稲田防衛相「『戦闘行為』って言うと憲法9条に違反しちゃうから、南スーダンで起こっているのは『武力衝突』って大本営発表したよ!」



本末転倒を地で行く発言が国会審議の中でなされました。もう無茶苦茶です。詳細は以下から。


防衛省は2月7日に、昨年12月時点でフリージャーナリストの布施祐仁さんからの情報公開請求に対して「破棄した」と虚偽の回答をして不開示とした南スーダンでの陸上自衛隊の現地派遣部隊が情勢を記録した日報と、現地からの報告を受けた陸自中央即応集団(CF)が作成する「モーニングレポート」を公表しました。

公開されたのは南スーダンの首都ジュバで大規模な戦闘が発生した2016年7月11日と12日の日報とレポート。この時、キール大統領の政府軍と、反政府勢力のリーダーから副大統領になったリヤク・マシャール氏を支持する反政府勢力が激しい銃撃戦を繰り広げました。これにより、双方の兵士と市民ら数百人(ガーディアン紙は7月11日時点で300人と報道)が殺害され、PKOに参加した中国人兵士2名も殺されています。

公開された日報では「10、11日も戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘がUNハウス・(陸自部隊が駐屯する)UNトンピン周辺で確認される等、緊張は継続」「宿営地周辺での射撃事案に伴う流れ弾への巻き込まれ、ジュバ市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」などと報告しており、明確に戦闘が起こっていたことを伝えています。また、モーニングレポートで日本国内の部隊も「激しい戦闘が確認される」としており、自衛隊内部では南スーダンでは戦闘行為が発生していることが認識されていたことが分かります。

しかし、稲田防衛相はこの明々白々の戦闘行為について「武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」としながらも、「国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為とは評価できず、PKO参加5原則は守られていた」という唖然とせざるを得ない答弁を行っています。

稲田防衛相はさらに「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」とまで述べており、事実上「戦闘行為」が発生しているにも関わらず、自衛隊のPKO派遣を違憲状態にしないために「武力衝突」と言い換えて誤魔化したことを国会という場で堂々と認めてしまったのです。

言葉を換えて「戦闘行為」と言わなければ、どれだけ激しい戦闘が発生して人が死に、街が破壊されようと「戦闘行為」扱いにされず、違憲状態も免れるという認識なのであれば、これはまさに「ダブルスピーク」の極み。

さらに、稲田防衛相がこれらの日報やモーニングレポートに目を通していたのかという民進党の小山議員の質問に、「今、お尋ねのモーニングレポート、現地の派遣部隊が作成をしていた、ご指摘の日報そのものについて(当時)見たということではない」と答弁。

現地では激しい戦闘が起こっているにも関わらず、稲田防衛相は一次情報に自ら目を通すこともないまま、合法的に自衛隊を派遣し続けるために「戦闘は起こっていない」という無根拠なデマを流し続けたことになります。

日本では大日本帝国時代に撤退を「転進」、全滅を「玉砕」、自爆を「特攻」と言い換えて大本営発表を行ってきましたが、全く同様の行為が現代日本で発生していることを防衛相が自ら認めてしまいました。それはつまり、日本はもうトランプ政権の「代替的な真実」を笑うことができない惨状になっているということです。

PKO停止の可能性を指摘 南スーダン戦闘で陸自文書:朝日新聞デジタル

南スーダン:PKO日報に「戦闘」 政府表現と隔たり - 毎日新聞

稲田氏がまだ見ぬ南スーダン日報“びっくり”な中身

「9条上問題になるから『武力衝突』使う」 稲田防衛相:朝日新聞デジタル


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