全ての国民の生活に大きく関わるTPP問題。しかし、衆議院での審議を前に公開された交渉過程を記した資料は全て黒塗りでした。詳細は以下から。
環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案が衆院特別委員会で審議されるに当たり、民進党が要求していた政府の交渉資料を自民党が提出しましたが、タイトルを除き全てが黒塗りという状態であったことが話題となっています。
民進党は情報開示がないと十分な審議ができないとして甘利前TPP相とフロマン米通商代表部代表の会談記録の提出を要求、自民党は首相官邸への報告用に論点をまとめた資料を提出したのですが、「TPPブルネイ交渉会合 平成25年9月」といったタイトルを除き全てが黒塗りでした。
TPP交渉文書、黒塗りで開示 - 内容は分からない状態https://t.co/qSKTGR1NEx
— 共同通信公式 (@kyodo_official) 2016年4月5日
自民党側は「公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない。それ(黒塗り)でもという話があった」と説明。民進党は「ここまで黒いと思っていなかった。政府の説明を徹底的に求める」と述べています。
これを受けて衆院特別委員会は7,8の両日に安倍晋三首相も出席して質疑を行うことで合意。自民党は首席交渉官だった鶴岡公二氏の参考人招致にも応じることを決めました。しかし、金銭授受問題以降体調不良を理由に国会を欠席し続けている交渉の責任者である甘利元大臣の招致については未だ言及がありません。
交渉資料が出せないのであれば、交渉当事者が国民に向けて説明を行うのは必須。TPPは米などの重要5項目の「聖域問題」などで農業中心の協定というイメージが未だにありますが、多方面での関税の撤廃や引き下げ、投資の自由化をはじめ、著作権などの知的財産の保護や労働の分野にも多大な影響を与えるものです。
国民の誰もが仕事や生活の面でなんらかの影響を受けるTPPについて、十分な議論を行わず拙速に承認しようとするのは極めて不誠実な態度となります。どんな交渉が行われ、各分野においてどのような影響が出るのか、詳細をひとつずつ丁寧に拾い上げ、それぞれについて議論を深めていくことが必要です。
なお、現在TPPの2トップとされる日本とアメリカ合衆国ですが、アメリカ大統領選挙では民主、共和両党の有力候補が軒並みTPPに否定的な立場を取っています。安倍政権は「日本が率先して発効への機運を高める」としていますが、であればかつてTPP反対を掲げて選挙戦を戦ったことへの説明も含め、国民の納得する議論を行うことが必要でしょう。
何はともあれ、十分に休養を取ったはずの甘利元大臣にはぜひとも国会に出席いただき、真摯な議論をお願いしたいものです。
TPP交渉資料、全て黒塗りで公開 内容分からず 自民:朝日新聞デジタル
TPP交渉文書、黒塗りで開示 内容は分からない状態 - 共同通信 47NEWS
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