「福島の放射能は安全」と言い続けてきた早野龍五東大教授、個人被曝線量のデータを1/3に改ざんしていた



「福島第一原発事故の放射能は危険ではない」「福島産は安全」と主張し続けてきた早野龍五東大教授。

なんと個人被曝線量に関する論文で、線量のデータを1/3に改ざんしていたことが明らかになりました。詳細は以下から。


2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴うレベル7の原発過酷事故である福島第一原発事故。多くの人が長期間の避難を余儀なくされ、現在も故郷に戻れない人々が多数存在しています。

そんな中でも福島では懸命な復興が行われてきており、帰宅困難地域などを除いて日常生活が戻ってきています。それでも福一由来の放射能は確実に存在しており、甲状腺ガンをはじめとした健康被害や福島産の食物への安全性などへの懸念はくすぶり続けています。

果たしてそれが根拠のない風評被害なのか、実際に何らかの影響があるのかについては未曾有の大事故である以上、おいそれと結論を出せるものではありません。

だからこそ慎重で精密な科学的調査が必要だったはずですが、この問題に関わる論文でデータの無断提供とデータの改ざん捏造が行われていたことが判明しました。

問題となっているのは高線量で全村避難を余儀なくされた福島県飯館村に隣接する伊達市の住民の個人被曝線量のデータを基に、早野龍五・東京大名誉教授らがイギリスの科学誌に発表した2本の論文。

伊達市が福島県立医科大学に測定結果の分析を依頼した際、明確に提供への不同意を示していた97人を含めた2万7千人分以上の本人同意を得ていないデータが早野龍五教授らに提供されていた事が判明しました。

早野龍五教授らは上記の論文で、これら不同意や未提出の人の分も含めたデータを用いて分析を行っていた事が既に指摘されています。

これに加えて分析依頼の約半年前に早野龍五教授らに、個人情報にあたる住所や生年月日などが含まれたデータが提供されていたことも発覚。

これらの情報は個別番号により個人の線量データが識別できる状態であったとのことです。

つまり早野龍五教授らは同意の得られていない個人情報に紐付けられたデータを勝手に用いて論文を発表したということになります。個人の被曝線量という極めて機微な個人情報を無断使用している時点で大問題ですが、さらに大きな問題はその線量データが改ざんされていたこと。

東京大学は12月27日、「本人の同意のないデータが使われている」などとする住民からの申し立てを受けて予備調査を始めたことを明らかにしましたが、その申し立ての中で図の一部に不自然な点があり「線量を過小評価するための捏造が疑われる」と指摘されたのです。

これに対して早野龍五教授は計算ミスがあり、線量を3分の1に過小評価していたと回答。出版社に修正を要請しました。ですが、これを単なる「計算ミス」で済ませられず、「改ざん」と指摘せざるを得ない大きな理由があります。

◆早野龍五教授は「放射能安全派」として知られる
それは早野龍五教授が福島第一原発事故以降、早い時期から福島の放射能の影響は少なく、安全で問題ないという主張を繰り返してきた「放射能安全派」の筆頭であること。

早野龍五教授は東京大名誉教授という非常に輝かしい肩書きを持つ科学者であり、事故後は7年間に渡って科学的なデータから福島の放射能は人間の健康に影響はなく安心してよい、福島産の食物も安全であると主張し続けてきました。

事故から2年後の2013年の時点で糸井重里氏と「ほぼ日刊イトイ新聞」で対談した際には「この先も、『データとしては、そうではないんですよ』ということを、淡々と出していく」「『測ってみたところ、数値としては大丈夫です』と言い続けるしかない」と主張。


また2017年にはBuzzFeedのインタビューで以下のように福島の放射能は安全であると断言しています。

僕は科学者として、データを集め、それを公表してきました。とにかく大事にしてきたのは、いま福島に生まれたことを後悔する必要はどこにもないということです。

福島で実際に人々が生活している地域より自然放射線の量が多い地域なんていくらでもあります。福島は、外部被曝も内部被曝も日本の他の地域、世界各国と比べてもまったく問題ない。

いま、福島県で流通しているものをどれだけ食べても、他の地域と比べて問題になるような内部被曝はありえません。

これはデータをみて、自信を持って言えることです。

(「『いずれ自分の言葉で福島を語らなければならない』 高校生に、科学者が託した思い」より引用)


早野龍五教授はこのインタビューの中でも繰り返し自らが福島を安全だと主張する根拠はデータであると語っています。

僕はデータを語って「大丈夫」だと言っているのであって、思想を語っているわけじゃないんです。

批判に耳を傾けることは重要ですが、大事なのは、データで語ることでしょう。


その早野龍五教授が自ら福島に関する最後の論文と述べた上記論文で、あろうことか「線量を3分の1に過小評価していた」ことは決して単なる「計算ミス」で済まされる話ではなく、福島の人々の健康に直結する極めて悪質な改ざん捏造であると指摘せざるを得ません。

最後に、上記BuzzFeedのインタビュー内にある非常に興味深い記述を引用しておきます。

いま論文の投稿は完了しました。わかった結果だけ、説明しておきましょう。いままで空間線量をベースに住民の外部被曝を試算していました。ところが実測すると、平均で3倍〜4倍、試算が過剰評価になると言えるようになったんです。

つまり、実際に住民が被曝している量は、空間線量から試算するよりもぐっと低くなる。

(「『いずれ自分の言葉で福島を語らなければならない』 高校生に、科学者が託した思い」より引用)


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