復興大臣の肩書きを持ちながら、最低最悪の対応です。詳細は以下から。
今村雅弘復興大臣は4月4日の記者会見で、3月31日で住宅支援を打ち切られた東日本大震災の自主避難者に対し、「自己責任」であると明言しました。
自主避難者に対しては国としての住宅支援を打ち切り、福島県を通したサポートに切り替える方針に対して鋭く質問が投げかけられました。自主避難者らにそれぞれに戻れない事情があること、栃木や群馬から自主避難した人もいることなどが問いかけられています。これに対して今村大臣はあくまで自主避難者それぞれが判断して決める事だと述べました。
帰れないから避難を続けている人に国は責任を取る必要があるのではないかという追求に対し、今村大臣は「自己責任だ」とし、「裁判でも何でもやったらいいじゃないですか」と明言。さらに国としては大災害の対応としてはやれることはやったし、これ以降は福島県を中心にして国が寄り添うべきだと述べています。
その後今村大臣は質問を続ける記者に激昂。6:15以降書き起こします。
今村(以下、今)「ここは論争の場ではありませんから」
記者(以下、記)「責任を持って回答してください」
今「責任もってやっているじゃないですか、君は何て無礼なことを言うんだ!ここは公式の場なんだよ」
記「そうです」
今「だからなんで無責任だと言うんだよ!」
記「ですからちゃんと…」
今「撤回しなさい!!!」
記「撤回しません」
今「しなさい!出て行きなさい!!もう二度とこないでくださいあなたは!!」
記「はい、これはちゃんと記述に残してください」
今「はいどうぞ!こんなね、人を誹謗するようなことは許さんよ、絶対」
記「避難者を困らせてるのはあなたです」
今「うるさい!!!!」
記「路頭に迷わせないでください」
これでは単なる厄介払いでしかなく、東日本大震災からの復興を担う復興大臣の態度としては最低最悪であると断ずる以外いかなる言いようもありません。
そもそも日本政府が大手を振って推進した原発政策のなれの果てであり、安全神話にあぐらをかいて対応を怠った国の責任、そして未だに解体すらされず、逮捕者すら出さずに運営を続ける東京電力の責任がろくに問われていない現状で、自主避難者は自己責任だとするのは無責任の極みです。
3兆円規模の東京オリンピックにうつつを抜かし、復興五輪と言いながら当の被災者への保証すらそのオリンピック前に打ち切る神経は冷淡そのもの。除染を行ったのだから帰って当然という姿勢には、自らの過ちを悔いる姿勢はみじんも見えません。
当然ながら記者会見で激昂してまともに説明責任すら果たせない今村復興大臣には即刻辞任していただく他ありません。
なお、記者会見を「ここは論争の場ではありませんから」と記者の前で言えてしまう無知は驚愕せざるを得ないもの。政治家にガンガン突っ込んで攻めるのは記者の本業とも言うべき仕事です。
近年は政治家の垂れ流す言説を書き留めるだけのお気楽な記者会見に慣れきっているからこうした発言が出てきてしまったのでしょうか?だとすれば政治家にも記者側にも相応の緩みがあったことは否定できません。
ディストピア文学「1984年」を書いたジョージ・オーウェルは「ジャーナリズムとは、報じられたくない事を報じることだ。それ以外は広報にすぎない。(Journalism is printing what someone else does not want printed: everything else is public relations.)」と述べていますが、この会見で記者が行ったことはまさしくジャーナリズムということになります。
【4/5 9:15追記】
今村雅弘復興相は今回の激昂記者会見だけでなく、3月12日放送のNHK「日曜討論」でも問題発言が指摘されていました。首都大学東京准教授の山下祐介氏が避難者の帰還について「帰れない理由を考えるべきだ」として
原発20キロ圏内に関しては放射能が怖いだけではなく、生活のインフラが揃っていないからというだけではなく、やっぱり再事故の可能性が否定出来ないと思います。1回避難した方がもう一度非難するということは考えられない。だから、絶対安全な状況にならないと帰れないと思います。
と指摘したところ。今村大臣は自主避難者について以下のように述べていました。
ふるさとを捨てるというのは簡単ですよ。だけど、そうじゃなくて戻ってね、頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたいし、そのためのいろんな施策は、新しい産業を持ってくるとかイノベーション・コースト等々、我々もやっていますから。
出来る限りの生活インフラの整備もしますから、是非、ふるさとをもう一回、取り戻してもらいたいなと、そういう気持ちをしっかり持ってもらいたいなと。
(今村雅弘復興相、自主避難の長期化「現実に合わない」より引用)
それぞれに深刻な事情を抱えて避難を続けている人に対して「ふるさとを捨てるのは簡単」と言い放ち、「戻ってね、頑張っていくんだという気持ちをしっかり持ってもらいたい」と帰還を強いる姿勢はまったくもって被災者に寄り添うものではありません。安全神話を鵜呑みにして津波対策を怠ったのは第一次安倍政権であり、国は決して第三者ではありません。
国民に甚大な被害を与える災害の人災面での加害者でもあり、被災者への援助は為すべき最低限のこと。その自覚すらなく自己責任と突き放し、将来の生き方にまで口を出そうとする今村大臣の不適格さは改めて言うまでもありません。
なお、今村復興大臣本人に関しても、東電株を8000株保有している利害当事者であることが2016年8月の時点で自らの口から明らかにされています。職務への影響は「一切そういうことは考えていない」としていますが、言うだけならタダ。この時点で不適格として辞任させるべきだったことは明らかです。
今村復興相、東電株8000株保有 職務への影響「ない」:日本経済新聞
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