司法、行政、立法でそれぞれ議論が進みながらも今国会への提出が見送られた風営法改正案。ですがクラブの未来を考える時に立ちはだかるのは何も風営法だけではありません。クラブに関わる全ての人が取り組むべき「遊び方」を示すべくPLAYCOOLのHPが立ち上がっています。
PLAYCOOL
4月25日のNOON裁判の大阪地裁での無罪判決(現在控訴中)、政府の規制改革会議による風営法からのダンス営業規制削除の提言、そしてダンス文化推進議員連盟による風営法改正案の提示など、この2ヶ月余りで大きな進展を見せた風営法によるダンス営業規制問題。
ですが、先日自民党の内閣部会では「子供に夜中まで騒ぐことを許すことになる」など、議論の内容を踏まえたとは言い難い批判にさらされ、今国会への提出が見送られたばかりです。
風営法改正案の今国会提出見送りへ、内閣部会で「子供に夜中まで騒ぐことを許すことになる」など批判相次ぐ BUZZAP!(バザップ!)
今回の一連の動きの前から、風営法改正に留まらないクラブの未来の姿を見据え、クラブ関係者、アーティストやDJ、さらにはオーディエンスが共にクラブのあり方、そして遊び方を考えてゆかなければならないのではないかという議論は存在していました。
東京で発足したクラブとクラブカルチャーを守る会(通称CCCC)はクラブ業界の窓口の役割を模索する一方で、自主ルールの制定、クラブ周辺の繁華街の清掃活動などを行っており、その中で「粋に遊ぶ」ということに着目した「PLAYCOOL」というコンセプトが生まれました。
粋に、カッコよく遊ぶとはどういうことなのか?HPでは江戸の「いき(粋・意気)」を引いて「身なり振る舞いを洗練させ、 人情に通じ、遊び方を知っていることを美徳としました。その反面、やぼな振る舞いや「いきがる」ことは忌み嫌われたのです」と述べます。
そこでピックアップされるのはダンスミュージックが生まれて独自に進化を遂げる場所であり、そこから派生するダンス、ファッション、アートなどの「文化発信の基地」としてのクラブであるということ。
さらには現在日本のクラブのイメージが非常に悪いことを踏まえ、暴力事件、騒音、ゴミのポイ捨てなどの問題が発生していることにも触れています。こうした問題を解決し、イメージを変え、近隣住民を始めとした地域、さらには産業と共存共栄を目指すとされます。
また、ここで示されるクラブは単純にオーディエンスがお金を払って体験を消費するだけの、市場原理のみで動く場所ではありません。人種、国籍、性別を問わず、マジョリティもマイノリティも自分らしく楽しむことのできる拠りどころこそがクラブなのだとされています。
以前BUZZAP!では湘南の海の家での音楽放送全面禁止の問題を取り上げましたが、クラブの未来に対してオーディエンスがどのように遊ぶのか、そしてクラブ関係者やイベントのオーガナイザー、出演するアーテイストやDJたちはどんな遊び方のスタイルを提示できるのかということは風営法の先行きに関係なく考えて行動していかなければならないことです。
湘南の「海の家での音楽放送全面禁止」に見るクラブと近隣問題と風営法 BUZZAP!(バザップ!)
サイト下部にはこのPLAYCOOLをサポートする人の写真がずらりと並んでいます。あなたの友人や好きなアーティストの姿も見つかるかもしれません。
こうした取り組みによって変わること、さらにはこうした取り組みを実行することそれ自体もがクラブへのイメージを変えるきっかけとなり、今後の展開への少なからぬ影響力を持つことになっていくでしょう。
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