全方位ツッコミ待ちの鉄板ギャグ本、新感覚異世界転生ライトノベルの大作として大評判ですが、中央大学生協はなぜか「日本通史の決定版!」と絶賛しています。詳細は以下から。
◆デマと暴言と歴史修正主義の百田尚樹による「歴史本」
デマと暴言に塗れ、堂々とテロ組織結成予告を公言する作家、百田尚樹。これまで「政府批判するマスコミは経団連を通じて懲らしめる」「沖縄の2紙は潰さなくては」など極右思想を垂れ流してきました。
もし北朝鮮のミサイルで私の家族が死に、私が生き残れば、私はテロ組織を作って、日本国内の敵を潰していく。
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2017年4月13日
加えて死去した社民党の土井たか子元党首を「まさしく売国奴だった」と評し、2014年の都知事選では田母神候補以外の候補者を「人間のクズ」と罵倒し、挙句には「エボラ対策で民主党が審議拒否」とデマを拡散しながら謝罪もせず現在もデマと暴言を吐き続けています。
そんな百田尚樹の執筆した「日本国紀」が発売されましたが、これまで歴史修正主義を堂々と行ってきた「前科」からも容易に推測できるように、やはり論外のトンデモ歴史本となっています。
当たり前のことを言います。
— 百田尚樹 (@hyakutanaoki) 2017年1月17日
南京大虐殺はありませんでしたし、戦争中の朝鮮人慰安婦は売春婦でした。
細かいことは140字では語れません。
悲しいことは、こんな当たり前のことを言っても、信用しない日本人がいることです。今更ながら、朝日新聞の威力と凄さを実感します。恐ろしい新聞です…
◆ツッコミ待ちだらけの妄想の列挙
・「男系」を「父親が天皇」と勘違い
この時点で保守「論客」としては腹を掻っ捌いて詫びなければ話にならないレベルの大間違いなのですが、「日本国紀」では全ての編集や校正などの全てのチェックを奇跡のドリブル突破で出版にまで至っています。
百田尚樹は本文内で「日本には過去八人(十代)の女性天皇がいたが、全員が男系である。つまり父親が天皇である」と明言。
ですが男系とは「男子によって受け継がれる系統。また、父方の血統」を指す概念であり、「父親が天皇」は100%完全な勘違い。この時点で百田尚樹には歴史本を書くための基礎知識がまったく備わっていないことが分かります。
・十七条憲法は「民主主義」
聖徳太子の十七条憲法が民主主義的な思想で日本古来の伝統という主張は稲田朋美元防衛相をはじめ、自称保守界隈では人気の高い考え方です。
稲田朋美議員「民主主義の基本は我が国古来の伝統であり、敗戦後に連合国から教えられたものではありません」
— Tad (@CybershotTad) 2018年10月29日
国会で堂々と歴史修正発言。(衆議院本会議2018年10月29日) pic.twitter.com/nKhyerOqml
しかし、十七条憲法の後世の創作説を取らなかったとしても、この内容は政府と国民の関係を規定するものではなく、官僚のあり方について記したもの。
もちろん国民の代表者たる議会の承認を得て発布されたものではありませんので、民主主義的な法律ではありませんし、近代的な「憲法」とも全く違います。
また、内容としては仏教や儒教の考え方が広く取り入られているため、日本古来の伝統的な考え方と言うこともできません。
・南京大虐殺もやっぱり否定
もちろんいつも通り、百田尚樹は南京大虐殺をこの本でも否定します。「客観的に見れば、「『南京大虐殺』はなかった」と考えるのがきわめて自然である」としていますが、安倍首相が立ち上げた「日中歴史共同研究」が南京大虐殺を正式に認めていることは既にBUZZAP!でもお伝えしたとおり。
Photo by Wikipedia
この時点で安倍首相肝いりのプロジェクトを「客観的に見れていない」と全否定していることになるのですが、大丈夫なのでしょうか?
・突然架空戦記ファンタジーに
さらに歴史本であったはずですが、いきなり「江戸幕府が海外進出を勧めていたら?」という架空戦記ファンタジーが始まってしまいます。
その内容は、江戸幕府なら朝鮮半島も明も東南アジアも余裕で植民地にできたはずで、オランダやスペインと戦っても勝てるに違いないという、「なろう系」ばりの無双状態となっていますが、当然ながら根拠は示されておらず事実上のファンタジーとなっています。
ということで「日本国紀」は歴史本ではなく、日本列島がトラックに撥ねられ異世界転生した並行世界で無双する歴史を描く、新感覚ライトノベルであることがはっきりと分かります。実際に内容紹介では
本書は、2000年以上にわたる国民の歴史と
激動にみちた国家の変遷を「一本の線」でつないだ、
壮大なる叙事詩である!
とされているように、ベストセラー作家の百田尚樹がラノベの新ジャンルを築き上げた意欲作と言うことができるのではないでしょうか。
◆中央大学生協は「日本通史の決定版!」と絶賛入荷
そんな歴史的事実の検証どこ吹く風の「日本国紀」を、中央大学生協が「話題沸騰の新刊」「日本通史の決定版!」と大絶賛して平積みで販売を開始している事がネット上では大きな話題となっています。
【多摩店 書籍売場】話題沸騰の新刊、本日入荷しました!!平成最後の年に満を持して出版された日本通史の決定版!百田尚樹著『日本国紀』幻冬舎 定価1,944円→1,749円(生協割引後の税込価格)
— 中央大学生協 (@chuocoop) 2018年11月10日
書籍売場レジ前にて販売中です。 pic.twitter.com/99qlbr71Na
さすがにこの煽り方は史学科の学生を不可避の不可判定に追い込む悪魔の所業と言わざるを得ません。「話題沸騰の新刊」なのは間違いありませんが、即刻ラノベコーナーに移動した方がよいのではないでしょうか。
・次の記事
「ウルトラライトノベル」「オルトライトノベル」などと評される同書の裏側が見えてきました。なんと監修者が逃亡し、歴史研究の実績があるのかどうかすら分からない謎の団体が監修しています。
百田尚樹の新感覚ライト(right)ノベル「 #日本国紀 」の闇深い内幕が明らかに | Your News Online
・その次の記事
参考文献も学術的な裏付けない記述の数々や本文中の矛盾に多くのツッコミが集まっていますが、間違っていない記述の中からWikipediaなどからのコピペが発覚しています。大学生のレポートですらNGな行為なのですが…?
百田尚樹の「 #日本国紀 」、Wikipediaなどからのコピペが発覚してしまう | Your News Online
・さらに次の記事
ついに百田尚樹がWikipediaからの無断転載を認めてしまいました。本人が動画で喋っている様子を見ることができます。
【速報】百田尚樹が「 #日本国紀 」でWikipediaなどからのコピペを自供 | Your News Online
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