麻生財務相「人の税金使って学校行った」の東大卒市長批判が完全な的外れである理由

この税金の認識で財務大臣を務めているのは、「PC使ったことない」の桜田サイバーセキュリティ戦略本部担当大臣よりも危険かも知れません。詳細は以下から。

自民党福岡県連最高顧問を努める麻生副総理兼財務相が11月17日、福岡市長選の現職候補を応援する街頭演説で北九州市の北橋健治市長を批判したのですが、その内容が物議を醸しています。

麻生財務相は北橋市長について「（福岡市と）同じ政令市でも人口を毎年減らしている」と指摘した上で「人の税金使って学校行った。東京大学だろ」と揶揄、「その人は、もう一回再選しようとしている」と不快感を示しました。

どの辺りが「完全な的外れ」であるか解説してみましょう。

◆そもそも揶揄にも批判にもなっていない
麻生財務相の発言は「国立大出身者に対する批判」とも受け取れそうですが、よく考えてみると「それがなにか？」といった類いの話にしかなっていません。

教育は国にとって極めて重要な税金の使い道ですし、その中でも「優秀な若者に高等教育を受けさせる」事は義務教育と並んで国が担うべき大切な責務であり、「人の税金使って学校行った」事は恥じたり責められるような話ではありません。

この発言で北橋市長を「なに？なんて酷い人間だ！」と思う人がどれほどいるかといえば、ほぼゼロだったのではないでしょうか。

なお、小ネタですが麻生財務相の娘である麻生彩子さんも北橋市長と同じ東京大学出身です。

◆私立大学にも税金は投入されている
「人の税金使って学校行った。東京大学だろ」という麻生財務相の発言は「税金で運営されている東京大学という国立大に行っていた」ということを指しています。

まるで国立大だけが税金によって運営されているかのような認識ですが、当然ながら麻生財務相の卒業した学習院大学をはじめとした私立大学も私学助成金など各種の補助金を受け取っています。

例えば文科省が2016年度に始めた「私立大学研究ブランディング事業」に、昨年から日本を賑わしている加計学園系列の2大学が選定されていたというニュースは覚えている方も多いのではないでしょうか？

◆政治家は「人の税金使って」飯を食っている
麻生財務相の発言は、政治家がみな「人の税金使って」飯を食っている存在であることから、巨大ブーメランとなって自らに突き刺さります。

もちろん政治家が外国政府からの金で飯を食う事態ともなれば、その政治家は明確に「外国のスパイ」の「反日売国奴」となりますので、政治家に税金から報酬を支払うのは当たり前の事。

それと同様に、大学を始めとした教育機関を国が整備・補助・運営し、国民の教育を担う事もまた当たり前の事です。

◆一番の問題は「当たり前を分かっていない」こと
いかがでしょうか？何とも当たり前の事を当たり前に書き連ねただけに見えるかも知れません。実際、これらは全て当たり前の事でしかありません。

問題は、その当たり前を総理兼財務相という日本のナンバー2に当たり、国の予算・決算・会計を司る財務省のトップを担う人物が理解していなかったということ。

この発言自体は揶揄にも批判にもなっていない、いわば無意味な難癖に過ぎません。ですが、本件は財務相が税金の使い道や理念についての基本のキすら理解しないまま、他者への攻撃に「税金」の話を用いたということになります。

BUZZAP!では桜田サイバーセキュリティ戦略本部担当大臣の「PC使ったことない」答弁について先日報じたばかりですが、今回のこの発言はそれと同レベル。むしろ攻撃に用いている分、知ったかぶりよりも悪いと言えます。

この発言にある市議が「（発言は）いつも言っている通りだ」と冷静に語ったことが報じられていますが、「ナチスの手口」に始まるこうした発言をいつまでも「麻生節」とスルーし続けてよいのでしょうか？

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