「MDMAはPTSDの画期的な治療薬」アメリカ食品医薬品局が臨床試験を認める



ラブ・ドラッグやエクスタシーと呼ばれる違法ドラッグがPTSDを治癒する事が正式に認められました。詳細は以下から。


MDMAは「エクスタシー」という通称で90年代のレイヴカルチャーを彩ったことで知られるパーティドラッグ。ラブ・ドラッグの異名を持つとおり、摂取すると不安を取り除いて多幸感に満たされることで知られています。

BUZZAP!でも昨年、このMDMAが「精神療法のための医薬品」として合法化される可能性についてお伝えしましたが、この度FDA(アメリカ食品医薬品局)が画期的な治療法であるとして臨床試験を認める決定を下しました。

幻覚剤学際研究学会(MAPS)によると、先日FDAはMDMAを使ったセラピーが、PTSDに対しての「画期的な打開策となる治療法」であると公表しました。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は戦争や悲惨な事件・事故、虐待や災害などによって精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害をもたらしているストレス障害で、帰還兵にもこの障害を発症する人が少なくありません。

MDMAを摂取すると体内で大量のセロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリンの放出が促されます。これらの物質の総合的な作用によって感情移入と肉体的な刺激が高められ、愛情とポジティブな考えに満ち溢れるようになります。これがパーティドラッグとしてMDMAが好まれる理由でもあります。

この効果がPTSDの患者に対しても非常に有効になります。神経伝達物質の洪水によって多幸感に満ち溢れた状態であれば、苦痛に満ちた記憶をより容易に思い出すことができるようになります。

苦痛に満ちた記憶を苦痛に満ちたままで思い出すと、その苦痛は再経験され、強化されてしまいます。しかしMDMAの影響下のポジティブな状態で思い出すことによって、苦痛に苛まれることなく記憶に立ち向かうことができるようになるのです。

こうした状態でセラピストとの治療を行うことで、より効果的に記憶についての対話を行うことができるようになり、苦痛と結びついた記憶が再配線されてゆく可能性が飛躍的に高まるのです。

ある実験ではPTSD患者の67%が3度のMDMAによるセラピーの後に症状が消え去りました。MDMAを用いない対照実験で同様に症状が消えたのは23%に過ぎませんでした。さらに長期間の、他の治療法がいずれも効果のなかった16人のPTSD患者に対してMDMAをもちいた実験を行ったところ、2人を除いていずれの患者も寛解に至り、その状態は数年以上維持されているとのこと。

確かにMDMAが脳や身体に対して危険だという研究も行われてきましたが、それらの研究は違法ドラッグとしてのエクスタシーを摂取してきた人を被験者として行われたもの。エクスタシーの常習者は他の違法ドラッグにも手を出したり、アルコール摂取量が通常以上であることは多く、エクスタシー単体の効果であるとの証拠にはなりません。

また、MDMA自体も違法ドラッグであるが故に品質のコントロールはされておらず、粗悪な混ぜ物入りが流通しており、セラピー用に厳格に品質管理されたMDMAと同列に扱うわけには行きません。

戦争や災害は世界中で起こっており、凶悪な犯罪や虐待事件も後を絶ちません。そうした被害者を真に救済するためにも、過去のイメージに囚われることなく有効な薬品として研究を進めていく必要があるでしょう。

今回のFDAの声明により、MDMAの治療薬としての研究はこれまで以上に急ピッチで進んでいくことは間違いないでしょう。

The FDA says ecstasy is a ‘breakthrough’ drug for PTSD patients _ Popular Science

Ecstasy Will Be Used To Treat PTSD In _Breakthrough Therapy_ Clinical Trials _ IFLScience


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