老舗ブランドの主要デザインを極右集団が乗っ取り、当該エリアへの出荷停止が宣言されるという事態に至りました。詳細は以下から。
イギリスの有名ブランド「フレッドペリー」は1957年に誕生し、高品質なポロシャツなどで世界中で愛されています。
特に襟と袖にティップラインの入った「M12」というデザインは「Fred Perry Shirt」と呼ばれるオリジナルの主要デザイン。その中でも黒字に袖に黄色、襟に2本の黄色ラインの入ったバリエーションは最も高い人気を誇っていました。
ですがこのデザインを、アメリカ合衆国を拠点として活動する白人至上主義者とも深い関りを持つ極右集団「Proud Boys」が非公式ユニフォームとして採用してしまったのです。
(Wikipediaより引用)
この集団は日本でもファンの多いネットメディア「Vice」の共同創始者(2008年に離職)としても知られるカナダ人のGavin McInnesが2016年に創設したもの。
「西欧至上主義」を掲げており、トランプ支持で移民排斥を訴えて「ブラック・ライブズ・マター」運動やアンティファとも対立。2018年にはヘイト団体としてFacebookとInstagram上から排除されています。
映画評論家の町山智浩氏のトランプ支持者集会レポ記事「「完全にキマってます」町山智浩がマリファナまみれのトランプ支持者集会に突撃生中継【全文書き起こし】」にも登場しており、読んでみるとどのようなタイプの集団か想像がつくかもしれません。
フレッドペリーはこうした事態に、2019年9月から「Proud Boys」が活動を続けるアメリカ合衆国とカナダでの上記デザインのポロシャツの出荷を停止し、同団体が消滅するまで販売再開しないことを現地時間9月24日にステートメントで宣言しました。
ステートメントの中でフレッドペリーはは自らのブランドは65年かけて包括性、多様性、独立性を打ち立ててきたと、自社がいかなる形でも「Proud Boys」とは関りがなく、不法にブランドを用いるケースには法的措置を行うと明言しています。
またフレッドペリーは2017年の同社のJohn Flynn会長の言葉を掲載しています。
フレッドは労働党の下院議員の息子であり、当時エリート主義者のスポーツだったテニスでチャンピオンになった。そして彼は東欧から来たユダヤ系のビジネスマンと共にこの仕事を始めた。
このような(Proud Boysに関する)質問に答えることだけでも屈辱的だ。我々は奴らの理想をなんら支えてなどいない。奴らは我々の信条や我々がともに働く人々とは真逆の存在だ。
同様の出来事は今回が初めてではありません。マット・フュリーの漫画に登場する「カエルのペペ」というキャラクターは2015年頃から人種差別主義的な投稿に使われるようになり、その後トランプ支持のオルトライトと呼ばれる右翼層がミームとして利用するようになりました。
(Wikipediaより引用)
これに激怒した作者のマット・フュリーは公然と批判。イメージ回復を目指した「#SavePepe」キャンペーンを打つものの不発に終わり、2017年にはペペの葬儀のエピソードまで描きました。
ある種のキャラクターやブランド、ファッションアイテムが文化を代表する例はこれまでにも数多くありましたが、それがファシズムや差別主義と結びつくものだった場合に作者や企業はどうすべきなのか。今回のフレッドペリーの断固たる意思表示はひとつの指標となるかもしれません。
・関連記事
「権力大好きな右翼」ほど間違った信念を修正できない、間違いだと分かった後ですら | BUZZAP!(バザップ!)
【追記あり】暴動を扇動したアンティファのアカウントは白人至上主義者のなりすまし、米ツイッター社が暴露 | BUZZAP!(バザップ!)
ミネアポリス暴動での略奪に市外からの白人至上主義組織が関与、州当局が指摘 | BUZZAP!(バザップ!)
保守的、差別的な人ほどIQが低い傾向が明らかに | BUZZAP!(バザップ!)