「フェイクニュースやヘイトを撒き散らし、社会に分断をもたらすSNSに広告は出さない」ユニリーバが出稿中止を検討



世界的な大企業からのデジタルメディアへの警告とも言えそうです。詳細は以下から。


ネット上に溢れかえるフェイクニュースやヘイトスピーチ、性差別といった見るに堪えないコンテンツに対し、世界的な大企業であるユニリーバが広告引き上げという大きな方向転換を示唆しました。

ユニリーバは日本では食品であればリプトン、クノール、ケア用品であればAxe、LUX、Dove、ポンズ、モッズヘア、ティモテといった多数のブランドを展開する世界的な大手企業で、世界180ヵ国以上に支店網を展開しています。

このユニリーバのマーケティング主任を務めるKeith Weed氏はIAB Annual Leadership Meetingに出席した際のスピーチで「ユニリーバは今後子供たちを守らず、社会に分断をもたらし、怒りやヘイトを撒き散らすプラットフォームや環境に金をつぎ込むことはないだろう」と発言。

Weed氏は「我々は社会に好影響を作り出そうとする責任あるプラットフォームとのみ優先的に提携していくことになるだろう」とも述べており、事実上SNSを始めとしたインターネット上の各プラットフォームに対して警告を与えた形になっています。

これを裏付けるようにWeed氏は「2018年はSNSが信頼を取り戻す年になるだろう。世界中で、特にメディアに関して人々の信頼に関する劇的な転換が起きている。SNSを信頼する人々と、より『伝統的なメディア』を信頼する人々の間に致命的な分断が生じている。アメリカ合衆国では1/3未満の人しかSNSを信頼せず、2/3近い人々が伝統的なメディアを信頼しているのだ」とも発言。

ユニリーバ側が問題視しているのは子供の保護を筆頭に、人種差別や性差別といった社会的分断をもたらすコンテンツの横行であり、当然ながら昨今大きな問題となっているフェイクニュースがそれらを助長していることは今更指摘するまでもありません。

広告収入が全体の収入の60%にも及ぶとされるFacebookやYouTubeにとっては、年間1兆円程度を広告宣伝などのマーケティングに投じる広告主であるユニリーバのこうした方針は死活問題となります。

Facebookのスポークスマンは「我々はユニリーバの方針を全面的に支持し、共に進むつもりだ」と明言。ツイッター社もこの方針を支持する姿勢を見せていますが、現時点でYouTubeを有するGoogleはコメントを断っています。

SNSがこのままフェイクとヘイトに溢れたスラムになるのか、自浄作用を発揮することになるのか、ユーザーも含めて極めて大きな岐路に立っていると認識する必要がありそうです。

Unilever threatens to pull advertising from Facebook, YouTube and other platforms with controversial content

Unilever pledges to cut ties with ‘platforms that create division’ _ The Drum


フェイクニュースの作り方 個人がメディアを持つ時代 (朝日新聞デジタルSELECT)
朝日新聞社
朝日新聞社 (2018-01-17)
売り上げランキング: 273,409

フェイクニュース対ファクトチェック 欧米諸国の戦い方 (朝日新聞デジタルSELECT)
朝日新聞社
朝日新聞社 (2018-01-17)
売り上げランキング: 459,624

・関連記事
ツイッターとFacebook、YouTubeらが24時間以内にヘイトスピーチを削除することで一致 | Your News Online

先進国最下位に転落した日本の報道の自由度、「政府関係者やSNSの民族主義者などが原因」と断言される | Your News Online

保守速報がヘイトスピーチ訴訟で敗北、大阪地裁が200万円の損害賠償支払いを命ずる | Your News Online

「2017衆院選ヘイト政治家データベース」公開、トップは元次世代の党の自民党候補で安倍首相は4位に | Your News Online

水原希子出演のサントリー「ザ・プレミアム・モルツ」のキャンペーンツイートがヘイトコメントまみれに | Your News Online

「差別者の実名は晒す」大阪市ヘイトスピーチ抑止条例改正提案へ | Your News Online