これで福島県内の全ての原発が「廃炉」となります。詳細は以下から。
◆福島第二原発が廃炉方針
2011年の東日本大震災以降運転を停止していた福島第二原発が、ようやく廃炉になる事が明らかになりました。
東京電力の小早川智明社長は6月14日に福島県庁を訪問し、内堀知事に対して廃炉の方向で検討すること伝えました。小早川社長によると「知事や県議会などから再三要請を受けるなか、これ以上曖昧な状態では復興の足かせになると考え、今日検討に入ることを表明した」とのこと。
福島第二原発に対しては、震災後に福島県議会が廃炉を求める請願を採択しており、同様に立地自治体の富岡町と楢葉町の議会も廃炉を求める意見書を採択していました。
こうした事情を受けて内堀知事も早期に廃炉にするよう政府と東京電力に繰り返し求めていた中での方針決定となり、内堀知事は説明を受けて「重要で大切なスタートになる」とコメントしています。
なお、廃炉のスケジュールや費用などは現時点では明らかにされておらず、あくまで大きな方向性としての提示となっています。
◆なぜこのタイミングだったのか
東京電力はこれまで国のエネルギー政策などの事業環境を取り巻く状況を総合的に判断するとして、福島第二原発の廃炉について曖昧な態度を崩してきませんでした。
このタイミングでの廃炉方針の決定が行われた事については、先日の新潟県知事選挙での自民党推薦候補の勝利が影響しているとの見方がネット上などでは既に囁かれています。
これは要するに、柏崎刈羽原発の再稼働が視野に入ってきたことから、極めて再稼働のハードルの高い福島第二原発というカードを切ったのだというもの。
確かに「FUKUSHIMA」は世界最悪級の原発事故が起こった地名として世界的に知られるようになっており、いまだ事故収束の目処すら立たない福島第一原発から12kmの第二原発を再稼働させる事は、世界中からの極めて大きな批判をもたらす可能性があります。
加えて福島第二原発は1号機が2022年に、最も新しい4号機も2027年に稼働から40年を迎えます。東日本大震災を受けて定められた「原発の運転期間は原則40年」というルールがあるため、稼働できる期間は長くはありません。
これに比べて柏崎刈羽原発は1号機を除いた6機が2030年以降まで運転が可能となっているため、どちらか片方を選ぶのであれば柏崎刈羽原発を優先する事は自明です。
◆新潟県の状況は?
先日BUZZAP!でもお伝えしたように、東京電力は花角候補の当選を受けて「引き続き、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策などに取り組み、花角新知事をはじめ県民の皆様に丁寧に説明するとともに、新潟県が進めている3つの検証にしっかりと協力してまいります」と表明し、再稼働への意欲を新たにしています。
ただし、今回の新潟県知事選挙で当選した花角氏は自民党推薦候補ではありますが、地元紙新潟日報に「新潟県の3つの検証が終わるまで再稼働の議論はしません!再稼働の是非は、県民に信を問います!」と全面広告を打っています。
また当選後にも改めて「県民の納得がない限りは動かさない」と明言していることもあり、安易に再稼働を認めると公約違反の誹りを免れない状態。
いったい今回の福島第二原発の廃炉が柏崎刈羽原発の再稼働に繋がるものなのか、これからの新潟県の対応が注目されます。
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