去る3月24日の衆議院総務委員会で自民党の鬼木誠議員がNHKをあたかも国営放送であるかのように扱う質疑を行っていたことが明らかになりました。
3月24日に行われた衆議院総務委員会でのNHKに関する自民党の鬼木誠議員による質疑での公共放送に対する扱いが完全に「国営放送」であるとして物議を醸しています。しかしこの委員会では「そうだ!そうだ!」と賛同の合いの手が入り、異様な雰囲気となっています。
神質疑【籾井会長出席】鬼木誠(自民)【衆議院 国会中継】総務委員会 - YouTube
◆NHK改革の足を引っ張る存在、メディアによって国民の言論を萎縮している?
鬼木議員は質疑の最初で多くの疑惑の追及の続く籾井会長を擁護し、ハイヤー問題についても籾井会長の問題ではなく情報がリークされるNHKのガバナンスやコンプライアンスの問題ではないかなどと驚くべき認識を示します。
鬼木議員はあくまで籾井会長を改革の担い手とし、リークを行った内部の人間を「改革の足を引っ張る」存在であるとしています。そしてその「犯人」に対して
NHK改革をされると都合が悪いのは誰なのか、公共電波を使って国内外に反日自虐番組をし続けたいのは誰なのか。NHKの内部改革が必要であるということが私には確信されます。ぜひ籾井会長に膿を出し切って欲しいと考える次第でございます。
などと述べています。
続けてメディアの「行き過ぎた表現の自由」を問題視し、表現の自由を濫用して虚偽、歪曲、捏造、印象操作、極めて偏向した恣意的な放送を垂れ流しており、個人・法人の形式的なミスやコンプライアンス違反を叩いて潰すことで日本社会が萎縮を続けているとしており、メディアが表現の自由を標榜しながら国民の言論の自由、表現の自由を萎縮させているとします。
◆NHKには国益を害するような発信をする自由はない?
そして動画の4分過ぎから籾井会長が大バッシングされた発言である「政府が右と言うことに対して左とは言えない」という言葉に対してすら「舌足らず」だとはしながらも賛意を示し、公共放送に対する戦慄すべき持論を展開し始めます。
日本の考え、立場はこうであるということを、事実を事実として伝えてほしいわけです。国民のお金で運営される公共の電波を通じて、全世界に中国・韓国を利するような反日自虐放送を垂れ流すことに、多くの日本国民が嫌気が差しております。
これもまた表現の自由というのでしょうか。公共放送は国民のお金で運営されており、税金でもないのに半強制的に徴収されております。日本を代表して国益を背負って全世界に放映されているのに、公的見解を無視して国益を害するような好き勝手な発信をしていいはずがありません。
政府の言うとおりにやれと言っている訳ではありません。日本を代表する公共放送なのだから、正しく日本の立場を発信するべきであるということを訴えたいと思います。国民のお金でやっているのだから、国益を害するような好き勝手なことを発信をする自由はないはずだと思います。
◆NHKの基本的立場は?
NHK放送の基本は、放送法の第1条の中の二で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」と規定されています。
この「不偏不党」という言葉は大辞林 第三版の解説によると
いずれの主義や党派にも加わらないこと。自由・公正な立場をとること。
とされます。そしてこの放送法を受けてNHKは「国内番組基準」において
日本放送協会は、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで、よい放送を行うことによって、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くさねばならない。
と定めています。これは鬼木議員の「日本を代表して国益を背負って全世界に放映されているのに、公的見解を無視して国益を害するような好き勝手な発信をしていいはずがありません」「国民のお金でやっているのだから、国益を害するような好き勝手なことを発信をする自由はないはずだ」という考え方とは真っ向から対立するもの。
「公平・公正」、「不偏不党」とは具体的にはどういうことか|NHKよくある質問集
NHKに質問をする鬼木議員の関係法規への認識のあまりの低さには唖然とせざるを得ません。日本や国益にも縛られず、自由かつ公正な立場を取るべき公共放送に対して、国家のプロパガンダを垂れ流す国営放送であることを求めること自体がそもそもの間違いと言えるでしょう。
なお、驚いたことにツイッターで「鬼木誠」と検索するとこの国会質問を上記動画のように「神質疑」と褒め称えるつぶやきを多数発見することができます。
NHKに戦中のような大本営発表を垂れ流す国営放送であってほしいと願う人がそんなにも多いのでしょうか?
三一書房
売り上げランキング: 2,378,838
・関連記事
安倍政権による国内外の政権批判的報道への圧力が次々と明るみに | Your News Online
菅官房長官、古賀茂明氏の「官邸のバッシング」を事実無根で不適切としながら「放送法」をタテにテレビ朝日に圧力 | Your News Online
【追記あり】国営放送化どころか私物化、籾井NHK会長がゴルフ用のハイヤー代をNHKに支払わせる、内部通報で発覚 | Your News Online
デマと暴言に塗れた百田尚樹NHK経営委員が退任へ、政府内には再任を求める声も | Your News Online
安倍首相は「我が軍」発言を撤回せず、菅官房長官も「自衛隊も軍隊のひとつ」と擁護 | Your News Online