介護問題のネックはどこに?「介護離職ゼロ」を目指した特別養護老人ホーム増設案に「現場無視」との指摘


Photo by Amro

少子高齢化社会の到来に伴い大きな問題となっている介護。特別養護老人ホームの大幅増加が表明されましたが、介護現場への負担のしわ寄せが懸念されています。


安倍首相は総裁選の公約で掲げた「介護離職ゼロ」の実現に向けて特別養護老人ホーム(特養)を大幅に増設・整備する方針を打ち出しました。親や親族を介護するために離職する人をゼロにしようという意味。

特別養護老人ホームへの入所待機者は2013年度付で全国に52万人。そのなかで身の回りの世話がひとりではできない「要介護3」以上の15万人の解消を目標とします。なお、具体的な取り組みの財源としては消費増税分を原資とする「地域医療介護総合確保基金」を活用するとのこと。

今回の方針で指摘されている問題は、入れ物である特別養護老人ホームを増設したとして、そこで働く職員をどうするのかということ。公約の「介護離職ゼロ」が「『介護職』離職ゼロ」ではないことへの驚きの声も上がっています。









実際問題として、重労働である上に劣悪な労働環境の現場が少なくないことに加え、今年4月に介護報酬が引き下げられた以降は他業種にも人材が流れているのが介護職の現状。施設によっては人手不足のため満室まで待機者を入所させられないとの指摘もあります。








既に介護報酬引き下げに伴う人手不足などで介護事業者の倒産が過去最多となっていることが報じられていますが、介護職への待遇改善と賃金上昇が無くてはどれだけ特別養護老人ホームを増設、整備したところで目標とする「介護離職ゼロ」にはなりません。

本当に介護のために離職する人をゼロにしたいのであれば、まずは絶対に無視できない「介護職の離職」の問題を解決する必要があるのではないでしょうか?

「介護離職ゼロ」目指し、特養増設・待機解消へ 政治 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

(Photo by Amro


・関連記事
「ウィルスメール開封」だけじゃない、日本年金機構の絶句するほどザルなセキュリティ管理が次々と明らかに | Your News Online

鎌倉市図書館の「学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい」とのツイートに賛同の嵐 | Your News Online

大麻の有効成分THCが移植組織の拒絶反応を遅延させる事が判明、マウスでの実験で | Your News Online

HIV予防薬ツルバダに「100%の予防効果」があったとの研究報告 | Your News Online

「触った感覚」を脳で直接感じられる義肢をDARPAが開発 | Your News Online