慰安婦テーマの映画「主戦場」を「商業映画とは聞いてない、不当だ!」とケント・ギルバート氏らが提訴→自分で宣伝してました



自称保守界隈の伝説に新たな1ページが付け加えられました。今度は元タレントで弁護士でもあるケント・ギルバート氏が主役です。詳細は以下から。


◆従軍慰安婦問題を扱った映画「主戦場」とは
日系米国人のミキ・デザキ監督が4月20日に公開した、従軍慰安婦問題を巡るドキュメンタリー映画主戦場。錚々たる自称保守界隈の論客たちが揃って出演し、口々に赤裸々な主張を繰り広げることで見た人に大きな衝撃を与えました。

評判は評判を呼び、全国44館に公開が広がるなど、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットとなっています。


この映画に櫻井よしこ氏、日本会議の加瀬英明氏、新しい歴史教科書をつくる会の藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏「LGBTには生産性がない」発言で時の人となった自民党の杉田水脈衆議院議員らと並んで出演しているのが元タレントで米国弁護士でもあるケント・ギルバート氏です。

筆者も既に「主戦場」を見ていますが、SNSや巨大掲示板などで書き殴られているような、法務省が卒倒しそうな話が出演者らの口から次々に飛び出し、観客から失笑を超えた動揺のため息が漏れる場面もひとつふたつではありません。

以前BUZZAP!で取り上げて大反響となった杉田水脈議員の日本のテレビが売れないのは技術力が落ちたからでなく慰安婦問題のせいという発言も生で見ることできるなど、衝撃発言のオンパレードで息つく暇もないスリリングな作品となっています。

◆「話が違う」と自称保守界隈の出演者らが提訴
ですが「主戦場」に出演して意気揚々と騙っていた出演者らが、ここに来て同作の上映差し止めと計1300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。どういう事なのでしょうか?

訴訟理由は、修士論文に使うためと言われ取材を受けた内容が、商業映画に使われたのは不当だとするもの。原告はケント・ギルバート氏に加えて上記のトニー・マラーノ氏、藤岡信勝氏、さらに藤木俊一氏、山本優美子氏ら5人です。

原告らはインタビューを学術研究と卒業制作のために使う旨の合意があったものの、デザキ監督はそれに違反し、商業映画として映画を一般公開したと指摘。この映画が承諾なしで配給されており、原告が有する著作権や肖像権を侵害しているなどと主張しています。

これに加えて原告らは「歴史修正主義者」「極右」「性差別主義者」などのレッテルを貼られ、いわれなき誹謗中傷を受けたとしています。訴状によると、これによって「修復不可能なほどに名誉を毀損された。原告らは執筆・言論・教育活動などをしており、今後の活動への悪影響は計り知れない」とのこと。

◆実は上映を承諾していた上に自分で「主戦場」の宣伝までしていました
本訴訟に先駆けて、5月30日には上記5人の原告と加瀬英明氏、櫻井よしこ氏の7人は訴訟内容に準ずる抗議声明を発表していました。

しかしデザキ監督は6月3日に記者会見を開き、承諾書と合意書を示し、出演者らが映画が一般公開される事を知っていたと反論。本件についての動画も公開して彼らが公開を知っていたどころか乗り気だったことも明かしています。


加えて、ケント・ギルバート氏については動かぬ証拠が残っています。それは2019年3月4日の本人の公式ツイッターでのつぶやきで、予告編動画を貼って宣伝まで行っています。



魚拓

アメリカ合衆国というガチンコ訴訟社会の弁護士でありながら、自分に関する承諾書や合意書をちゃんと読めていなかったという時点で既に致命的と言えそうです。それに加えて嘘の証拠すら「ツイ消し」できていないというのは、さすがに脇が甘すぎるのではないでしょうか?

なお、もうひとつの訴訟理由で春原告らへの「歴史修正主義者」「極右」「性差別主義者」との指摘がいわれなき誹謗中傷に当たるのかについては、ぜひとも各自で「主戦場」をご覧いただき結論を出されることを強くお勧めします。

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