選挙戦時からそうなるだろうと囁かれていましたが、なかなかのフットワークです。詳細は以下から。
6月10日に投開票が行われ、自民・公明両党が推薦した花角英世候補が当選したことを受け、東京電力からの柏崎刈羽原発の再稼働への要望がさらに大きなものとなりそうです。
◆再稼働「慎重派」を掲げる花角新知事
花角候補は選挙戦時には地元紙新潟日報に「新潟県の3つの検証が終わるまで再稼働の議論はしません!再稼働の是非は、県民に信を問います!」とした全面広告を打つなど、再稼働への慎重姿勢を崩さず、結果として再稼働反対派の票の1/3以上を取り込んだとされています。
こうした事情を受けて花角候補は当選後、取材に対して柏崎刈羽原発を「県民の納得がない限りは動かさない」と明言している他、原発政策としては米山前知事の方針を受け継ぎ、仮に再稼働を行う際には「信を問う」として出直し選挙を行う考えも既に表明済みです。
◆東電は早速再稼働に意欲
東電はそうした花角候補の立場を踏まえた上で「引き続き、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策などに取り組み、花角新知事をはじめ県民の皆様に丁寧に説明するとともに、新潟県が進めている3つの検証にしっかりと協力してまいります」と表明。
しかし既に誰もが知っているように、日本は既に電力供給という意味で原発を必要としていません。東日本大震災以降、原発ゼロでも日本社会は猛暑や厳冬を乗り越えてきました。
その理由は節電意識の定着、省電力設計の電気製品の普及、再生エネルギーの急速な発展など、多岐に渡っています。
また、これに加えてあまり注目はされませんが、日本が少子高齢化に伴う急速な人口減少社会に突入していることは、消費電力の総量が今後減少する一方であることを示しています。
つまり、原発が再稼働しなくても日本社会は電力供給という意味では時間が経てば経つほど困らなくなっていくということ。
◆東電の目的は「収益改善」
NHKが今回の報道の中でもずばり指摘しているのが、東電が柏崎刈羽原発の再稼働を目指す理由が「収益の改善を図るため」ということ。
東京電力は、福島第一原発の廃炉や事故に対する賠償などに必要な費用の総額が21兆5000億円にまで膨らんでいることから、その費用を担ってゆくために今後10年以内に年間収益を2000億円以上改善するとしています。
そのため、1基が稼働すると火力発電所などに比べて年間最大1100億円の発電コストの削減効果があるとする柏崎刈羽原発を再稼働させ、収益改善を加速させたい考えです。
つまりは、営利企業が自社の起こした世界最悪の原発事故に掛かるコストを埋め合わせるため、さらに原発ビジネスを加速させたいと言っているということ。
原子炉3機のメルトスルーという人類史上最悪の原発事故の処理すら終わらず、多額の国民の税金を処理に投入している段階で、社員や役員に高給を払い続けつつ収益のためにさらに原発を勧めようという東電の姿勢にはさらに厳しい視線が注がれることになりそうです。
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