北朝鮮の「太陽節」当日に安倍夫妻は「桜を見る会」を強行開催、岸田外相は帰省、GWに稲田防衛相は外遊という危機意識の欠如

煽りに煽ってきた北朝鮮の脅威とはいったい安倍政権にとって何なのでしょうか？極めてちぐはぐな行動が目立ちます。詳細は以下から。

北朝鮮で最も大切な祝日の太陽節。金日成の誕生日を祝う4月15日には各地で盛大に祝賀関連行事が催され、今年も金正恩委員長の元で金日成の生誕105年を祝い、盛大な軍事パレードが行われ、複数の新型弾道ミサイルが初めて公開されました。

ダンスに新型ミサイルも　北朝鮮で「太陽節」式典

トランプ米大統領が北朝鮮への圧力を強める中、対外アピールの一環として核実験やミサイルの発射が行われるのではないかとの懸念も少なくなく、実際に翌4月16日には失敗ながらもミサイルが発射されたことはニュースでも伝えられたとおり。

◆北朝鮮のミサイルを「新たな脅威」と煽った安倍首相の対応
日本では安倍首相が世界の要人で唯一なぜかサリン弾頭のミサイルの存在に言及するなどし、北朝鮮のミサイルの脅威を強くアピールしていましたが、4月15日からの対応は極めてちぐはぐでお粗末なものでした。

まず4月15日には恒例の「桜を見る会」が開催されて芸能人やスポーツ選手ら約1万6500人が出席。安倍首相が「風雪に耐えて5年の八重桜」という俳句になっていない残念な俳句もどきを詠んだことや、ひたすらに証人喚問に呼ぶことを拒否し続けている昭恵夫人も満面の笑みで登場している事も話題になりました。

安倍首相「風雪に耐えて5年…」　「桜を見る会」で一句：朝日新聞デジタル

北朝鮮がミサイルを発射した際に在日米軍基地以外で真っ先に狙われるのはなんといっても東京のど真ん中である国会議事堂周辺。そこから直線距離で3km少々の新宿御苑という野外のロケーションに、このタイミングで首相を始め1万6500人の有名人を集めるということがどれだけ危険なのかほんの少しでも考えたのでしょうか？

「桜を見る会」は既に予定されていたのだからやるのは当然という馬鹿げた意見もありますが、安倍首相は3月6日の段階で北朝鮮の弾道ミサイル発射について「新たな脅威」と明確に述べており、トランプ大統領との電話会談を受けて3月7日には菅官房長官も「北朝鮮の脅威が新たな段階になっていることを日米で確認した」と述べています。

北朝鮮のミサイルの脅威が新たな段階に入り、核のみならずサリン弾頭のミサイルも存在するとの認識のはずの安倍首相がこの対応とはどういう了見なのでしょうか？

【北ミサイル】「北朝鮮が新たな脅威となった。新型ミサイルであるということを重大な関心を持って分析をしていきたい」安倍晋三首相発言全文 - 産経ニュース

 北朝鮮の脅威、新たな段階と日米で確認＝首脳会談で菅官房長官 _ ロイター発新着ニュース _ ダイヤモンド・オンライン

実際問題、北朝鮮が「衛星」を打上げた2012年には野党支持者からも評判の極めて悪い民主党の野田政権ですら「桜を見る会」を中止しており、民進党の枝野幸男前幹事長は「本当に危機が予想される状況なら、花見をすることはあり得ない」と厳しく批判しています。

asahi.com（朝日新聞社）：野田内閣「桜を見る会」中止に　北朝鮮のミサイル予告で - 北朝鮮関連

 北朝鮮ミサイル：「桜を見る会」に枝野氏「あり得ない」 - 毎日新聞

「いや、北朝鮮に弱みを見せず、動じない姿勢を示したのだ」という苦しい擁護しかなくなってきますが、4月15日の首相動静を見ると、「桜を見る会」が終わった後も小学校の同級生と15時過ぎまでのんびり昼食を取り、その後も「ビストロ　シロ」で昭恵夫人も伴って3時間以上ゆっくり夕食を取っており、完全にオフ状態。

