DAPPIの再来?自民党が正体不明の野党叩きメディア「テラスプレス」を冊子化、参院選対策用に議員らへ配布



運営も連絡先も記されていない正体不明のニュースサイトが、自民党の選挙対策用の冊子になっていたことが明らかになりました。詳細は以下から。


◆自民党本部が謎の情報サイトのまとめ冊子を選挙対策として配布
日刊ゲンダイの報じるところによると、6月10日頃から自民党議員らの元に「フェイク情報が蝕むニッポン トンデモ野党とメディアの非常識」と題された冊子が送りつけられているようです。

全142ページのこの冊子は情報サイト「テラスプレス」に掲載された記事に加筆修正してまとめられたもので、自民党本部が参院選に向けた演説の参考資料や支援者への配布用として手配したものとされています。

日刊ゲンダイは自民党本部の「ニュースサイト『テラスプレス』の許可を得て、参考資料として配布した」とのコメントを掲載しています。

実際に議員らに配布されている事も間違いないようで、自民党の小野田紀美参議院議員はこの冊子を受け取ったことを自らのツイッターアカウントでつぶやいています。




◆テラスプレスってどんなサイト?
さて、このなんとも怪しげな「テラスプレス」とはいったいどのようなサイトなのでしょうか?自称保守界隈のまとめサイト、フェイクニュースサイトはこれまでもBUZZAP!で取り上げて来ましたが、テラスプレスはこれまで話題になったことがありません。

Google検索してみても、この日刊ゲンダイの記事や、その内容を受けた記事が見られるだけで、テラスプレス自体は検索に引っ掛かりません。


広大なネットをあちこち探してterracePRESS _ テラスプレス ? 報道では見えない事実に光を ?」(魚拓に行き着くことができ、存在自体は確認できました。ですが、これがまた奇妙なことになっています。


まず、ひと目見て分かるのが、広告がひとつもないこと。2018年7月13日に最初の記事が掲載され、この1年弱で150本近くの記事が作られていますが、広告収入が全くないということになります。

また有料記事や有料会員といったオプションも存在せず、しおりのようなグッズを販売している訳でもありません。寄附を募ってもクラウドファンディングを行ってもいません。つまり、マネタイズを一切行っていないのです。

ほとんどの記事には「terracePRESS編集部」と署名されており、記事内容もまとめサイトのような「他紙の内容のコピペ+ネットの反応」を載せたものではなく、一定の経験を積んだライターによる独自内容の記事と呼べるもの。

一時期粗製濫造された1本数十円のクラウドソーシングでの野党・韓国叩きのゴミ記事とも違って少なからぬ時間と労力を掛けていながらも、テラスプレスはこれらの記事からは収入を得ていないことになります。

さらに不思議なことは、「terracePRESS編集部」の運営情報がまったく載せられていません。運営主体となっている個人や団体の情報が皆無で、サイト説明のページも設けられていません。

唯一ページ下部に「terracePRESSとは」として「terracePRESSでは報道で語られていない事実を皆様に伝えるべく最新のニュース情報をお伝えいたします」と述べられているのみで連絡先も存在せず、問い合わせを行う事もできません。

情報サイトを名乗っていながら、テラスプレスは自らのサイトの存在を宣伝する代わりに、あらゆる手段を使って隠蔽しようとしているかのようにすら見えます。

さて、一点お気づき頂けましたでしょうか?自民党本部は冊子を「ニュースサイト『テラスプレス』の許可を得て、参考資料として配布した」としていますが、この状態でいったいどうやって連絡を取り、許可を得たのでしょうか?

そしてなぜ自民党本部は運営主体の情報が皆無である正体不明のニュースサイトの記事を、わざわざ選挙対策の冊子のソースとして選んだのでしょうか?その答えのヒントはツイッターにありました。

◆テラスプレスのツイッターアカウントの謎とヒント
さて、テラスプレスはツイッターアカウント魚拓)も開設していました。不思議なことに公式サイトからツイッターアカウントへのリンクは一切ありません。


2018年7月に開設されたこのアカウントはプロフィール欄で「テラスPRESSでは、日本の政治や、外交、社会情勢などを取り上げ、報道などでは見えてこない事実を伝えていきます。 正しい事実に光を当て、日本の状況を理解し、未来に向かって正しい道を考えるきっかけを提供していきます」と述べています。

ツイート内容は自動投稿と思われる、新着記事掲載を告げるものばかり。フォロワーも6月17日12:00時点で18人と極めて少なく、リツイートやいいね!もほとんどされていません。




気になるフォロー欄魚拓)ですが、自称保守界隈の論客として知られる高橋洋一
上念司深田萌絵、門田隆将らに加え、差別動画削除運動で差別動の大量消去に至ったYouTuberのKAZUYA、保守系雑誌の月刊『Hanada』編集部やWiLL編集部をフォローしています。



加えて、自民党の前衆議院議員である小松裕とは相互フォローとなっており《参院選・注目候補者》地域の喫緊の課題に対応できる医師の小松ゆたか氏 _ terracePRESSという記事で直接プッシュもしています。


