安倍政権に批判的な存在であれば、野党だろうとメディアだろうと文化人だろうと、曲解を用いデマをもばらまいて徹底的に叩くツイッターアカウント「DAPPI(@take_off_dress)」。
前回の記事ではデマの悪質さに触れた上で「完全シフト制」「個人では困難な作業量」「収益源ゼロなのにフルタイム稼働」などの理由から、個人でなく何らかの団体が運営していると断定せざるを得ないことをお伝えしましたが、思わぬ形で尻尾を見せました。詳細は以下から。
◆首相を庇うため「3年前の新聞記事比較」をアップ
まず見てもらいたいのが、本日朝9時50分付けで投稿されたDAPPIのツイート。
「加計学園の獣医学部新設の計画について初めて知ったのは2017年1月20日」という今までの首相の答弁を覆す「加計学園理事長が2015年2月25日に首相と面談し、獣医学部の構想を説明した」と記された文書を昨日愛媛県が提出したことを受けたもの。
3年前の新聞各紙に掲載された首相動静を比較し、そのような面会はなかったと否定していますが、首相動静に名前が出ないのはよくあることと、首相自らが答弁してしまっているため、残念ながら意味をなしません。
DAPPIがアップした画像。朝日新聞のスクープをはじめ、マスメディアの報道をあれだけ否定していたにもかかわらず、都合のいい時だけ根拠に使うのも不思議な気がしますが、確実に紙面を撮影したものです。
◆「どうやって3年前の新聞記事を集めたのか」が話題に
しかしここで問題となったのが、「どうやってDAPPIは3年前の新聞記事を集めて朝イチでアップできたのか」という点。愛媛県の文書に関する報道は昨日の夕方ごろ行われたため、「図書館で集めてきた」という言い訳もできなくはないものの、残念ながら産経新聞には縮刷版がありません。
そんな疑問に政治ジャーナリスト・安積明子さんが出した答えが「国会図書館分館を使えばたやすい」というもの。
国会議事堂の中には国会議員のほか、議員秘書、政党職員、国会職員、国会担当の行政省庁職員などが利用できる国立国会図書館分館があります。
利用することができるのは、議院記章の発行を受けていて、議事堂に常時公用で出入りすることのできる国会関係者である(議事堂の見学者は利用できない)。具体的には、国会議員のほか、議員秘書、政党職員、国会職員、国会担当の行政省庁職員などである。とくに議員のためには議員専用の閲覧室があり、議員が調べ物や読書、書き物などに使うことができる。
ちなみに国会図書館分館は一般人が利用できない施設。個人で新聞6紙を取って3年分以上保管というのも資金・保管スペース的に考えづらいため、必然的にDAPPIの運営陣には国会図書館分館にアクセスできる国会議員や政党の関係者がいることになるわけです。
一説によると新聞(朝刊・夕刊)の重さはチラシ抜きで300グラム。6紙取れば1日1.8kg、単純計算で3年で2トンほど。毎年30万円近い購読料が発生することも含め、やはり個人には荷の重い話です。
「1ヶ月にわたって毎日およそ6時間(しかもNEWS23とWBSは裏番組)ニュース番組を見続け、特定の話題に関する放送時間を秒単位でカウントして集計する」などの離れ業も成し遂げていたDAPPI。さすがに個人運営と考えるほうが無理な段階になりつつあります。
改めてDAPPIの特徴をまとめてみるとこんな感じ。仮に今回の一件が無かったとしても、ここまで要素が出そろうと「安倍政権を批判されると都合の悪い集団による世論誘導アカウント」と捉えられても仕方がない気がします。
・曲解は当たり前、メディアの偏向を問題視しながら自らはデマすら利用して安倍政権の敵を攻撃
・平日8~21時台、日曜朝9時台(サンモニ、サンジャポ放送時間)に稼働する完全シフト制
・動画のリアルタイム編集、放送時間の集計など個人が片手間でやるには厳しすぎる作業量
・放送法遵守を求める視聴者の会の別働隊のような動きを見せることも
・広告収入が得られないツイッターで平日フルタイム稼働する活動資金の出どころが不明
・一晩しかも朝イチで縮刷版のない産経含む新聞6紙の3年前の記事比較をアップできる
もはや無償の個人活動とするより「活動そのものがメシの種」と考えたほうがはるかに妥当ですが、真相はどこにあるのでしょうか。
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