　午前7時36分、東京・富ケ谷の私邸発。
　午前7時49分、東京・内藤町の新宿御苑着。
　午前7時50分から同8時30分まで、昭恵夫人と共に沖田芳樹警視総監ら警視庁幹部、高島宗一郎福岡市長、地元の後援会関係者らと写真撮影。
　午前8時59分から同10時20分まで、首相主催の「桜を見る会」。あいさつ。アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のメンバーや車いすテニスの上地結衣選手らと写真撮影。同21分、同所発。同34分、私邸着。
　午後0時30分から同3時42分まで、成蹊小学校の同級生と食事。
　午後4時41分から同58分まで、玉井義臣あしなが育英会会長。
　午後5時51分、私邸発。
　午後6時3分、東京都渋谷区のレストラン「ビストロシロ」着。増岡聡一郎鉄鋼ビルディング専務、服部秀生セイコーインスツル執行役員、昭恵夫人らと食事。
　午後9時32分、同所発。
　午後9時50分、私邸着。
　16日午前0時現在、私邸。来客なし。

（首相動静（4月15日）：時事ドットコムより引用）

あれだけ北朝鮮のミサイルの危険を煽っておきながら、自身はまったくスタンバイしていないのです。「最高責任者」「行政府の長」を名乗る以上、国家に脅威が迫っている時の行動とは思えません。

また、実際に北朝鮮のミサイルが発射された4月16日はどうでしょうか？この日は6時21分に北朝鮮が東部のハムギョン（咸鏡）南道シンポ（新浦）付近から弾道ミサイル1発を発射、直後に爆発しており失敗であると報道されています。

北朝鮮がミサイル発射に失敗か米韓両軍が分析急ぐ _ NHKニュース

　午前10時現在、東京・富ケ谷の私邸。朝の来客なし。
　午前中は来客なく、私邸で過ごす。
　午後1時7分、私邸発。
　午後1時25分、東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」着。同ホテル内の「NAGOMIスパアンドフィットネス」で運動。
　午後4時37分、同ホテル発。同42分、東京・六本木の森アーツセンターギャラリー着。「大エルミタージュ美術館展」を鑑賞。同5時21分、報道各社のインタビュー。「美術館展を見た感想は」に「（4年前に）サンクトペテルブルクに行ったが、会議だけで残念ながらエルミタージュには行くことができなかったので、せっかくの機会だから足を運んだ」。同27分、同所発。同51分、私邸着。
17日午前0時現在、私邸。来客なし。

（首相動静（4月16日）：時事ドットコムより引用）

ということで、脅威が新たな段階になった北朝鮮が実際にミサイルを発射したにも関わらず、午前中1杯は私邸でのんびりと過ごし、その後はフィットネスクラブからのエルミタージュ展という、こちらも公務とは切り離された完全オフの日曜日を過ごしています。

◆安倍首相のみならず…
太陽節の4月15日、対外政策の要となる岸田外務大臣も東京を離れ、選挙区である広島にいました。「4月は様々な記念日が続き、過去の例から考えて何か行動を起こすことは考えられる。万全の態勢で備えている」ということですが、その外務大臣自体が首都を遠く離れていることのどこが「万全の態勢」と言えるのか極めて疑問。

北朝鮮の4月の記念日へ万全の態勢で備え…外相 _ 政治 _ 読売新聞（YOMIURI ONLINE）

また、この情勢の中、稲田防衛相がGWに日本を離れて外遊を行うことにも批判が集まっています。北朝鮮のミサイルの脅威が新たな段階に入ったとなれば、自衛隊が動かなければならない事態に陥る可能性が高まることは言うまでもありません。

そうした状況で当の防衛大臣が日本にいないというのは、それ自体で考えられないほどの失態と断ずる以外ありません。森友学園問題では記憶の曖昧さとしどろもどろの逃げ口上で醜態を晒し続けた稲田防衛相ですが、自らが担当する職務においても無能どころかその場にすらいないのであれば、まったくの役立たずであるとしか言えません。

「北朝鮮のミサイルの脅威が現実のものとなりつつあるのに野党は森友学園ばかり問題にしていて本気で日本のことを考えているのか？」などという一部ネット民の難癖がネット上では見られましたが、「北朝鮮のミサイルの脅威が現実のものとなりつつあるのに安倍政権はのんきに花見をしていて本気で日本のことを考えているのか？」と指摘せざるを得ません。

それとも、世界中で他には誰も言わないサリン弾頭なるものまで持ち出して煽っておきながら、実際は北朝鮮のミサイルを安倍政権は脅威だとは考えていないのでしょうか？だとすれば、脅威であると喧伝すること自体が「印象操作」だと認めることになります。

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