世界で最も依存性の強い物質ベスト5、あの身近な嗜好品もランクイン



地上に存在する物質の中で、最も依存性が高いのは何でしょうか?詳細は以下から。


人間はいろいろな物事に依存しながら生きています。依存症として知られるものの中にはドラッグなどの物質だけでなく、恋愛やセックス、ギャンブルに買い物といった「行為」も含まれますが、ここでは物質だけに限って見てみましょう。

ランキングはイギリス薬物乱用諮問委員会(ACMD)の会長を努めたデビッド・ナット氏の研究をベースとしたものです。

1位:ヘロイン


ヘロインは最も依存性の強いドラッグとしてランクされており、3点満点のうち2.5点となっています。ヘロインはアヘンから精製された「ダウナー系」のドラッグで、脳の報酬系のドーパミンレベルを最大で200%増加させることが動物実験で判明しています。

それだけではなく、1度の使用で「ハイ」になる量のほんの5倍が致死量という極めて危険なドラッグでもあります。さらには「使用者と社会に対して有害な物質」の2位にも輝いています。

2位:アルコール

Photo by David Blackwell.

世界の多くの国で合法であり、豊かな食文化の一翼を担うお酒の有効成分、アルコールが依存性第2位です。ナット氏のランクでは2.2点という高得点を出しています。

アルコールには多くの精神的な効果がありますが、動物実験では脳の報酬系のドーパミンレベルが40%から360%増加し、しかも飲めば飲むほどレベルが上昇することが分かっています。22%のアルコール摂取者が人生のどこかの時点で依存症に陥いるということ。

またWHOの調査によると、2002年にアルコールを摂取した人は20億人にもおよび、2012年の調査では300万人がアルコール摂取による身体へのダメージを理由として死亡しています。

さらに「使用者と社会に対して有害な物質」では堂々の1位。週末の繁華街や終電を見れば一目瞭然ではありますが、アルコールはヘロイン以上に周りに迷惑ということは自覚して飲んだ方が良さそうです。

3位:コカイン


コカインは中枢神経のドーパミンの分泌をオフにするシグナルを阻害することで、通常ではあり得ないほど脳の報酬系を活性化させます。動物実験ではコカインが脳の報酬系のドーパミンを通常の3倍以上にまで高めることが分かっています。

また、タバコで吸引するタイプのクラック・コカインは「身体に有害な物質」の第3位、鼻から「スニッフ」するタイプの粉末コカインは第5位となっています。さらに、コカイン使用者の21%が生涯のどこかで依存症に陥っています。

4位:バルビツール系


中枢神経系抑制作用を持つ向精神薬のグループ。ブルーバレット、ゴリラ、ピンクレディーなどの俗称でも呼ばれています。

脳内の化学物質の伝達を阻害し、脳の広範な部分をシャットダウンしてしまいます。低量の使用では多幸感を得られますが、大量に使用すると呼吸をも抑制し、死に至る危険も。

以前は鎮静薬、静脈麻酔薬、抗てんかん薬などとして処方されていたため依存症に陥る人も多かったのですが、現在は改良されたベンゾジアゼピン系が用いられているため、実際の依存症患者は劇的に減少しました。

5位:ニコチン

Photo by Szymon KochaDski

タバコに含まれる主要な依存性物質がニコチンです。タバコを喫煙するとニコチンはただちに肺から吸収されて脳に到達します。

アメリカ合衆国でタバコを喫煙した人の2/3が人生の中で依存症に陥っており、2002年のWHOの報告では10億人以上がタバコを吸い、2030年には年間800万人がタバコの健康被害で死に至るとされています。

ラットを使い、血中に直接ニコチンを注入する動物実験では脳の報酬系のドーパミンレベルが25%から40%増加することが知られています。

私たちの身近に存在するお酒とタバコ。どちらも依存性のある嗜好品として知られていますが、ヘロインやコカインといったダメ・ゼッタイなドラッグと比べても何ら遜色のない依存性を持っていることがよく分かります。

文化だから、楽しいから、落ち着くから、お酒とタバコを止めないことにはそんな理由を付けがちですが、結局それは単なる依存症の言い訳なのではないかと一度自問してみるといいかもしれません。

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