インドで神格が「命ある存在」として人間と同じ法的権利が認められることになりました。詳細は以下から。
21世紀も17年目に入りましたが、目覚ましい発展を遂げるインドで州高等裁判所が2柱の河の女神という神格を「命ある存在」と認め、インドの憲法に沿った法的権利が認められました。
日本ではガンジス河として知られる悠久の大河ガンガー。そして首都ニューデリーを通るガンガーの支流ヤムナー。これに地中を流れる伝説的な河のサラスヴァティはインドの聖なる河として知られています。
同時に、これらの聖なる河はそれぞれが女神でもあります。ガンガーは最高神の一角である破壊と再生の神シヴァに関わる重要な神話に登場する女神であり、ヒンドゥー教の中では最も聖なる河として知られています。
ヤムナーも太陽神スーリヤの子供であり、死者の国の王ヤマ(日本では閻魔大王として知られる)の妹でもある重要な女神です。
以前BUZZAP!ではガンガーとヤムナー、そして地中のサラスヴァティ(この女神は創造神ブラフマーの妻として、さらに七福神の弁財天として知られています)がひとつに交わるアラハバード近郊の聖地サンガムで行われたクンブメーラを取材していますが、どれほどヒンドゥー教にとってこれらの河が重要かはご覧頂ければ分かるかと思います。
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今回、ガンガーの源流であるゴームク氷河とガンゴートリー、クンブメーラ開催地のひとつであるハリドワール、ビートルズがヨガの修行をしたことでも知られるリシュケシュを擁するヒマラヤ山脈に程近いウッタルカーンド州の高等裁判所が、ガンガーとヤムナーが「命ある存在」であること、そしてインドの憲法に基づく人間と同様の法的権利を有するとの判断を示しました。
※源流ゴームク氷河付近のガンガー。
これはガンガー沿いのKhadri Khadag村においてトレンチ作業が行われており、10エーカーに渡るゴミ捨て場がガンガー沿いに設けられていることに対するSwarup Singh Pundir村長による公益訴訟に対する裁判所の対応となります。
Swarup Singh Pundir村長はこのゴミ捨て場が特に雨期にはガンガーに流れ込んで汚染を引き起こすとしており、これがインド政府の推進するガンガー環境改善プロジェクトであるNamami Gange projectに反するものだと主張しました。
※リシュケシュを流れるガンガーと夕日
ガンガーは例えば聖地ヴァラナシ辺りでは死体やゴミの流れる汚い河として知られていますし、首都ニューデリーを流れるヤムナーには首都の大量の排泄物を含む生活排水などの汚染物質が流されており、こちらでも1993年から「ヤムナー川アクションプラン」という環境改善プロジェクトが行われていますが、効果は上がっていません。
2つの聖なる河という形で現存する2柱の女神を「命ある存在」として司法が公的に認め、インドの憲法に基づく人間と同様の法的権利を認めることはこれらの河の環境改善を後押しすることになるでしょうか?
ムンバイやニューデリー、バンガロールなどの最先端の都市の状況だけを見ているとなかなか実感できませんが、心底ヒンドゥー教を信仰するインド人も数億人規模で存在しています。神々が今も息づく国、インドの底力を目の当たりにできるでしょうか?
印裁判所がガンジス川に法的権利認める 「命ある存在」、川が提訴可能に - 産経ニュース
In a first, Uttarakhand HC issues notice to ‘living entity’ Ganga, seeks reply _ india-news _ Hindustan Times
Declared living entity, Uttarakhand HC issues notice to river Ganga, wants its response by May 8 _ The Indian Express
(Photo by Junko Fujita)
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