やはり自称保守界隈の仕業でした。詳細は以下から。
NHKが報じた文部科学省が名古屋市教育委員会に対して前川喜平・前文部科学事務次官の中学校での講演内容について録音データの提出や詳細を報告を求めるという前代未聞の大問題の根はやはり自称保守界隈に繋がっていました。
◆あり得ない教育基本法無視の「問い合わせ」
愛知県の大村秀章知事「常識外れで、開いた口が塞がらない」と声明を発表し、文科省を鋭く批判したことも伝えられましたが、戦前の愛国教育への反省に立ち国による学校教育への関与を制限する戦後教育に対する真っ向からの挑戦です。
教育基本法16条にも「教育は不当な支配に服することなく」と記されており、大村知事も「教育は不当な支配に伏することなく公正に行われなければならず、学校活動の個別の内容に国が口を出すのは控えるべきだというのが、戦後教育の基本ではなかったか」と指摘しているように、到底許容できるようなものではありません。
「天下り問題により辞職」や「出会い系バーの店を利用」などの個人攻撃を含んだねちっこく陰湿な文章は読む人全てに強い不快感を与えるものでしたが、それ故に官僚の作る文章ではなく政治家の関与が当初から強く疑われていました。
前川前事務次官もこの件について他の講演で「今回のことで文科省を責めないで。やらされているんだと。誰かから」と述べていたことが明らかにされており、19日に書面で以下のコメントを発表しています。
「文部科学省がこのようなことを自ら行うとは考えられないため、外部から何らかの強い政治的な働きかけがあったのだと思います。(中略)本来、教育に対する政治の不当な介入を阻む役割を負う文部科学省が、逆にそうした政治の加入に屈してしまったことは残念に思います」
(前川前次官の授業に“圧力”をかけたのは日本会議系の自民党「魔の3回生」〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)より引用)
そして毎日新聞の取材により、やはりこの政治的な働きかけを行ったのが自民党議員であり、しかもあの自称保守界隈だったことが判明しました。
◆「照会」を行った自民党議員はどんな人物か
毎日新聞の記事で名前が上がっている池田佳隆衆院議員は自民党の文科部会長代理というのですから、教育基本法を中心とした戦後教育の教育理念への無理解にはまさに「開いた口が塞がらない」と言うしかありません。
ですがこの無理解は「単なる無知」などという生やさしいものではありませんでした。
前川前事務次官が名古屋市立八王子中で総合学習の授業として講演したのは2月16日のこと。池田議員は名古屋市を基盤とする愛知3区の議員で、2月中旬から下旬にかけて複数回にわたって文科省初等中等教育局に電話し、授業の内容や経緯の説明を求めていたことが分かっています。
池田議員は単に文科省に対して照会するだけでなく、質問項目を事前に確認した上で修正を求めるなど、あの陰湿な問い合わせの文面そのものに対してまで介入していたことが判明。毎日新聞は以前の記事で文科省職員の「照会は執拗で対応に苦慮したと聞いている」とのコメントを得ている事を合わせて考えると極めて異様な状況が浮かび上がってきます。
拡散❤️
— 政局ウォッチNOW❤️ (@Chijisen) 2018年3月16日
前川氏授業、文科省のメール公表 名古屋市教委も河村名古屋市長も「やり過ぎ」とコメント。左の文書が、問題の前川氏の授業に対する文科省初等中等教育局担当者の偉そうな質問状。それに対する名古屋市教育委員会の回答が優秀NOW❤️講演を聞いた生徒さん達の感想が素晴らしいNOW❤️ pic.twitter.com/wBD1DK5z18
そしてこの池田佳隆衆院議員は「宇予くん」事件で一躍有名になった日本青年会議所(JC)の元会頭を努めていた人物。JCの愛国カルト化については独自の「日本国憲法草案」を中心にBUZZAP!では詳しく解説してきましたが、池田議員による今回の照会はまさにこの流れの延長線上に具現化した「リアル宇予くん」案件だったことが分かります。
ちなみにJCといえば、1998年に日本青年会議所議長と副議長4人を含むメンバーら33人が16歳の少女に女体盛りを行い、「コンパニオンに刺身を股や乳首にくっつけてから食べる会議所会員もいた」という衝撃的なスクープを覚えている方も多いのではないでしょうか?
前川前事務次官が出会い系バーに通っていることを読売新聞がスクープしながらも、卑猥なネタが一向に出てくることもなく、地に足を付けて現場を見てきた活動がかえって評価を高めたこととこの上ない好対照となっています。
なお、池田議員は日本会議国会議員懇談会のメンバーでもあり、神道政治連盟国会議員懇談会、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会にも所属しています。さらには「新しい歴史教科書をつくる会」から分裂した日本会議とも関係の深い日本教育再生機構の設立理事でもあるという筋金入り。
また、第2次安倍政権が生まれた第46回衆議院議員総選挙で初当選した「魔の2回生」と呼ばれる安倍チルドレンであり、「安倍首相の愛弟子」を自称していることを産経新聞が報じています。
自民党文科部会長代理を努めながら教育基本法を踏みにじり、読む人全てを不快にさせた問い合わせメールは「対左翼を意識し、炎上による拡散」を狙った「おでのムキムキ筋肉パンチ」としか取りようがなく、まさしくJCの誇る「リアル宇予くん」の名に恥じない行動だったと言うことができそうです。
文科省:前川氏授業データ要求 名古屋市教委への質問添削 自民文科部会幹部、複数回照会 - 毎日新聞
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