大麻が次世代のダイエットや糖尿病予防の薬になるかもしれないという研究報告



医療大麻への理解が進み、アメリカの一部の州では嗜好品としても認められ始めた大麻ですが、医療分野でさらに活用の幅を広げる可能性のある新たな発見がありました。


大麻には、俗に「マンチー」と呼ばれる食欲増進効果があることは古くから知られており、医療大麻の分野でも食欲増進剤として注目を集めています。今回これとは逆にダイエットや糖尿病予防に有効であるという研究結果が発表されています。

この研究の中では、これまでに大麻使用者は「マンチー」によってより多くのカロリーを摂取しているにもかかわらず、非使用者に比べて「肥満が少ないこと」「糖尿病のリスクが少ないこと」「肥満指数が低いこと」が確認されていました。

その理由として今回発見された最も重要な事実は、「大麻使用者は非使用者よりよい炭水化物代謝を行なっていたことだ」と当研究の筆頭著者であるMurray Mittlemanハーバード大学医学大学院薬学部准教授は指摘します。

大麻使用者の空腹時のインシュリンの値は非使用者よりも低く、体内で血糖値を平常値に維持するために生成されたインシュリンに対してより低い耐性を示した」とのこと。

この研究は2005年から2010年にかけて4600人の男女に対して国民健康栄養調査に基づくもの。対象の46%は人生で大麻使用の経験があり、12%は調査時点でも大麻使用者でした。研究者たちは彼らを年齢、性別、年収、飲酒の有無、タバコの喫煙の有無、健康状態など、糖尿病のリスクに影響しうる要素を調整して調査を行いました。

その結果として、現役の大麻使用者は非使用者よりも16%空腹時のインシュリン値が低く、インシュリン耐性も17%低い値を出しました。これらの値が高いと肥満と関連する2型糖尿病のリスクが増加します。

また、大麻使用者は心臓病を予防する、俗に善玉コレステロールと呼ばれる高密度リポタンパク質(HDL)についても高い値を記録しており、さらには大麻使用者は非使用者よりも平均して3.8cmウエストが細いことも明らかになりました。


なお、現時点ではこれらの有用な効果が大麻それ自体に寄るものなのか、大麻使用者の生活スタイルに起因するものなのかまでは特定できていません。ただし、大麻の有効成分が食欲と新陳代謝に深く影響していることはこれまでの研究から明らかになっています。

大麻が食欲増進の効果とダイエットや糖尿病予防に有効な効果を併せ持つ可能性に関しては、天然の大麻が向精神作用を持つ有効成分テトラヒドロカンナビノール(THC)以外にも多くの物質を含有していることで説明できます。現在その候補として挙げられているのはカンナビジオールという物質で、大麻に含まれる他の化学物質と同じ脳内のレセプターに働きかけます。

現時点で研究が明らかにしたのはここまで。実際にダイエットや糖尿病予防の薬であることが明らかにされるためにはより大規模で精密な調査研究が必要となります。現在アメリカ合衆国では18の州が医療大麻を解禁し、2つの州でレクリエーション用の大麻が合法化されました。先日も元マイクロソフト幹部が大麻ブランドを立ち上げるなど、大麻ビジネスは大きな盛り上がりを見せています。

マイクロソフト元幹部、米国初の大麻ブランド立ち上げへ Reuters

こうした動きが促進されれば、これらの研究が急速に進む可能性も否定できません。肥満や生活習慣病は日本も含めた先進国諸国では非常に深刻な問題となっており、大麻の活用が画期的な解決策となる可能性もあります。

Marijuana The Next Diabetes Drug TIME.com

(Photos by eggrole

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