京都市長の上皇京都滞在要望に「ご高齢の陛下にこれ以上公務をさせるのか」と非難の声



「上皇陛下に京都に住んでもらいたい」という京都市長の要望に異論が相次いでいます。詳細は以下から。


天皇陛下の退位を実現する特例法が成立したことを受け、門川大作京都市長が12日の記者会見で「上皇となる天皇陛下には、できるだけ京都に長くお住まいいただくことを念願していた。即位の礼や大嘗祭についても、具体的にどういう可能性があるのか議論していく」とした上で「知事や各界の有識者らと近々に再び協議を行い、早急に国に要望したい」との考えを明らかにしました。

この要望を牽引するのは2010年に発足した「京都の未来を考える懇話会」。門川京都市長、山田啓二京都府知事、京都商工会議所会頭の立石義雄・オムロン名誉会長、山極寿一・京都大総長や華道家元池坊の池坊専好・次期家元らが名を連ねています。

懇話会は東京への一極集中回避や大規模災害によるリスク分散の観点から「双京構想」を2013年5月にまとめ、皇族の一部を京都に迎えることを盛り込み、宮中行事の一部を京都御所や京都迎賓館で行うように提言しています。

ここで大きな問題になるのが今上天皇の意思。2016年8月8日に公開された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の中では「既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています」と、高齢に伴って重い公務を努め続けることが困難になっていることが述べられました。

門川市長の要望の中には京都滞在に加えて即位の礼や大嘗祭といった公務の執り行いが示唆されており、これらを求めるのは退位を決断した今上天皇の大御心を真っ向から踏み躙る断じて許されない行為であるとの批判が噴き出しています。

※写真は大正天皇の即位の礼

そもそも天皇や皇室の政治利用自体が許されるものではありませんが、今回の京都市長の要望は上皇という存在を伝統の名を借りて客寄せパンダ扱いしているとの指摘もあり、さらに「せっかく天皇という激務を退いたのだから、今後は皇太子一家を始めとご家族とゆっくり過ごしていただこうと考えるのが当然で、家族から引き離そうという発想自体があり得ない」との怒りの声も。

千年前から都として存在した京都人が「たまたま東京に150年間出張しているだけ」の皇族の帰還を望む気持ちは十分に理解できますが、今上天皇は東京生まれの東京育ちでもあり、ひとりの個人として考えれば京都は故郷ではありません。

どちらにしても最も尊重されるべきは今上天皇ご自身の意思。他人の老後の過ごし方に対してあれこれと「要望」することには疑問符を付けざるを得ません。

退位して上皇となった今上天皇が京都にいらっしゃる時には騒ぎ立てることなく、四季折々の京都の美しさを存分に楽しんでいただけるよう影からそっとお手伝いする。そうした奥ゆかしい振る舞いこそが京都ならではのおもてなしと言えるのではないでしょうか?

「上皇」京都滞在、国に要望へ 市長、特例法成立で

退位後お住まい、京都市が誘致検討…国に要望へ : 読売新聞

退位後はぜひ京都住まいを 京都市や府、実現に向け検討:朝日新聞デジタル

(Photos by Wikipedia


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