わってくるのかもしれません。

People Who Have Taken Psychedelics Are More Likely To Be Environmentally Friendly _ IFLScience

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