当然の話をまことしやかに結びつけてのミスリードです。いったい何がしたいのでしょうか?
2018年1月22日、ノーベル生理学・医学賞受賞者である山中伸弥教授が所長を務める京都大iPS細胞研究所の特定拠点助教が発表した論文の図に、捏造や改ざんの研究不正があったことが山中所長と強大副学長の会見によって明らかになりました。
この論文は同研究所所属の助教が筆頭著者として2017年2月にアメリカ合衆国の科学誌「ステム・セル・リポーツ」に発表されたものです。
共同通信はなぜかこの「ステム・セル・リポーツ」の創刊に山中教授が深く関わっていたことを「山中氏、科学誌創刊に深く関与か 京大、iPS研の論文不正」(魚拓)という記事として取り扱っています。
この科学誌が創刊されたのは山中教授がノーベル賞を受賞した翌年の2013年。iPS細胞を含む「幹細胞」に関する基礎研究から医療応用までの幅広い領域の論文を取り扱っています。
山中教授の実績から言っても時期からしても、むしろ関わっていない方が不思議なはずなのですが、いったいなぜこの当たり前の事実を記事として掲載しているのでしょうか?
共同通信はツイッター上と記事本文中で「この論文の審査に山中氏は関与していないとみられるが、現在も編集委員の一人となっている」と説明。しかし続けて「一般的に科学誌の論文審査制度に対しては、不正を見抜く仕組みが不十分だとの声もある」という誰の指摘か一切分からない匿名の声を取り上げています。
【京大iPS研の論文不正】問題の論文を掲載した米科学誌の創刊に、山中伸弥所長が深く関わったことが分かりました。山中氏は今回の論文審査に関わっていないとみられますが、現在も編集委員の一人。(松吉) #山中伸弥所長 #iPS #京都大 https://t.co/rmsvYFJzLD
— 共同通信公式 (@kyodo_official) 2018年1月25日
記事内ではその後も山中教授がこの「科学誌創刊に深く関与」したことと「京大、iPS研の論文不正」との繋がりは一切描かれません。例えその科学誌に深く関わっていたとしても、同じ研究機関の論文の査読に関与しないことは常識中の常識。
つまり、山中教授が関わっていたという証拠がない限りこの記事は単なる言いがかりに過ぎず、あたかも山中教授が今回の不正に何らかの形で関わっているかのような印象を植え付けてミスリードを誘う極めて悪質な「印象操作」ということになります。
既にネット上では「iPS研の論文不正発表」がトレンドに上がり同記事が集中砲火を浴びており、「印象操作」「ネガキャン」「言いがかり」「査読も通してない記事流すな」と完全に袋だたきです。
もちろん理研の小保方晴子さんのSTAP細胞事件を皮切りに、東芝、神戸製鋼、三菱マテリアル子会社、SUBARU、日産、商工中金など産学問わずデータのねつ造や改ざん、不正や隠蔽が日本社会で横行していることは日本という国の信頼を根底から突き崩す大問題です。
ですが、メディアが火のないところにこうした煙を必死になって立てようとする姿勢は昨今のフェイクニュースの隆盛と全く変わらない動きでしかなく、さらに日本の信用を貶める行為だと指摘せざるを得ません。
【追記】
共同通信が上記記事の同URLに上書きする形で記事のタイトルを「山中所長が給与全額寄付 京大iPS研、論文不正」(魚拓)と変更してして本文も全てこの「美談」に書き換え、大炎上自体をなかったことにしようと画策したことが分かりました。
しかし当然ながら「あったものをなかったことにはできない」ため謝罪も訂正の告知もないままの遁走がさらなる大炎上を招いています。
元記事はこちらの魚拓から確認可能。写真以外は全て別物にされている事がお分かり頂けるでしょうか?
メディアを名乗るものとして極めて不誠実な対応であり、日本の報道全体の信用を損ねる行為と言うしかありませんが、知らぬ存ぜぬで逃げ切れると考えているのでしょうか?
山中氏、科学誌創刊に深く関与か 京大、iPS研の論文不正 - 共同通信
PHP研究所
売り上げランキング: 21,335
・関連記事
「フェイクニュースに騙されやすいのは自分より政治的に逆の立場の人だ」と多くの人が考えがちなことが判明 | Your News Online
産経と幸福の科学が目論んだ自称保守系イベントでのスティーブン・バノンの招聘に踊らされた人々 | Your News Online
サンフランシスコの慰安婦像設置、日本の自称保守界隈と産経新聞が進める「歴史戦」のせいだった | Your News Online
【悲報】まとめサイト産経新聞「日本を貶める日本人をあぶりだせ」 | Your News Online
自民党の大学無償化が頓挫、NHKは「後払いのツケ制度」を「在学中は授業料無償化」とフェイクニュース拡散 | Your News Online
フェイクニュース対策か、Googleが日本語検索の品質向上のためウェブサイトの品質評価方法を改善 | Your News Online