「医療大麻の合法化」を訴えて参院選に出馬する「女優でナチュラリストの高木沙耶」とは?



ついに日本でも「医療大麻の合法化」を訴える候補者が参院選への出馬を決めました。詳細は以下から。


女優でナチュラリストの高木沙耶さん(現在は基本的に本名の益戸育江名義で活動)が荒井広幸議員率いる新党改革から「医療大麻の合法化」と脱原発の推進を掲げて出馬することが大きく報じられました。いったいどんな経緯があったのでしょうか?

高木沙耶さんは17歳の時にオスカープロモーションに所属、1983年に映画「沙耶のいる透視図」の主演女優としてデビュー。フリーダイビング競技で日本新記録を達成したこともあり、スクーバダイビングのインストラクターでもあります。

2007年に千葉県南房総市に移住して自然エネルギーを活かした暮らしを始め、芸名を返上して本名の益戸育江として活動を開始。東日本大震災後の2011年に沖縄県石垣市に移住しています。2012年にはオスカープロモーションを辞め、本格的に自然回帰運動を行いナチュラリストとして活動してきました。

そうした中で大麻草検証委員会の幹事を務めていることを自らのブログ上で明かし、「大麻については持続可能な暮らしをサポートする大切な天然資源の一つと以前から思っていました。大麻はお酒、たばこ、チョコレートよりも安全で、アンチエージングには最高の植物だと信じております」と大麻規制に反対する意見を表明しています。

この際も当然一悶着ありましたが、高木さんはブログの別の記事で大麻草検証委員会に対して「麻薬奨励推進団体などではなく、きちんと法改正議論をしてゆこうという国会議員、地方議会委員、弁護士、医療関係者、各階の著名人の方々がこの国を少しでも良くしようと立ち上がったまともな団体」としています。

なお、大麻草検証委員会は2014年に解散。後継団体のHPには以下のような記述があります。

発足後3年間にわたる活動を経て明確になってきたことは、日本の政治家の中にはこの問題について正しく理解されている方は思いのほか多く、しかし、それを公の場で発言することが出来ない事情があるということでした。

したがいまして、大麻取締法問題に対する今後のアクションとしては、一部の活動家だけの運動とするのではなく、真実を理解する人たちがそれぞれに当事者意識を持ちながら、さらにその人たちが正しい情報をシェアし共に考えることの出来る人たちを増やしていく運動、すなわち、大衆啓蒙運動が重要ではないかと考えます。

そのような考えから、大麻草検証委員会の組織は2013年9月末をもっていったん解散し、以降は、それぞれのメンバーがそれそれの専門分野で役割を継続していくことと致しました。

このサイトについて - 大麻を正しく考える国民会議より引用)



高木さんの参院選出馬はこの「大衆啓蒙運動」の一環として捉えることができそうです。実際に高木さんは出馬表明の記者会見で以下のように大麻合法化の持論を展開。

医療用大麻は世界ではさまざまの医療機関で使われています。しかし、我が国では麻薬という誤解を受けており、研究すら難しいのが現状です。大麻は自然の生薬であり、自然の生薬を使って健康になるのであれば、直ちに使った方が良いと思います。海外の立証が真実なら、私たちの国で行われていることは人権侵害にもつながることではないかと懸念しています。このことを皆さんで議論を始めていたければと思い、私はここに立っております。



大麻に関しての高木さんの大麻への認識は極めて現実に即したもの。BUZZAP!で以前紹介したナショナルジオグラフィック紙の特集「マリファナ 秘められた力」では大麻がガン治療を始め、多くの場面で医薬品として有効であることが綴られていました。

またオバマ大統領が「大麻は酒よりも危険ではない」と発言したこと裏付けるように、アメリカ合衆国の多くの州で医療大麻が合法化されており、先日オーストラリアドイツなどでも合法化が発表されました。未だに警察が大麻を麻薬とひとくくりにして「ダメ・ゼッタイ」と禁止する日本の大麻事情の後進性については今更言うまでもありませんが、高木さんの出馬が硬直した誤解を解く一石になる可能性はありそうです。

ただし、問題は高木さんが新党改革から出馬するということ。2015年の11月11日の参院予算委員会で、新党改革の荒井広幸代表が介護問題に対して中高生全員に「ヘルパー3級」程度の介護の技能を持たせて授業の一環として地域で介護の「お手伝い」を行っていくべきだという妄言と断ずる以外にない提案を行っているのです。

介護職は現在劣悪な労働環境と低賃金に伴い介護職が決定的に不足しています。そうした中で無償の労働力として熟練度の低い中高生がなだれ込んでくることは、介護職の市場を崩壊させると共に、ダイレクトに利用者の生命と安全に関わります。さらに言えばこの提案自体が児童労働の推奨に当たりますし(しかも無報酬)、実行されれば管理者としての介護職員の負担をさらに大きなものとすることは火を見るよりも明らかです。

高木さんの大麻に対する認識がいくら正しかったとしても、代表が平気でこうした妄言を国会という場でで放ってしまう政党に所属している以上、当選して国会で医療大麻の合法化を議論をするという「次の段階」に進むのはまだまだ難しそうです。

高樹沙耶、医療用大麻の合法化を 参院選への出馬を正式表明 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

高樹沙耶が今夏参院選で大激戦区の東京選挙区に出馬 - 社会 日刊スポーツ


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