差別とデマを垂れ流す悪名高いまとめサイト、保守速報がヘイトスピーチ訴訟に完全敗北しました。詳細は以下から。
インターネット上のヘイトスピーチで名誉を傷つけられたとして、在日朝鮮人のフリーライター・李信恵さんが起こした訴訟で、最高裁は12月11日付けで保守速報の管理人である栗田薫の上告を棄却し、第一審、第二審判決が確定しました。
◆初の個人による「対ヘイトスピーチ訴訟」の経緯
この訴訟は差別主義団体「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の桜井誠(本名:高田誠)会長(当時)らがインターネット上で、李さんの出自を取り上げて、「不逞(ふてい)鮮人」などのヘイトスピーチを繰り返し投稿し、「保守速報」が同様の匿名によるヘイトスピーチを掲載したことを受けて行われたもの。
李さんは桜井誠前会長および在特会に約550万円、発言を転載した2chまとめブログ「保守速報」に約2200万円の損害賠償を求めており、ヘイトスピーチを巡って個人が賠償請求する訴訟としては初めてのものでした。
既に桜井前会長と在特会に対しては2017年11月29日付けで最高裁が上告不受理の決定をしており、在特会側に77万円の支払いを命じた2審・大阪高裁判決が確定しています。
大阪地裁はこれらのヘイトスピーチを「社会通念上、許される限度を超える侮辱行為にあたる」と認定。差別の助長や増幅を狙ったものだと指摘し、人種差別撤廃条約の趣旨にも反するとしました。大阪高裁はこれに加えて「李さんの容姿をおとしめる表現が使われ、女性差別との複合差別にあたる」とも指摘しています。
保守速報に関しては、建前上は「2ちゃんのコメントをまとめただけ」としつつヘイトスピーチを掲載する行為にどのような判決が下されるかが注目されていましたが、2017年11月16日に大阪地裁は200万円の損害賠償の支払いを命じています。
大阪高裁は2018年6月28日にこの200万円の損害賠償の支払いを命じた地裁の判決を支持し、控訴を棄却。その後保守速報側は上告していましたが、12月11日付けで控訴棄却。さらに上告受理申し立ても認めなかったため、第一審、第二審の判決が確定しました。
まとめサイトは「まとめ」という体裁ではあるものの、コメントを選別して掲載しているのはもちろん管理人。まとめるのが匿名コメントである以上、自分でコメントを書いて自分でまとめる「自作自演」すら容易にできてしまいます。つまりこれら「まとめ」サイトに掲載されたコメントは管理人の意見そのものと考えても差し支えないもの。
今回のヘイトスピーチ訴訟では、第一審判決から上告棄却まで一貫して「2ちゃんのコメントをまとめただけ」という言い訳が司法の場では一切通用しないという明確な判例が作られたことになります。
この判決を言論弾圧だという意見も出てくる可能性がありますが、保守速報が「対立思想に対する批判又は保守的な政治思想に基づく意見ないし論評」として特定の人物を攻撃するために掲載したレスは「朝鮮の工作員」「キチガイ」「寄生虫」「ゴキブリ」「ヒトモドキ」「クソアマ」など、差別感情を汚い言葉で吐き捨てて相手を侮辱するだけのもの。
「保守速報」裁判の地裁判決と、「まとめサイト」の今後 - 荻上式BLOG
これらを「対立思想に対する批判又は保守的な政治思想に基づく意見ないし論評」だと評することは「保守的な政治思想」の持ち主に対して極めて失礼なレベルの単なるヘイトスピーチの羅列でしかありません。
◆広告を剥がされ、ノベルティグッズで凌ぎつつもサイトは継続へ
今春に行われたヘイトデマを掲載し続けるまとめサイトの広告を剥がす運動の成果で、現在までに保守速報の広告は丸裸の状態になっています。
保守速報はいわゆる純粋な思想的な動機ではなく、ビジネスとして差別やデマを垂れ流しながら広告収入で荒稼ぎをしてきた、いわゆる「ビジネス右翼」と呼ばれるまとめサイト。広告消滅以降はノベルティグッズの販売でビジネスを継続してきました。
このアイディアは「残酷」の愛称で親しまれる小坪慎也行橋市議会議員から支援の申し出によるもので、小坪議員は広告収入の代わりにしおりや缶バッジ、ステッカーといったノベルティグッズを作成して販売することで、サーバー代や人件費を捻出することを提案。
実際に9月20日から税込み1080円でノベルティグッズ第1弾のしおりを販売して運営費に充てています。
さて、敗訴確定を受けて今後このヘイトデマサイトはどうなるのでしょうか?12月12日に保守速報の管理人の栗田薫は「【最高裁】保守速報の上告棄却 敗訴」(魚拓)という記事の中で以下のように述べ、継続を宣言しています。
管理人です。
最高裁で上告が棄却され敗訴となりました。
今まで応援してくださった読者の皆様ありがとうございました。
保守速報は続けていきます。今後ともよろしくお願いいたします。
保守速報は日本の司法に名実ともに人種差別撤廃条約の趣旨に反する差別主義サイトであると認められた訳で、今後もこのサイトをシェア・拡散する人は差別主義への加担者と目される危険もあります。
果たしてこれまでのようにやっていけるのでしょうか?
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