日本の科学研究の壊滅的な没落をこの上なく明確に示すグラフが発見される



既に「転進」のレベルではなく「玉砕」です。詳細は以下から。


◆科学技術白書も指摘する日本の学術研究の没落
わが国の国際的な地位のすう勢は低下していると言わざるを得ないとする2018年版の科学技術白書を政府が閣議決定したのは6月12日のこと。

論文数、研究の影響力を示す論文の引用回数は大幅に下落、科学技術関係予算の伸び具合も横ばいのままとなっており、研究者の数や海外との交流なども減少してガラパゴス化が進み、注目度の高い新たな研究分野への参画度合いも低下して保守化している事が明らかになりました。

◆科学論文が世界ぶっちぎりで減少
そんな状況の中でHideyuki Hirakawaさんのツイートで示された「科学論文の減少」を示すショッキングなグラフがネット上で話題になっています。




これはWorld Mapperという各種データを世界地図上の各国の大きさに反映させるウェブサイト上のScience Decline 2005-2015というグラフ。

その名の通り、2005年から2015年の間にどれだけ各国の科学論文が減少したかを示すものなのですが、ひとつだけ巨大に膨れあがった国があり、それがわが国日本です。


このグラフの作成に使われたデータはExcel形式でダウンロード可能なのですが、それを見ると減少数2位のベラルーシ(-321本)と3位のベネズエラ(-241本)をぶっちぎって-9850で世界トップの減少数を誇っています。

逆にこちらは「科学論文の増加」を示すScience Growth 2005-2015というグラフ。


中国が圧倒的な増加数を見せていますが、インドがこれに次ぎ、アメリカ合衆国、韓国、ブラジル、イランと続いています。なお、2015年の論文数トップはアメリカ合衆国ですが、以前からずっと多かったため「増加数」で見たグラフのためそこまで巨大にはなっていません。

◆修士・博士に進む学生も減少
こうした惨状をさらに明らかにする現状を毎日新聞が8月22日に報じています。それは日米英独仏中韓の7ヶ国で、人口100万人当たり修士・博士号の取得者数を、2008年と2014~17年度で比較したもの。

この7ヶ国は比較可能なデータがある事から選ばれたものですが、この中で日本のみが修士・博士の双方で減少しています。修士号取得者は08年度比0.97倍の570人で、博士号取得者に至っては0.90倍の118人となっています。

これは科学技術白書の、博士課程への進学者が2003年度の約1万8000人をピークに減少し、2016年度にはついに1万5000人を割り込んだというデータを如実に裏付けるものです。


◆今からでもやらなければならないことは?
論文が発表されるためには研究者の層を厚くしなければならないことは言うまでもありません。多くの研究者が多才な研究をすればこそ、影響力のある研究がその中から出てくるもの。

科学技術白書でも2003年前後をピークとしているように、小泉政権が2004年に行った国立大学の法人化の失敗を認めて大規模な方向転換を行うことは何よりも大切です。

その中でも重要なのは学生が研究者を目指す動機づけです。何よりまずは「食っていける」環境が必要ですし、若手研究者が将来性を見越しつつ独創的かつ挑戦的な研究を行うためにも相応の生活基盤と保証が求められます。


具体的には有期雇用や非正規雇用扱いにされている若手を正規雇用で迎え入れることが必須。その上で研究者であることがキャリアとなりステータスとなってゆかなければ、敢えてリターンの見えない苦行を行いたいという学生が減っても仕方がありません。

人材こそが資源であると考えるのであれば、その人材を以下に育て上げるか、潰さずに伸ばしていけるかに注力しなければ技術大国日本は文字通り「滅亡」するしかなくなります。

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