ネット上に一切経歴の見られない謎の人物が怒涛の橋下徹推しを開始しました。詳細は以下から。
◆あまりに唐突な「ぼくのかんがえたさいきょうのないかく」記事
2020年4月22日午後、突然ツイッターのトレンドに踊り込んできた「橋下総理」という文字列。もはや政治家でもないタレントの橋下徹氏がいったいどうしたことかとみてみると、それはPRESIDENT Onlineのとある記事のタイトルでした。
その記事は「これが対コロナ最強布陣『橋下総理、小池長官、吉村厚生相』 もう安倍に政権を任せるのは無理だ」(魚拓)というなかなかに刺激的なタイトルのもの。
全国一律の休校要請やアベノマスク、星野源コラボ動画などを挙げて後手に回る安倍政権の新型コロナ対策を批判し、「安倍晋三政権は国民の信頼を失いつつある」とします。
そうした中で「求められる内閣の『最強布陣」を探った」として出てくるのが「首相は橋下徹、一択だ!」というもの。
「歯に衣着せぬ発言は物議を醸し、時に横暴との批判もつきまとうが、批判を恐れずに核心を突いていく『突破力』は有事のリーダーには欠かせない能力」とべた褒めです。
加えて「官房長官は小池百合子! 厚労相は吉村洋文!」と鼻息を荒くした上で内閣官房参与に作家の百田尚樹と高須クリニックの高須克弥院長を挙げており、ブラウザをそっ閉じしたい願望が沸き上がってきます。
鼻をつまんで読み進めると「菅義偉は総務相! 財務相は玉木雄一郎!」となっており、どこからどう見ても現実性ゼロの「ぼくのかんがえたさいきょうのないかく」に過ぎません。
酔っぱらいの居酒屋談義であれば構いませんが、PRESIDENT Onlineってこんな媒体だったっけとURLを見直してしまうレベルの駄文です。
なお、橋下徹氏は2月29日にはテレビ番組で「PCRは本当に重症化する様な人には必要だけど一般の人には必要無い。10~40位の人は家で寝とけって政府がバシッと言えばいい。全員検査なんてやらなくていいのに煽るから。やってどうする?家で寝とけ!」と言いながら特に危険な高熱でもなく4月7日にあっさりPCR検査を受けた人物。
加えて4月18日放送のテレビ番組では安住紳一郎アナウンサーから「“PCR検査をなかなか受けられない”っていわれてましたけど、橋下さん、受ける経緯はどうだったんですか? やっぱり元大阪府知事だから優先してみたいなことあったんですか?」と質問され、「それね、安住さん生放送でやめてください。みんなが思っていることなんですから。腹の中でみんなが思っていることなんです」と説明も反論もできなかったことでも知られており、未曾有の危機と闘う対コロナ最強布陣にふさわしいかには大きな疑問符が付きます。
◆謎の多すぎる「政経ジャーナリスト 麹町文子」
さて、この与太記事を執筆したのは誰かというと、政経ジャーナリストを自称する麹町文子なる人物。Google検索してみても、執筆した記事はPRESIDENT Onlineの4本のみで、他の活動記録はまったく見られません。
記事一覧を見るとプロフィールに「1987年岩手県生まれ。早稲田大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーランスとして独立。婚活中」と取ってつけたような内容が記載されており、あくまでフリーの記者が寄稿しているという体裁です。
他の3本の記事は「コロナ危機で総理への道が見えた小池百合子、『無能確定』の安倍晋三 ついに、鉄の天井を蹴破るときが…」「『遅すぎる緊急事態宣言…』一番恐ろしいのはコロナじゃなくて安倍晋三 総理が躊躇しまくった2つの理由」「遅くてショボい…安倍政権のコロナ対策は、民主党の震災対策と変わらない 全然話にならん。菅直人氏と一緒だ」というもの。
いずれも扇情的な文言で安倍政権を痛烈に批判しており、小池都知事と吉村府知事を持ち上げる描写も見られます。
サブタイトルの「総理が躊躇しまくった2つの理由」「全然話にならん。菅直人氏と一緒だ」辺りのにじみ出るおっさん臭などから、中の人の実在を疑う声も。つまりこの麹町文子なるライターは他のライターの別名義か、編集部の共同ペンネームではないかという疑惑です。
こうした変名は以前にも存在し、本名非公開・早稲田大学卒業の「一橋文哉」が有名。毎日新聞記者・サンデー毎日副編集長であった事から「一ツ橋のブン屋」を捻ってつけたものとされ、取材班のチーム名とも言われます。
なお、プレジデント社の所在地は東京都千代田区平河町となっており、麹町のお隣。東京メトロ有楽町線の麹町駅からも徒歩10分強の距離にあります。
加えて、プレジデント社は橋下徹氏と組んで公式メールマガジン「学者やコンサルでは伝えられない橋下徹の『問題解決の授業』」を発行。さらには公式オンラインサロン「橋下徹の激辛政治経済ゼミ」も主宰しています。
もはや答え合わせも終わってしまった感じですが、自社コンテンツの露骨なステマがどのような結果を招くのか、先行事例を振り返ってみた方がよさそうです。
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