広島高裁が伊方原発3号機の運転差し止め、阿蘇山大噴火の影響否定できず



広島高裁が伊方原発の運転差し止めの判断を示しました。高裁としては初判断となります。


愛媛県伊方町に位置する四国電力の伊方原発3号機の運転差し止めを広島、愛媛両県の住民が求めた仮処分申請の即時抗告審で、12月13日に広島高裁は四電に運転差し止めを命じる決定を出しました。

これは2017年3月に申し立てを却下した広島地裁の判断を取り消したもので、高裁レベルの差し止め判断は初めてとなります。

差し止め起源は2018年9月末までで、今後の司法手続きで決定が覆らない限り四国電力は伊方3号機を運転できなくなりました。今年10月に定期検査のために伊方3号機は停止しており、2018年2月の営業運転再開を目指していましたが、稼働スケジュールに影響が出ることは必至です。

四国電力は近く決定の取り消しを求める保全異議と、仮処分の執行停止の申し立てを広島高裁に行う方針とのこと。

今回の審理で争点となったのは基準地震動(想定する最大の揺れ)の妥当性や火山の危険性など。その中でも原子力規制委員会が作成した安全審査の内規「火山ガイド」が、火山の噴火規模が推定できない場合、過去最大の噴火を想定して評価すると定めていることがポイントとなっています。

決定では伊方原発から約130km離れた阿蘇山について「四電の地質調査やシミュレーションでは、過去最大の約9万年前の噴火で火砕流が原発敷地の場所に到達した可能性が十分小さいとは評価できない」として原発立地として不適切であると断じています。


今回の決定で言及されている9万年前の噴火は「Aso-4」と呼ばれる破局噴火のこと。この時は160km離れた山口県にまで火砕流が到達し、日本中がAso-4火山灰と呼ばれる火山灰に覆われました。

現代で同様の噴火が起きれば九州は一瞬で壊滅し、日本という国が成り立たなくなるほどの打撃を受けるだけでなく、大気中に放出される膨大な噴煙によって世界の平均気温が下がり、農業に大きな打撃を与えて億単位の餓死者を出すとも言われています。

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