高速増殖炉もんじゅの廃炉に福井県知事が「到底受け入れられない」と猛反発


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ようやく終了するかと思われた高速増殖炉もんじゅですが、福井県知事は激おこのようです。詳細は以下から。


数々のトラブルと運営主体の日本原子力研究開発機構による呆れるほどずさんな管理、度重なる責任者の自殺などにより、1985年の着工以来ほぼまったく発電をすることもなく日本の税金1兆2000億円を食いつぶした「悪夢の」高速増殖炉もんじゅ

今後も使い続けるのであれば10年間で6000億円という巨額の税金を呑み込む試算が政府からも出され、遂に万事休すという当たり前すぎる結論に至ることになりました。

しかしこれに納得ができないのが地元福井県の西川一誠知事。福井県と国が情報共有する「もんじゅ関連協議会」が19日に開催され、「もんじゅは原子炉としての運転は再開せず、今後、廃止措置に移行する」との方針が示されましたが、知事は「到底受け入れられない。見直しを強く求める」と猛反発しました。

政府は20日にも原子力関係閣僚会議を開いてもんじゅの廃炉を正式に決める予定でしたが、こうした反発によってずれ込む見通しとなっています。当該自治体の首長として原発マネーを望む気持ちがあることは分かりますが、大切な国民の税金をドブに捨てる以下の使い方を認められるものでもありません。

また、日本政府はもんじゅの廃炉後も高速炉(編集部注:高速増殖炉ではない)の開発を続ける方針を固めており、茨城県のもんじゅの前段階の高速実験炉「常陽」の活用やフランスで計画中の実証炉「ASTRID」での共同研究を目論んでいます。

理由としては原爆6000発分にも相当する使い道のないプルトニウムを保有することへの国際的な批判をかわすため。一般の原発でプルトニウムを使用するプルサーマル発電も愛媛県の伊方原発3号機でしか稼働しておらず、高速炉計画がなければ説明が付かなくなります。

また、無限のエネルギー源となるはずだった使用済み核燃料が行き場を失うことにもなります。核燃料サイクルが破綻すれば、青森県は六ヶ所村の再処理工場から「使用済み核燃料を全国の原発に送り返す」という方針を示しており、日本中の原発の核燃料プールが使用済み核燃料でいっぱいになり、原発が動かせなくなるという糞詰まりが発生します。

先にも述べたように高速炉は高速増殖炉とは違い、プルトニウムを生み出すことはなく、効率的にプルトニウムを消費することが主眼となった技術です。この時点で核燃料サイクル政策は未来の無限のエネルギー源ではなく、単なる廃物処理の技術に過ぎません。

核廃棄物は既に大量に存在しており、何らかの形で処分しなくてはならないものなのですが、その方法として高速炉計画は果たして有効なのでしょうか?大量の税金を惜しげもなくつぎ込むだけの費用対効果の得られるものなのか、長期的な観点からの精査が必要です。

東京新聞_もんじゅ廃炉方針、福井県に提示 知事、受け入れ拒否_社会(TOKYO Web)

新たな高速炉開発の方針案まとまる _ NHKニュース

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