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国民投票でEU離脱を決めたイギリス。しかし離脱派からも「こんなはずじゃなかった」とする声が上がり、やり直しを求める署名が殺到しています。
2016年6月24日はイギリスがEUからの離脱を国民投票で決定した世界史に残る1日となりました。しかし、自らの手で離脱を選んだはずのイギリス国民、しかも当の離脱を選んだ人々からも「こんなはずじゃなかった」という声が聞こえてきています。
いち早く離脱の速報を出した英国の放送局BBCのディレクターのLouisa Comptonさんは、マンチェスターでBBCニュースのインタビューに答えた離脱派の人々の多くが「なんてことをしてしまったんだ、本当にイギリスが離脱するなんて思わなかった」と考えていたことをツイートしています。
With leave voters in Manchester for BBCNews -most told us they woke up thinking "what have I done?" & didn't actually expect the uk to leave
— Louisa Compton (@louisa_compton) 2016年6月24日
このツイートを裏付けるように、下院の設けた国会論戦のテーマを募るための電子署名サイトでは、国民投票のやり直しを求める誓願に署名が殺到、一時サーバーがダウンする程の勢いとなっています。このサイトでは10万筆の署名で議会での審議の検討対象となりますが、現時点で57万筆を突破し、60万筆に届く勢いとなっています。
なお、この誓願は昨年11月に既に出されていたもので、「投票率75%未満、多数派の得票率が60%未満だった場合はやり直しを求める」とする内容。今回の投票率は72.2%、多数だった離脱派が51.9%だったため、誓願のやり直し基準を満たしています。
また、残留派が62%に上ったスコットランドではスタージョン行政府首相が「スコットランドは62%がEU残留に投票した。明確かつ断固とした答えだ」と声明を発表、EUに残留するために住民投票を行い、独立を目指す意向をにおわせました。
一方、残留派が56%に及んだ北アイルランドでもカトリック系民族主義政党シン・フェイン党が、アイルランドとの統一の是非を問う住民投票を行うべきだと表明しています。スコットランドが独立に向かった場合には北アイルランドの行方にも影響を及ぼすことになりそうです。
そんな中、なんと「ロンドンはイギリスから独立してEUに残留しよう」という署名まで開始されています。こちらはウェブ署名サイトchange.org上で既に10万人を超える署名を集めており、単なるブリティッシュ・ジョークと笑い飛ばせない状況です。
離脱派が多数となった原因やきっかけには多くの理由が絡んでおり、容易に語り尽くせるものではありません。しかし、結果を見た場合に離脱に投票した人の多くにとっても望んだ未来ではなく、イギリスという国のあり方の屋台骨を揺るがす事態となってしまいました。
昨日お伝えしたように、円相場や日経平均にも多大な影響を与えた今回のイギリスのEU離脱。この先どのような道を歩むことになるのか、決して他人事ではありません。
EU離脱、投票やり直し請願殺到 英下院サイトがダウン - 共同通信 47NEWS
英、再投票の請願殺到 移民排斥反対デモ相次ぐ :日本経済新聞
英EU離脱:スコットランド独立機運再燃 連合崩壊の懸念 - 毎日新聞
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