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喫煙のさらなる規制強化は日本社会の喫緊の課題とはいえ、いくらなんでも本末転倒な条例案が浮上しています。詳細は以下から。
東京オリンピックに向けて、先進国では既に標準である公的空間の屋内喫煙の実施がようやく叫ばれるようになりましたが、都民ファーストの会の条例案はなんとも本末転倒でトンチンカンなものでした。
小池東京都知事が率いる都民ファーストの会は8月3日、子どもの受動喫煙を防ぐために「子どもがいる自宅」「自家用車の中」「通学路」などを禁煙とする条例案を9月に開会する都議会に提出する方針を明らかにしました。この条例案では罰則規定を設けず、努力義務を課すことを検討しています。
都民ファーストは7月の都議選の時点で公約として受動喫煙対策を掲げており、飲食店などの屋内を原則禁煙とし、子どもがいる自宅や自家用車内での喫煙制限を条例で定めると主張していました。
受動喫煙の害についてはBUZZAP!でも以前からお伝えしたきたとおり。先進国では公的空間の屋内喫煙は既に当たり前になっている事からも、東京オリンピックで世界中からの来日客をおもてなしする以上、屋内喫煙の徹底が必要なことは言うまでもありません。
しかし、今回都民ファーストが行ったのは子供がいる自宅や自家用車の中といった、極めてプライベートな空間に介入する形で禁煙を促す条例案。DVや児童虐待といった明確な違法行為ではないにも関わらず、政治が私的空間での過ごし方にまで口を出すという事態となっており、非喫煙者や嫌煙家からも疑問の声が上がっています。
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一方、3年以内に必要な飲食店などの屋内禁煙の罰則付きの条例に関しては、都民ファーストの増子博樹幹事長は「関係当局との協議が必要で時間がかかる」述べて後回しにすることを表明。来日客らが訪れる公的空間の屋内禁煙がおざなりにされるという、文字通りの本末転倒となっています。
そもそも論として、努力しただけでタバコを吸わずに済むのであれば禁煙外来などは必要ありません。子供の受動喫煙防止を訴えるのであれば禁煙を目指す喫煙者への補助を強化するなど、本人の努力に丸投げするのではなく「治療」を後押しする必要がありそうですが…?
「子どもいる家は禁煙」条例 都民ファ、9月提出へ:朝日新聞デジタル
(Photo by Chris, alex yosifov)
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