体にいいのは気のせいではなく、脳の中枢神経系に影響していたということになります。詳細は以下から。
「Intermittent Fasting」は断続的断食といった意味合いですが、日本ではカジュアルに「プチ断食」と呼ばれる断食法。この断食法では1日のうちで14時間から18時間の断食タイムを設けます。
プチ断食によって海馬のニューロン新生が促進されるようだということはこれまでも指摘されてきましたが、その関係性の仕組みはほとんど分かっていませんでした。なお、海馬は短期及び長期記憶を司る脳の重要な部位のひとつです。
シンガポール国立大学と韓国の成均館大学校の共同研究チームはマウスを用いて3ヶ月間に及びプチ断食が海馬にもたらす影響を調査し、ジャーナル「Brain and Behavior」に発表しています。
まずマウスはランダムに、断食なしの対照実験グループとそれぞれ12時間、16時間、24時間の断食を行うグループの4つに分けられます。12時間と16時間のグループは15時から翌7時まで、24時間のグループは1日おきに断食を実施しました。これらの4つのグループのマウスはスケジュールの違いに関わらず、ほぼ同じ量の餌を食べています。
想定どおり、断食をした3つのグループのマウスではそれぞれ海馬でのニューロン新生が見られましたが、最も劇的な新生を見せたのは16時間断食のグループでした。
より詳細にこの現象を理解するため、研究者らはサンプル中の特定のたんぱく質を探知するイムノブロット分析という方法を用いました。
その分析によると、神経、造血、血管、体節などの様々な分化過程に関係する遺伝子調節経路である、Notchシグナリング経路の活性が増加していたことが判明しました。
人類ではこのNotchシグナリングは学習や新しい記憶の形成を司る海馬でのニューロン新生と深いかかわりをもっています。
まだ私たちの食事のサイクルが脳の機能や構造にどのような影響をもたらすのかという研究は始まったばかり。プチ断食をしたからといってすぐに学習効率が上がったり記憶力がよくなったりという結論には飛びつけません。
ですが、やってもやらなくても同じではなかったことも確か。少しずつ昔からある断食という健康法の真の効果が明かされていくことになるのかもしれません。
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