さらには、自称保守界隈で人気のデマアカウントDAPPIの事までフォローしています。


DAPPIについては「完全シフト制」「個人では困難な作業量」「収益源ゼロなのにフルタイム稼働」「特殊な資料収集能力」などの理由から、政党関係者らが運営している可能性があるとBUZZAP!では指摘しましたが、テラスプレスに関しても似たような傾向が見られます。

収益源がゼロでありながら、一定レベルの独自記事を150本近く掲載している事は先に述べましたが、ここで記事の投稿された日時を調べてみましょう。


記事は極めて分かりやすく月~金曜日の9~20時台に投稿されており、12時台には昼休みと思われる谷もあります。ツイートは全て「Twitter Web Client(パソコン向けのウェブ版ツイッター)」から。ためしにDAPPIの投稿の傾向と比べてみると…。


投稿日時が似た形になっていることが分かります。まとめると、テラスプレスは収益ゼロながら平日にフルタイムで稼働し、PCから記事を投稿していることになります。

そして半ば冗談のような話になってしまいますが、このアカウントの位置情報は皇居、国会議事堂、首相官邸、霞ヶ関官庁街、自民党本部のある「Chiyoda-ku, Tokyo」に設定されています。

◆記事では野党や朝日新聞に加えて石破茂元幹事長も攻撃
日刊ゲンダイは配布された冊子が「トンデモ野党のご乱心」「フェイクこそが本流のメディア」「安倍政権の真実は?」の3章構成になっている事を報じていますが、テラスプレスの記事自体も多くがこの3つのカテゴリに収まるもの。

立憲民主党や共産党をあらゆる方向から叩くもの、朝日新聞や東京新聞を切り取りや偏向したメディアであると攻撃するもの、そして安倍政権をひたすらにヨイショする提灯記事がずらりと並んでいます。

一方で安倍政権に不都合な事は書かれておらず、例えば外交タグの記事は4月23日の国際社会でプレゼンス増す安倍首相 _ terracePRESSという記事が最後で、北方領土問題の行き詰まりや先日のイラン訪問についてはまったく記述がありません。


テラスプレスの記事で特徴的なのは、これらに加えて石破茂タグで8月6日から9月15日まで、自民党総裁選(9月20日投開票)に出馬した石破茂元幹事長を4記事に渡って批判していること。


もし仮にテラスプレスが自民党に関わる人物が主導していたとすると、その人物は同じ自民党内の非主流派をも攻撃対象としていた事になります。

◆なぜテラスプレスをソースとする冊子を作ったのか?
DAPPIの素性に関してはあくまで推察の域を出ませんが、2019年4月には野党議員らをデマで攻撃するフェイクニュースサイト「政治知新」を自民党の田村雄介神奈川県議の弟が運営していた事が明らかになっています。

ですが今回のテラスプレスはSNSでの情報拡散を狙っておらず、例え自民党に関わる人物が主導していたとしても、その目的は「政治知新」とは違っている事が考えられます。

SNSで主張を拡散しないどころかGoogle検索でも発見できないニュースサイトの存在意義とは何なのでしょうか。このサイトが1年間掛けて今回の参院選対策の冊子のために作られたと考えるとひとつの説明が成り立ちます。

それは「冊子の内容は自民党本部の見解ではなく、あくまで情報サイトの内容を参考資料として採用しただけだ」という責任回避の為のデコイであるというもの。

また冊子は運営主体もライターも不詳で記事ソースも不明瞭なものが多く、情報のソースとして十分な信頼性はありませんが「ニュースサイトがソース」とすることで、冊子の内容としては一定の中立性や信頼性を演出することも可能です。

しかし政権与党が「フェイク情報が蝕むニッポン」と題した冊子を配布しながら、そのソースが正体不明のニュースサイトでしたというのは虚構新聞も真っ青の渾身のギャグと言えそうです。

◆6月18日17:05 Toratarou追記
テラスプレスのHTMLソースを見てみると、検索エンジンに登録されないよう「noindex」タグがあることが分かりました。


検索エンジンに載せない、SNSなどでの拡散を目的にしない、そして広告もないのに平日フルタイムで稼働する自称ニュースサイト・テラスプレス。

集客も収益化も行わない時点で一般的なニュースサイトのような営利媒体ではなく、もはや「活動そのものがメシの種」と考えたほうがはるかに妥当です。

SNSを使った世論誘導を仕掛けているDAPPIと異なり、自ら身を隠すように1年間ずっと水面下で更新されてきたのは、「自民党本部による冊子化」という着地点が目的だったのでしょうか。

【2021年10月12日追記】
2019年の騒動から2年、テラスプレスはユーザーインターフェースが一新して現在も稼働中です。広告もなく運営主体も謎のままな上、政権を支持しつつ立憲民主党を中心とした野党やマスコミを批判する記事の論調にも大きな変化は見られません。


ですがツイッターアカウントはDappiとは違い、4年を掛けても600人未満のまま。サイトからのリンクもいまだにありません。


記事リンクのない政治的な投稿も多いのですが、反応はほとんど得られていない模様です。


そしてこちらが投稿日時の傾向。Dappi以上に分かりやすく11時始業で19時には終業の様子が見てとれます。土日も出勤していますが、いわゆる「半ドン」状態です。


自民党の選挙対策用の冊子のネタ本として活用された過去のあるテラスプレス。果たして今回の衆院選で再び冊子化されるのでしょうか…。

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