BUZZAP!でも昨年アメリカ合衆国ワシントン州で娯楽用大麻の合法化と同性婚の合法化が行われたことを報じましたが、フランスではオランド大統領が同性婚の合法化に乗り出すなど世間の風潮は同性婚容認に傾いていたかに見えました。しかし先日パリではこれに反対するデモが発生し警官隊と衝突、大勢の逮捕者を出す事態になっています。一体何が起こっているのでしょうか。
現在までに同性婚を合法としたのはオランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランド、デンマークで、アルゼンチン、カナダ、南アフリカ共和国、そしてワシントン州を含めたアメリカ合衆国の11の州。オバマ大統領も再選前の2012年5月の段階で現職のアメリカ大統領としては始めて同性婚の支持を表明しています。
朝日新聞デジタル:オバマ氏、同性婚支持を表明 歴代米大統領で初めて - 国際
フランスでも同じ月に同性婚合法化を公約に掲げたオランド氏が大統領に就任。今年の2月には同性カップルが結婚して養子をもつ権利を認める法案を下院に提出し、329対229で可決。4月には上院でも審議を開始する予定でした。
CNN.co.jp 同性婚の権利認める法案、フランス下院を通過
この法案に対し同性愛を認めないカトリック教会や、中道右派野党らは激しく反発。「同性婚合法化反対」を掲げたデモが3月24日にパリで行われ、警察発表で30万人、主催者発表では140万人が参加しました。このデモ隊の一部の若者らが警官隊とも見合いになり、侵入を禁止されていたシャンゼリゼ通りに乱入。警官隊はこれに対し催涙ガスなどを用いて鎮圧、内務省によると最終的に数十人が逮捕されました。
パリで大規模な同性婚反対デモ、数十人を逮捕 写真8枚 国際ニュース AFPBB News
こうしたデモは今回が始めてではなく、実は今年の1月にも発生していました。こちらの参加者は警察発表で34万人、主催者発表では80万人とされており、どちらをより正確と見るかで運動の盛衰への判断は別れます。
同性婚反対で大規模デモ パリ、「80万人」と主催側 - MSN産経ニュース
それほどまでにフランスで同性婚に対する反発が強いということなのでしょうか?実際にカトリック教国であるフランスでは保守的なカトリックの信者ほど教義に基き同性愛自体に反対する傾向があるため、一定の反発は避けられるものではありません。
ただし、今回の同性婚合法化に対しての批判は単にこの法案への反対のみと受け取れない部分もあります。現在までにオランド大統領の導入した増税や失業率の上昇により経済的な苦境に立たされた人も多く、支持率は30%を割りこむほどに。さらには景気の低迷から財政赤字削減目標を、当初公約の年間GDPの3%から約3.7%に引き上げる方針とするなど、経済政策の失敗も目立っています。
そのためデモ隊が国家の「ラ・マルセイエーズ」を合唱する前には「オランド辞職しろ!」と叫ぶなど、政府に対する不満の受け皿となっている感は否めません。フランスではこれまでも雇用や経済の問題と絡んでイスラム系の移民への排斥運動が行われた経緯がありますが、今後セクシャルマイノリティが同様の対象となる可能性も考えられます。
結局はフランスが経済的に多少は持ち直さなくてはならないという身も蓋もない結論になりそうですが、ユーロ圏の抱える経済的な危機の中ではそれも簡単な問題ではなさそうです。
社会批評社
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