無説明で除染させて危険手当ピンハネや有給希望で強制帰国、奴隷売買と化した外国人技能実習制度が日本の将来を確実に暗くする



21世紀の日本の出来事だとはにわかに信じがたい酷さです。詳細は以下から。


以前からBUZZAP!では繰り返し批判してきた外国人技能実習制度ですが、違法行為の蔓延どころか人権蹂躙が横行しています。関係者らは実習生の事を果たして人間だと認識しているのかすら定かではありません。

◆人手不足解消のため外国人に奴隷労働を強いている現実
外国人技能実習制度は「発展途上国の外国人に技能を学んでもらう」という建前で行われていますが、実際には外国人技能実習生は母国でブローカーが噛み、高額な報酬などで釣って多額の借金を負わせて日本に来させている点が現代の人身売買制度と海外からも強く批判されています。

最低賃金を下回る給与、劣悪な労働環境、サービス残業の常態化やパワハラ・セクハラの横行、連絡の手段すら限られるなど、この制度には以前から数え切れない程の問題が指摘されてきました。


しかし、そうした実習生らの待遇改善どころか対象職種にコンビニの店舗運営を加えるよう大手コンビニ各社が画策するなど、技能習得とは関係ない「人手不足を解消する安価で使い潰せる労働力」としてさらなる拡大が意図されています。

実際に日本側のあっせん業者が「外国人技能実習生で人手不足を解消!!」などと謳ったFAXで雇用を求めるなどの事例もあり、待遇も「給与は最低賃金が可能」「毎月の家賃光熱費は実習生負担」「実習生は基本仕事を休みません!途中で辞めません!マジメで素直です!残業、休日出勤は喜んで仕事します!」と極めて劣悪なもので構わないとまで宣伝しています。


◆明らかになる違法操業の実態
労働環境の劣悪さに関しては、北海道労働局が2017年12月初旬までに道内で外国人技能実習生を受け入れていた事業者に監督指導に入った結果、106の事業所のうち食品製造業などの91業所(85.8%)に違法操業が見られました

その内訳も安全対策の不備に残業代未払いからサービス残業、労働条件の隠蔽までずらりと並んでおり、外国人技能実習制度がブラック労働の温床となっており、日本人が外国人労働者に奴隷労働を強いている現状はもはや隠しきれるものではありません。

「安全措置対策がとられていない機械を使用させた」…35件
「労使協定を超えた時間外労働」…22件
「時間外労働に対する割り増し賃金の未払い」…20件
「労働条件を母国語で明示しない」…14件


ですが今年になって明らかになったものはさらに輪を掛けて酷いものでした。

◆説明なしで原発事故の除染作業、危険手当はピンハネ
技能実習生として「建設機械・解体・土木」の実習をするはずだったベトナム人男性は2015年10月から16年3月までの間、真冬の寒さの中で説明も受けずに福島県郡山市の除染作業に従事させられました

男性は「来日前に除染の説明はなかった。(国が定める)被ばくに関する教育もなかった」としており、避難指示区域での建物解体工事などもさせられたため被曝への危険を感じて会社の寮から脱走し、問題が発覚しました。

問題はこれだけに留まらず、本来は1人につき1日あたり6600円の特殊勤務手当が国から会社を通じて支給されるはずが、実際には1日あたり2000円程度しか受け取っていなかったことも発覚。

しかも実習先の岩手県内の建設会社は、手当を満額支給したように装うため、賃金台帳などの書類に虚偽の記載をして環境省に提出していました。すでに厚生労働省は労働基準法違反の疑いで調べていますが、この会社の社長は読売新聞の取材に対して未払い分は、会社運営上の色々な経費に充てたと話しています。

説明なしで除染作業に従事させただけでも万死に値する卑劣な犯行ですが、その上前すらピンハネして会社の経費に流用するなど、モラルの欠片も見当たりません。まるで「女工哀史」や「あゝ野麦峠」の世界です。

◆有給休暇を希望したら突然家に押し掛けて強制帰国
また、横浜市の水産加工会社で働いていた技能実習生のベトナム人男性が、受け入れ窓口となった監理団体「房総振興協同組合」に有給休暇を取りたいと伝えたところ、房総組合職員が2月に事前通告もなく男性宅に押し掛け、ベトナムに強制帰国させていたことが判明しました。

契約書では勤務開始から半年経過すれば10日間年次有給休暇が取得できるとなっており、男性は2017年3月から勤務していたため、この有休取得にはなにひとつ問題はありません。


本来であれば監理団体は実習生を保護すべき立場の存在ですが、労働基準法を踏みにじり、ただでさえ弱い立場の技能実習生を「有休取得」という当たり前の希望に対して有無を言わせない形で強制帰国に追い込むなど、雇用側の非道を強力にサポートしています。

◆「日本という国家が奴隷状態を認めている」という現状
卑劣で陰惨な話の尽きない外国人技能実習制度ですが、「日本は国家の制度としてこの外国人技能実習制度を採用している」という大前提を忘れてはいけません。

日本人相手ではブラック労働と批判されることも「外国人技能実習生相手であれば問題ない」と考えるあっせん業者、受け入れ会社、監理団体などが多数存在し、かねてから問題視されているにもかかわらず、国は制度を見直すつもりがないわけです。

ブローカーに甘い言葉で人員を徴集させて借金で縛り、人間を人間として扱わず、弱い立場であるのをいいことに労働基準法にも違反する低賃金低待遇の労働を強い、不要となれば送り返せばいいという実習生制度は、日本という国がこの人身売買による奴隷労働を認めているということになります。

このままだと将来実習生問題を振り返った時、謝罪を求める元実習生たちと「実習生は自分の意志で来ていた」「悪いのは現地のブローカー」「募集条件を見ても彼らはとても好待遇だった」などという理屈を並べて国民の支持を得ようとする政治家が対立し、日本のイメージが悪くなる……といった、現在別の問題で目の当たりにしているのと同じ光景が繰り広げられることとなりそうです。

東日本大震災:福島第1原発事故 ベトナム人解体従事 実習生からピンハネ、環境省確認 - 毎日新聞

有給希望の実習生に強制帰国 千葉の受け入れ団体|【西日本新聞】

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