三浦瑠麗「大阪にテロリスト分子が潜んでいてヤバい」とワイドナショーで「朝鮮人が井戸に毒」級の風説を流布して大炎上



完全に関東大震災時の「井戸に毒」ヘイトデマ拡散と同レベルの極めて危険な風説の流布です。詳細は以下から。


◆地上波ワイドショーでの風雪の流布
安倍首相と会食していたことでも有名な、国際政治学者を自称する三浦瑠麗が2月11日朝のフジテレビで放送されたワイドナショーに出演し、北朝鮮問題について、大阪にスリーパーセルと呼ばれるテロリスト分子が潜んでいて、金正恩が死んだらテロを開始するというヘイトデマを流布して大炎上となっています。

三浦は番組のトークの中で戦争が起こって金正恩が殺害された場合、外部との連絡を断って独自にテロ活動を始めるスリーパーセルと呼ばれるタイプのテロリストがいると断言。

しかも日本国内にも潜伏しているとして「それがソウルでも東京でも、もちろん大阪でも、いま結構大阪ヤバイと言われていて」 と具体的な都市名を挙げ、大阪に大量に潜んでいると言われている事を示唆します。もちろん「誰がそれを言っている」のかについてはなんら明言しません。

そして出演していた松本人志が「え!?潜んでるってことですか?」 と聞き返したところ三浦は「潜んでます!」と根拠も述べずに断言します。可能性の示唆ではなく明快な断言です。これは極めて危険。

◆三浦の発言が極めて危険な理由
三浦の発言の問題は、在日コリアンの多い大阪という街で「何食わぬ顔で日常生活を送っているテロリストが大勢潜伏している」と日曜日の地上波であたかも既定の事実の如く断言してみせたことにあります。

これは関東大震災の時に「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という風雪が流布し、実際に多くの在日コリアンが虐殺された際のヘイトデマと構造が全く同じであり、虐殺の煽動に直結する極めて危険な発言です。

つまりこの発言は日本国内におぞましい疑心暗鬼を振りまき、戦争という非常時のたがが外れた状況において、「自衛」を理由とした虐殺を容易に引き起こすことになります。

同様の事例としてはルワンダで100日間で50万人とも100万人ともされるツチ族大虐殺の引き金となった千の丘自由ラジオによる「大統領暗殺はツチ族によるもの」というヘイトデマがあります。

◆今回だけの突発的発言ではない
三浦はPresident Onlineに掲載された記事核兵器をもつ北朝鮮にどう圧力をかけるかの中でもこのスリーパーセルについて言及しています。以下記事内から引用します。

「第二次朝鮮戦争」を想定した際に、もう一つ重要となる視点がスリーパー・セルの存在です。これらは、北朝鮮が韓国や日本国内において潜伏させている、いわゆるスパイのことです。これらのセルは、長年に眠っているように韓国や日本社会に溶け込んでいるものの、いざ有事となればテロや破壊活動をするように命令されています。前述した予めプログラムされた命令を受ける民間の戦闘員です。

韓国と北朝鮮は同一民族です。日本にも、朝鮮半島との長く複雑な歴史がありますから、スリーパー・セルをリクルートし、隠しておくことは比較的容易です。日韓のような開放的な社会にあって、監視の目をかいくぐって活動を開始するすべての組織や個人を事前に把握することは不可能なのです。

(中略)

スリーパー・セルのターゲットは、比較的警備の薄いソフトターゲットでしょう。空港・鉄道・道路や橋などの交通インフラ、発電所や通信施設などの電力・通信インフラが狙われるのか、あるいは、銀座や新宿の繁華街でのテロを狙うのか。日本国民全体を瞬時に人質にとることができるのは、やはり、原発へのテロです。

核兵器をもつ北朝鮮にどう圧力をかけるかより引用)



三浦はこのように、有事の際に「原発」「空港・鉄道・道路や橋などの交通インフラ、発電所や通信施設などの電力・通信インフラ」「銀座や新宿の繁華街」を狙って動き出す北朝鮮のテロリストが「長年に眠っているように韓国や日本社会に溶け込んでいる」としており、しかも「すべての組織や個人を事前に把握することは不可能」としています。

しかし、この文章でも主張の根拠はまったく語られないままに安直に断言され、憶測を無批判に混ぜ込みながら、まるで事実であるかのように語られています。

こうした主張が導く「理解」は何でしょうか?端的に言えば「あなたの近所に住むごく普通に見える在日コリアンはもしかしたら北朝鮮のテロリストかもしれない」というおぞましい妄想です。

◆虐殺は遠いどこかで起こる話ではない
ワイドナショーでの三浦の発言は、大阪という地名を殊更に強調したことも含め、地域社会に相互不信による分断をもたらし、疑念と偏見を拡大させて差別と排外主義を生み出します。

95年前の日本でも遠いアフリカのルワンダでもなく、東日本大震災や熊本地震の際に「外国人が災害に乗じて盗みを働くから注意しろ」というデマがツイッターなどのSNSで拡散した事実は今更指摘するまでもありません。

三浦の今回の発言は北朝鮮問題という極めてセンシティヴな問題に絡め、在日コリアンをターゲットに行われた極めて危険で悪質なものであり、日曜日の地上波という影響力の大きなマスメディアで国際政治学者の肩書きの元で語られたという影響力の甚大さからも当然ながらネット上では大きな炎上となり、三浦の所属する東京大学政策ビジョン研究センターBPOに通報したという報告も相次いでいます。

なお、三浦はアメリカ史上最大級のデトロイト暴動での人種差別と虐待を扱った映画「デトロイト」で何故か批評を行っており、その場では自分は誰かを差別していないか、誰かがつらい時に手を差し伸べているかと考えてみませんかなどと結んでいますが、まずは自分の胸に手を当てて考えてみるべきなのではないでしょうか。

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