【新型コロナ】医師や看護師は対象外、クルーズ船対応の厚労省職員41人だけウイルス検査＆自宅勤務へ

厚労省は一般職員よりも感染者の近くで奮闘してきたDMAT（災害派遣医療チーム）や厚労省の医師・看護師にウイルス検査するつもりはないとのことです。詳細は以下から。

◆「陽性者が多く出たら業務に支障出る」と検査を拒んだ厚労省
乗員・乗客の600人以上に新型コロナウイルスへの集団感染が確認されたクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号。

ここでは厚生労働省や内閣官房の職員4人の感染も明らかになりましたが、発熱などの症状が無かった厚労省職員の多くがウイルス検査を受けずに職場に復帰していたことが大きく報じられました。

厚労省は「陽性者が多く出た場合の業務への支障を考慮して」職員らに検査を受けさせない方針を取っていましたが、当然ながら炎上。

これは新型コロナが無症状の感染者からも感染するため、追跡不可能な形で厚労省内で蔓延してく可能性があるため。

感染した職員らが新型コロナをそれぞれの家庭や通勤に使う交通機関、飲食店や関係する省庁・政府機関などで無意識のうちにまき散らす危険が指摘されていました。

◆「厚労省職員のみ」に検査と自宅勤務を指示、医師と看護師は対象外
こうした批判を受けてか、2月22日に加藤勝信厚生労働相は記者会見で、船内で事務作業などに携わった厚労省職員41人にウイルス検査を実施すると発表。加えて下船から2週間は自宅勤務を指示しています。

ですが、医師や看護師などの資格を持つ厚労省職員や、検疫業務にあたった職員、そして民間から派遣されたDMAT(災害派遣医療チーム）などの医療関係者には症状がなければ検査しない方針を示しました。

厚生労働省はその理由を「医療関係者は感染を予防する技術を習熟し、十分に対策しているから」などと説明しています。

ですが、すでに2月13日から15日までDAMTとして活動し、船内で発熱患者の診療補助を行っていた和歌山県の男性看護師の感染が確認されるなど、ダイヤモンドプリンセス号で医療関係者への感染は発生しています。

NHKがDMATの医師の「感染症対策については、ある程度妥協して重症者や重症になりそうな人を早め早めにピックアップして地域の病院に搬送した。命を助けることを優先して仕事をした」というコメントも掲載しているように、感染症対策が決して十分ではなかったことは指摘されているとおり。

加えてDAMT派遣者や家族らへの職場内外での不当な扱いの報告も出ています。職場で「バイ菌」扱いされたり、子供の保育園・幼稚園から登園自粛を求められるといった事例ですが、感染の可能性がないと断言できないのが現状です。

医師や看護師が新型コロナを持ち帰って新たな感染源となっては完全に本末転倒です。不当ないじめや誹謗中傷をなくすためにもしっかりと検査を行い、2週間の自宅待機の指示とその間の保証といった手厚いサポートが厚労省には求められるところ。

決して現場で奮闘した医師や看護師を「自己責任」で見捨てるようなことがあってはならないはずです。

【追記】
同船内で事務に従事していた厚生労働省職員の40代男性と検疫にあたっていた検疫官の50代男性の2人が新型コロナウイルスに感染していたことが明らかにされました。

職員の男性は20日に感染が確認された厚労省の幹部職員と内閣官房の職員と一緒に事務作業を行っており、検疫官の男性は、2月3～6日と、11～21日にかけて船内で乗客らから質問票を回収する作業などを行っていたとのこと。

厚労省は「医療関係者は感染を予防する技術を習熟し、十分に対策しているから」と、医師や看護師などの資格を持つ厚労省職員や、検疫業務にあたった職員、そして民間から派遣されたDMAT(災害派遣医療チーム）などの医療関係者には症状がなければ検査しない方針を示していました。

NHKの報道によると、今回の検疫官への感染を受けてもこの方針は変更せず、「今後も下船時に検査を行わず、これまでに船を下りた検疫官らについても追加の検査を行う予定はない」とのこと。