ワンセグ携帯所持での受信料徴収とはまったく違った状況となりそうです。詳細は以下から。
◆「NHKのネット常時同時配信は無料で」総務省が明言
総務省が12月23日、公式サイトに「「日本放送協会のインターネット活用業務実施基準の変更案の認可申請の取扱いに関する総務省の基本的考え方」についての日本放送協会の検討結果の回答及び意見募集結果に対する総務省の考え方」を掲載しました。
これはNHKのインターネット常時同時配信などのテーマに対して募集されたパブリックコメントに対するNHKの見解に対し、総務省が公式見解を公表したもの。この中で注目すべき見解が示されています。
それは「常時同時配信・見逃し配信に関する御意見」というトピックの中で寄せられた意見についてのもの。
受信料収入で支えられているNHKは、常時同時配信を含む全てのインターネット活用業務を無料で提供すべきである。
とする意見に対し、総務省は以下のように回答。
NHKから認可申請のあったインターネット活用業務実施基準の変更案において、常時同時配信を含む2号受信料財源業務は、「利用者に対価を求めることなく実施する」こととしており、常時同時配信を受信できることをもって、スマートフォンやPCなどの所有者が新たに受信料を負担することになるものではありません。
なお、同案においては、常時同時配信の提供に際して、画面上に協会との受信契約を確認する旨のメッセージを表示し、協会との受信契約の締結を確認できた者については、画面上のメッセージ表示を消去するとともに、見逃し配信を利用可能にすることとされています。
総務省はNHKのインターネット常時同時配信を受信できるスマートフォンやPCなどの所有を理由に新たな受信料の負担が発生しないと明言。
ただし、画面上にNHKとの受信契約確認のメッセージが表示されることとなり、受信契約が確認できた人のメッセージを削除すると共に見逃し配信が利用可能になるとしています。
同様のやり取りが「その他の御意見」の最初の質問にも見受けられます。こちらでは
常時同時配信を実施することにより、スマートフォンやPCなどインターネットに接続することができる環境を有する全ての者に対してNHKとのが受信料を徴収することに反対する。
との意見に対して以下のように回答。
NHKから認可申請のあったインターネット活用業務実施基準の変更案において、常時同時配信を含む2号受信料財源業務は、「利用者に対価を求めることなく実施する」こととしており、常時同時配信を受信できることをもって、スマートフォンやPCなどの所有者が新たに受信料を負担することになるものではありません。
上記質問の前半部分と同一文章ですが、「2号受信料財源業務」を理由にスマホやPCの所有者に受信料の支払い義務が発生しないことを繰り返し明言しています。
◆2号受信料財源業務とは何なのか
ここで総務省が回答の根拠としている「2号受信料財源業務」は、NHKのサイト上で公開されている「放送法第20条第2項第2号および第3号の業務の実施基準」によると以下のとおり。
(C)2号受信料財源業務
放送番組等を電気通信回線を通じて一般の利用に供する業務(放送に該当するものおよび協会のテレビジョン放送による国内基幹放送の全ての放送番組を当該国内基幹放送と同時に一般の利用に供する業務を除く。)(法第20条第2項第2号の業務)のうち、専ら受信料を財源として行うもの
つまり2号受信料財源業務とはNHKが徴収している受信料を財源として行う業務であり、この業務の対価として受信料を徴収するものではないということとなり、総務省の「利用者に対価を求めることなく実施する」との見解と一致します。
◆ワンセグ携帯所持での受信料徴収とは全く別の話に
テレビを視聴できるワンセグ機能付き携帯電話の所持によってNHKと受信契約を結ぶ義務があるかどうかが争われた訴訟では2019年3月に上告棄却され、「契約の義務がある」とした2018年の東京高裁の判断が確定しました。
これも一因となり、2019年のスマホの秋冬モデルではワンセグ搭載の機種が激減。そもそも日本ではワンセグ非搭載のiPhoneが大きなシェアを占めており、ワンセグ自体のオワコン化が急速に進んでいます。
一方NHKは「受信料を支払っている世帯の人であれば、ネット視聴のための追加負担は求めない」としていたため、テレビやワンセグ携帯がなくともスマホやPCなどのネット環境があるだけで受信料を請求されるようになるのではと懸念されていました。
今回の総務省の公式見解はこうした不安に法的根拠を明示した上で完全に払拭するもの。画面上に表示されるメッセージを我慢する必要はあるものの、インターネット常時同時配信の開始を理由に受信料徴収が発生しないことを国が公式に認めたことになります。
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