三浦瑠麗が「大阪にテロリスト分子が潜んでいる」の根拠にした英デイリーメール紙、Wikipediaにもソースとして禁止されていた



「イギリスの東スポ」と呼ばれるデイリーメール紙を根拠にしていることに全方位的に失笑が湧き起こっています。詳細は以下から。


◆三浦瑠理の「大阪にテロリスト分子が潜んでいてヤバい」発言とは
安倍首相と会食していたことでも有名な、国際政治学者を自称する三浦瑠麗が2月11日朝のフジテレビで放送されたワイドナショーに出演し、北朝鮮問題について、大阪にスリーパーセルと呼ばれるテロリスト分子が潜んでいて、金正恩が死んだらテロを開始するというヘイトデマを流布したことは先日BUZZAP!でも報じて大きな話題となりました。

発言の詳細については三浦瑠麗『大阪にテロリスト分子が潜んでいてヤバい』とワイドナショーで『朝鮮人が井戸に毒』級の風説を流布して大炎上という記事内で取り上げましたが、この発言は関東大震災の時に「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という風雪が流布し、実際に多くの在日コリアンが虐殺された際のヘイトデマと構造が全く同じであり、虐殺の煽動に直結する極めて危険な発言であることは繰り返し指摘される必要があります。

◆ソースは「イギリスの東スポ」ことデイリーメール紙
この発言が大炎上したことに対し、三浦は自身のブログ記事で反論を行っているのですが、

国民にとって重要なことですので、どのような状況か、公開情報となっているものを紹介していきましょう。

まず、下記(韓国の情報源に基づく英国の記事)では、北朝鮮から、ラジオを使って暗号が流されたことを報道しています。記事を通じて、スリーパー・セルの存在や、連絡手段のあり方が明らかになっている他、スリーパー・セルは、「各国にいる」とも表現されています。日本は、韓国に次いで北朝鮮にとっての重要な工作先ですから、日本にも存在すると想定することは当然でしょう。

朝鮮半島をめぐるグレートゲーム - 山猫日記より引用)



と、情報源として挙げられているのが英国のタブロイド紙であるデイリーメール紙のNorth Korea broadcasts 'coded message to sleeper agents' on radio _ Daily Mail Onlineという記事。


BUZZAP!でもデイリーメール紙をソースのひとつとして取り上げることはありますが、基本的に顔の大きな男性は一夜限りのロマンスに強いことが明らかに」「イルカがフグ毒を経口摂取してトランス状態になって遊んでいることが判明」「前カレの家に煙突から裸で侵入しようとした女性、早朝に消防隊に救出されるといった害のないオモシロネタのためのもの。

既にネットではデイリーメール紙が「イギリスの東スポ」であることが指摘されていますが、この媒体にスポーツ新聞以上の役割を担わせることはできません。

当然ながらこの媒体をソースに「朝鮮人が井戸に毒を入れた」級の風説を流布することが認められるわけがないことは火を見るよりも明らかです。

◆Wikipediaはソースにデイリーメール紙を用いる事を禁止
こうしたことからWikipediaは2017年2月の段階で記述のソースとしてデイリーメール紙を用いる事を禁止する方針を決定しています。これはイギリスのウィキペディア編集者らが取り決めたもので、主な禁止理由を「ファクトチェックがまともに行われておらず、扇情的で、まったくのフェイク記事存在している事」としています。

ウィキペディア編集者らのステートメントは以下の通り。

デイリーメール紙とそのウェブ版は全体として信用できないという見解で一致し、この媒体を参照先として用いる事は禁止される。特に、他のより信頼できるソースがある場合はそちらを用いる。結論から言うと、デイリーメール紙はその事象が注目すべきかを決めるためにも、記事のソースとしても用いられるべきではない。

Wikipedia bans Daily Mail as 'unreliable' source _ Technology _ The Guardianより引用、拙訳)



誰でも自由に編集できることが売りであるWikipediaですら、オンライン百科事典としての性格からソースとして用いる事を禁止したデイリーメール紙を三浦が堂々とソースにしてしまった問題の重要性をご理解いただけましたでしょうか?

BUZZAP!では先日Wikipediaの「エンゲル係数」の項目を小説をソースに「重要度低下」と改ざんして「小説をソースに書かれることではない」と一蹴された自称経済通について報じていますが、三浦の論拠はこれと同レベルということになります。

◆これ以外の反論も極めて粗雑
三浦はデイリーメール紙を引用した後に読売新聞や警察白書を引いて論を展開して見せますが、ここでは「拉致問題」や「スパイ活動」が「テロ活動」と極めて粗雑に混ぜ合わされて論じられています。興味深い事に、「テロ」「スリーパーセル」という言葉は三浦による地の文にしか登場しません。

例えばスパイ活動については旧ソ連や北朝鮮に限らず、アメリカ合衆国が長年にわたって日本を諜報活動の対象としてきたことをNHKのクローズアップ現代+がアメリカに監視される日本 ~スノーデン“未公開ファイル”の衝撃~という番組で明らかにしています。

北朝鮮のスパイや工作員をテロリストと認識するのであれば、日本には長年「アメリカ合衆国のテロリスト」も潜入してきたことになってしまいます。

つまりは三浦の反論は「北朝鮮の工作が日本国内において日常的に行われている」事と「北朝鮮のテロリストが大阪に潜んでいる」事の区別すら付けられていないという、到底国際政治学者などと名乗れないレベルに粗雑なものでしかなく、当然ながら日曜日の地上波で断言が許されるようなものではありません。

即刻発言の撤回と謝罪を行い、国際政治学者の肩書きを返上すべきでしょう。

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