ヘイトスピーチとデマで悪名高いまとめサイト、保守速報が再び敗北です。詳細は以下から。
インターネット上のヘイトスピーチで名誉を傷つけられたとして、在日朝鮮人のフリーライター・李信恵さんが起こした訴訟で、大阪高裁は保守速報の管理人である栗田薫の控訴を棄却しました。
◆初の個人による「対ヘイトスピーチ訴訟」の経緯
この訴訟は差別主義団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の桜井誠(本名:高田誠)会長(当時)らがインターネット上で、李さんの出自を取り上げて、「不逞(ふてい)鮮人」などのヘイトスピーチを繰り返し投稿し、「保守速報」が同様の匿名によるヘイトスピーチを掲載したことを受けて行われたもの。
李さんは桜井誠前会長および在特会に約550万円、発言を転載した2chまとめブログ「保守速報」に約2200万円の損害賠償を求めており、ヘイトスピーチを巡って個人が賠償請求する訴訟としては初めてのものでした。
既に桜井前会長と在特会に対しては2017年11月29日付けで最高裁が上告不受理の決定をしており、在特会側に77万円の支払いを命じた2審・大阪高裁判決が確定しています。
大阪地裁はこれらのヘイトスピーチを「社会通念上、許される限度を超える侮辱行為にあたる」と認定。差別の助長や増幅を狙ったものだと指摘し、人種差別撤廃条約の趣旨にも反するとしました。大阪高裁はこれに加えて「李さんの容姿をおとしめる表現が使われ、女性差別との複合差別にあたる」とも指摘しています。
保守速報に関しては、建前上は「2ちゃんのコメントをまとめただけ」としつつヘイトスピーチを掲載する行為にどのような判決が下されるかが注目されていましたが、2017年11月16日に大阪地裁は200万円の損害賠償の支払いを命じています。
大阪高裁はこの200万円の損害賠償の支払いを命じた地裁の判決を支持し、控訴を棄却しました。
◆ヘイトデマを掲載するまとめサイトへの広告剥がし運動
今年の5月頃から、YouTubeのヘイト動画を通報してアカウントを凍結させる運動がネット上で広まっていましたが、こうした動きから派生するような形で保守速報を筆頭とした、ヘイトデマを掲載し続けるまとめサイトの広告を剥がす運動が起こっていました。
この運動によって多くのまとめサイトから多数の広告主が引き上げたり、アドセンスが停止されるなどしており、保守速報もご覧の通り広告がほぼ消滅している状態となっています。
ヘイトスデマでビジネスをする差別主義者の広告収入を遮断するという、いわゆる「兵糧攻め」とも言えるこの運動。今回の高裁判決によって、ヘイトデマを掲載するサイトへの広告出稿のはらむ反社会性がさらに明確に浮き彫りにされたと言えるでしょう。
文藝春秋
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